気候温暖化への世界の挑戦、また失敗、問われるリーダーシップ
「悲惨」、「苦渋」、「前代未聞」… 実りのない二週間の交渉の後のCOP25は失敗 マドリッドにおける二週間にわたる首脳間交渉の後、COP25は終了した。 国連事務総長アントニオ・グテーレスは12月15日日曜日のプレスリリースで、 「COP25の結果に失望した。国際社会は、気候危機に対応す積極的な覇気を示す重要な機会を逸したのです」と苦言した。実際、この国際会議は失敗で終わったと言わなければならない。 主要な汚染大国からの具体的なコミットメントなし 会議の本題では、地球温暖化を食い止めるというパリ協定(2015年締結)で定めた目的と現状のギャップを縮めるために、「緊急行動」を求めていたのであるが、主要なCO2排出国のほとんどが具体的な方策を出しておらず、
スピードアップする気候変動クライシス
海面上昇 カナダやアラスカでの火災の自然発生は毎年のことだそうだが、今年は北極圏のロシアやグリンランドでも、激しい火災が発生している。ロシアでは、北アメリカに匹敵するほどの広さの山野を焼き続け、100を超える火災は、6月だけで5000万トンのCO2を大気中に放出したことになるという。 ヨーロッパを襲ったヒートウエーブは北上し、グリンランドでは7月だけで1億9700万トンもの氷が溶けた。これは、例年の6000万トンをはるかに超えるかつてない量である。この7月の氷解による水は、海面を0.5mmも上昇させたのだそうだ。 年々酷くなる気候変動のよる被害が、地球環境をさらに悪化させている。
外交確執、同盟国とロシアのシーソー・ゲーム
毒剤テロと外交官追放 イギリス在住のロシアの元スパイ、セルゲイ・スクリパル(66)とその娘ユリア(33)が、神経性毒剤を盛られて意識不明で発見された。ロシアによる犯罪と判断したテリーズ・メイ英国首相は3月15日、在英ロシア外交官23人を10日以内に国外追放すると発表。イギリスが23人ものロシア外交官を追放するのは冷戦終結以来前例がなく、二国間外交の凍結に等しい。ボリス・ジョンソン外相は、「非難はロシアに対してではなく、プーチン大統領に対するものである」と強調している。 イギリスでは近年、不可思議なロシア人の死亡事件が続いていた。
クリスのフランケンシュタインとその告発
【ケンブリッジ・アナリティカ、アメリカのフェイスブック利用の有権者5千万人の個人情報を無断利用、大統領選挙で心理誘導を行う】 2016年トランプ陣営が大統領選のキャンペーン活動に利用したケンブリッジ・アナリティカ(トランプは600万ドルを費やしたという)が内部告発され、一気にその中身が暴露されはじめている。 告発したのはケンブリッジ・アナリティカ(以後CA)で現場の仕事をしていたクリストファー・ワイリー。「FBで一人の人を拾えばその人の数百人の友達の情報へも一挙に到達できる。そうして手っ取り早く何百万人もの個人情報が入手できる。一人一人の個人情報を分析して好き嫌いなどの傾向を見分け、こちらから異なる情報を作ってあちこちにばらまくと、その人たちがどういう風に反応するか行動様式がつかめる。FB上では一つの情報が見える人と見えない人がいるから、ありえないニュースを作って適宜な方向へ流せばいい…。
成るか、フェイク・ニュース対策
2018年のフランス文化省の目標の一つ、フェイク・ニュース対策立案に向けての動き 2016年アメリカ大統領選挙以来浮上したロシアのハッキングは、未だに活発に続いているという。虚偽のニュースを充満させて真実を撹乱させ、人心を扇動する「フェイク・ニュース」。その実態を見極めるため昨年10月アメリカ議会は、 Facebook、Twitter、Googleに要請して同企業のアカウントやコマーシャルの利用数を調査した。結果、Facebookのリサーチセンターが、ロシアのリンクページに約1億2600万人のアメリカ人が接触していることを突き止め報告するに至った。この数はアメリカ人有権者の半数に匹敵するという。(CNN、2017年10月31日付ニュース) こうした事実を受けてヨーロッパでも特に選挙時におけるフェイク・ニュースによる候補者に対する汚名行為や事実の歪曲が、過去行われ現在も行われつつあることに注目し、年頭の挨拶にあたってマクロン仏大統領はフェイク・ニュースの統制にのりだす方針を打ち出した。
アメリカ、ウクライナへの軍事支援強化
ロシア、アメリカの決定を糾弾 米国は12月22日金曜日、ウクライナ政府が領土「主権」を確保できるよう、同国への防衛援助を強化すると発表した。米政府はウクライナへ、過去オバマ政権が禁止した対戦車ミサイル「ジャベリン」などの武器援助を決定。3年半にわたるウクライナ東部の分裂闘争に関与した疑惑が持たれるロシアへの国連の経済制裁が6カ月延長されることになった直後のこのアメリカの決定は、すでに困難なロシアとの関係をさらに複雑にする可能性がある。
J-6 フランス大統領選挙決戦へ
エマニュエル・マクロンとマリーヌ・ルペン、正反対の政策 4月23日日曜の初戦はフランスの有権者77.77%が投票。得票率最上位を占めたエマニュエル・マクロン(24.01 %、8 657 326 票獲得)と、2位につけたマリーヌ・ルペン(21.3 %、7 679 493 票獲得)の決選投票が、5月7日来週の日曜に行われる。 http://www.francetvinfo.fr/elections/resultats/ http://www.ouest-france.fr/elections/presidentielle/presidentielle-macron-le-pen-des-programmes-aux-antipodes-comparateur-4962775 エマニュエル・マクロンに対するバッシングやフェイク・ニュースと名誉毀損、マリーヌ・ルペンのロシアからの資金問題やネオ・ナチとの交流などの話が飛び合う中、ここでは、当選後の政策に向けた双方の選挙公約を取りまとめてみる。
地政学者、ジャン=クリストフ・ヴィクトール
ジャン=クリストフ・ヴィクトールへのオマージュ 民俗学者で地政学のエキスパートジャン=クリストフ・ヴィクトールが、2016年12月に急逝した。15年間独仏テレビARTEで番組「Le Dessous des cartes 地図の下」を制作し、地図だけで世界の問題を浮き彫りにしてきたことで著名だ。ARTEは故人を惜しみ、特別番組を構成した。
世界の危機は日本の危機…
新年の世界と日本の危うさへ、見通しを久々の「報道するラジオ」でじっくり考えます。世界と日本はつながっています。 20170102 報道するラジオ 「新春スペシャル~トランプで世界を占う!」
気候変動分析データを救え
トランプ次期政権の脅威に備える科学者たち トランプ次期大統領の準備チームが、DOE(合衆国エネルギー省)に74項目の質問状を出し、気候変動に関するすべての研究、会議、グループと責任者など一切を明記したリストを提出するよう要請したが、DOEは断固これを拒否した。…
ロシア、各国からの経済制裁へ報復
EUがロシアへの経済制裁を決定した直後、ロシアは各国の経済制裁に対して報復処置を決めその内容を発表した。 対象国は、EU28カ国、アメリカ合衆国、オーストラリア、カナダ、ノルウェーで、EUなどが決めたロシアへの経済制裁への報復として、ロシアはこれらの国から輸入していた食料品、果物、肉類の一切の輸入を8月7日付けでストップすることに決めた。輸入ストップの期間は1年間と予測されるが、EU諸国の経済打撃は免れない。フランスにとってロシアは重要な農産物(肉類、牛乳、乳産品等)の輸出相手国で、2013年度は10億ユーロの輸出を計上しており、この額はEU諸国からロシアが買い上げる100億ユーロの10分の1に相当する。 実際果物輸出の1%、および野菜の3%、総計5万トンがモスクワへフランスから輸出されており、2万7千の農家に影響が及ぶことが懸念されている。 今回の報復は食料品が中心で、ワインや食前酒などのアルコール類は含まれておらず、毎年4億5000万ユーロの売り上げには支障がないもよう。(プラネット)…
世界の富、ますます偏り・・・引き続きフランスは洪水
[フランス南東部、地中海側のヴァール県、洪水で大被害] 一昨日から大嵐による水位の上昇で洪水となった南仏のヴァール県ではようやく水が引き出し、その多大な被害のほどが明らかになり始めた。家々は一階がほとんど浸水し、1500人が避難。うち600人が仮設避難所へ。215人がヘリコプターで搬送されたが、650世帯が停電のままだ。救助に臨んだのは500人の消防士、憲兵隊300人、警察50人、軍隊も78人出動した。 下のフランス地図は21日火曜に発表されたもので、赤は警戒警報、オレンジは注意報など。南仏のマルセイユからニースにかけてヴァール県をまたがる地域の水色の波模様は洪水警報を指している。
アクチュアリティ、年始のZapping
[新年始業、1月3日] 年始に当たってのジャンマルク・エロー首相の目標は、当面三つ。1.雇用問題。失業問題および契約雇用や季節労働者などの問題へ切り込み、就業者の安全対策を立てる。2.すべての人々に平等に結婚を。ホモセクシュアルの結婚(同性婚)を中心に、特に女性のカップルの人工授精にかんし倫理・司法を絡めた問題の解決策を探る。3.憲法評議会にクレームをつけられた年収100万ユーロ以上の所得者に対する75%の重税策の見直し。課税の期間や被課税対象など詳細にわたって見直し憲法に抵触しない課税のかたちをみつける。 [ジェラール・ドパルデュー、ロシア国籍を取得] ロシアのプチン大統領が昨年末、フランスの俳優、「パルデュー氏が望むなら、望みはもう叶ったも同然だ」と発表していたが、3日、プチン大統領がじきじきジェラール・ドパルデューにロシア国籍を贈与した。特別待遇措置である。…
アクチュアリティ、バクテリアの謎
ヨーロッパに広まるバクテリアの脅威 - 生野菜が感染源といわれてきた食中毒の原因となるバクテリアの正体がほぼ判明したという。菌は二つの株のハイブリッドで抗生物質が効かず、潜伏期間は10日あまり。感染すると激しい症状を伴う。ドイツのハンブルグから始まり、スエーデン、フランス、イギリスで発病者が出ているが、いずれもドイツへ行った人ばかり。現在発病者はドイツを中心に2000人。ドイツ、ハンブルグで18人の死者。スエーデンで一人死亡となっている。最初はスペイン産のキュウリが感染源といわれていたが、キュウリを食べていない人に多数の発病者が出たため、トマトやサラダ菜などへ波及してフランス、ドイツなどの研究所が検査していた。しかし、感染源は生野菜といわれてきたにもかかわらず、本当に野菜が原因なのかまったく確証が得られておらず、どこで発生したバクテリアのか、またどれだけ波及していくのかなども何もわかってはいない。各国市場では、スペイン産の野菜が嫌がられ、フランスだけで80%の売り上げ減となった。スペイン産の野菜は95%が販売不可能となり、多大な損失を出している。一人の感染者も出していない上に、感染源の濡れ衣を着せられたスペイン政府は、ドイツへ損害賠償を請求。ドイツはこれに対し、「スペイン産の野菜が原因だなどとは言っていない。市場から感染源と思われる野菜を回収するよう指示しただけだ」と答えた。野菜の容疑が晴れてもすでに遅し。フランス国内でも、「スペイン産は絶対買いません」という消費者が激増している。 ロシアは即座にヨーロッパからの野菜の輸入を全面禁止。モスクワの人たちは、「ヨーロッパは自分で作った野菜で自家中毒をしていればいいのよ」となかなか冷たい。EUはロシアに向け、直ちに輸入禁止を解くよう勧告した。 フランス2TVの食品専門家は、「野菜が原因なのだけが判明しているが、よく手を洗って、野菜も皮を剝いたり火を通したものを食べるように。また女性が感染しやすい。3歳以下の子供に肉を食べさせるときはよく火を通して・・・」。 (フランス2TV、昼のニュース、BFMTV) My opinion: TVの食品専門家が、「野菜が原因」と言ったあとで、「肉にはよく火を通して」と言うのが、よく分からない。むかし、牛肉の処理を誤って腸を裂き、腸内のバクテリアが肉に混入して重い感染症を引き起こして問題になったことがあったが、今回のバクテリアは肉から来るものとはまた別物という。そうした説明の口の先から、また野菜と肉をごちゃまぜにするところをみると、原因がまだ不明なだけに、この人自身にも疑いが拭いきれないのだろう。とまれ、こうした放送でヨーロッパがどれだけ混乱しているかがよくわかる。(S.H.)