[新年始業、1月3日]
年始に当たってのジャンマルク・エロー首相の目標は、当面三つ。1.雇用問題。失業問題および契約雇用や季節労働者などの問題へ切り込み、就業者の安全対策を立てる。2.すべての人々に平等に結婚を。ホモセクシュアルの結婚(同性婚)を中心に、特に女性のカップルの人工授精にかんし倫理・司法を絡めた問題の解決策を探る。3.憲法評議会にクレームをつけられた年収100万ユーロ以上の所得者に対する75%の重税策の見直し。課税の期間や被課税対象など詳細にわたって見直し憲法に抵触しない課税のかたちをみつける。

[ジェラール・ドパルデュー、ロシア国籍を取得]
ロシアのプチン大統領が昨年末、フランスの俳優、「パルデュー氏が望むなら、望みはもう叶ったも同然だ」と発表していたが、3日、プチン大統領がじきじきジェラール・ドパルデューにロシア国籍を贈与した。特別待遇措置である。…
オーランドの公約である高額所得者へ75%という増税が、2012年の所得申告から始まるのを期に、ジェラール・ドパルデューはフランスの国境から少しベルギーに入ったネシャン町に家を購買し移住を決めたが、すぐさまメディアはこれを「税金逃れ」として報道。この国民的な大俳優の行為は、世間に大きな波紋を投げかけた。ベルギーに居住すれば、ベルギーへはもちろん税金を払うが、フランスの税金は逃れられる。これについて、エロー首相がTVインタビューで、「国の危急を救うために、富裕者の愛国心に訴え、税金というかたちで経済危機への協力を求めているわけだが、これは(ジェラール・ドパルデューの行為は)なんとも哀れな。」と発言したため、ジェラール・ドパルデューは怒り心頭して、「フランスにパスポートを突っ返してやる(国籍を返上してやる)」と豪語していた。「ロシアは民主主義の国だ。少なくとも国民を〈哀れなやつ〉よわばりする首相は存在しない」とは、ジェラール・ドパルデューの言。ロシア国籍贈与に対し、当のロシア人たちの意見は真っ二つに分かれた。「フランスの文化人がロシア人になるとは栄誉なことだ」。「私はあんまり好きじゃあないですね。税金逃れっていうのが何だかねえ」。

ジェラール・ドパルデューは俳優として有名だが、事業家としても大きな成功をしており、パリのオペラ近辺にレストランをもち、自分の住まいの通には、ワインバー、魚屋、日本食材店を持ち、またワインへの投資も知られ、ブルゴーニュやメドックなど年間35万本を生産。石油開発にも投資をするなど、総計15ほどの会社を経営し、100人の雇用者をかかえている。ベルギー移住にあたり、ジェラール・ドパルデューが住んでいたパリの1800平米という広大な豪邸は、売りに出されたところだ。

[ブリジット・バルドー、ロシア国籍を希望]
あのブリジット・バルドーも、フランスを離れてロシア国籍を取得したい意向を今日発表。理由は、「フランスは動物愛護の呼びかけに応えない冷たい国」だからだそうで、リヨンの動物園にいる二頭の像が結核にかかって屠殺が決定したことへ強く抗議し、象の命を救う運動を展開していた。ちなみに、象の結核は人間に伝染する可能性があるという。

[ベルギー国籍取得者、倍増]
ベルギーへ逃亡するのはジェラール・ドパルデューだけではない。2010年から2011年にかけて63人がベルギー人になったが、2012年はこの倍の126人がベルギー国籍を取得してフランスから出て行った。所得税やVAT(一種の消費税)はフランスとあまり変わらないが、ベルギーには固定資産税や資産の余剰価値への課税がまったくないという利点がある。世界長者番付で第9位のフランス人、ベルナール・アルノーが昨年、ベルギー国籍を申請したときはやはり、「税金逃れのために移住か?」と騒がれたが、本人は後で記者会見をして、「国籍取得をするだけで、フランスにはちゃんと税金を払います」と発表し、それをきいた政府要人たちはほっと胸をなでおろした。ただ、TVジャーナリズムは加えていわく、「フランス国籍をもっていてはモナコ人になれないが、ベルギー人であればモナコ人になれる」。モナコは税金「ゼロ」の国。そのうちベルナール・アルノーもモナコ人になるのではないか、という憶測があるようだ。

[ヴァージン・メガストア、倒産宣言]
ヴァージンといえば1990年代に世界を席巻し音楽やDVDでおなじみだが、フランスのバージンは今日1月4日、倒産宣言をした。CDの売り上げはこの6年で50%減。シャンゼリゼ通りのメガストアは象徴的な存在だが、インターネットからダウンロードする新しい音楽商戦に完全に敗北したかたちだ。ヴァージンの雇用者組合員は、「CDは2000年当初のものではないですか。近年のインターネットとの競合に対する先見の明を持つどころか、時代に即応した進展すらできなかったから、こうなったんだと思います」。現在フランスには26店舗、ドイツには5店舗あり、フランスだけで約1000人の雇用者が解雇される見込みで、雇用者ごと店舗を引継げる企業が現れるのを望んでいる。

[銀行の金利が下がる]
銀行からお金を借りるなら今。金利が下がり、2013年は3.23%。70年ぶりの最低の金利率となった。2012年は3.97%だったのだが、例えば23万ユーロ(2400万円程度)を借りると、返済期間を20年と想定すれば、1,8万ユーロ(200万円)の違いが出てくる。不動産価格は横ばい。マイホーム獲得を実現するのは今かもしれない。

(フランス2TV)