フランスから―環境とアートのブログ

開く:記事の大見出しをクリックする
all articles
今日のPHOTO

今日のPHOTO

3月23日撮影の写真は桃やアーモンドの花が咲き始めたわが町のようす。パリは大気汚染がひどく、奇数日の今日は末尾が奇数番号の車のみがパリに入れるという車の交通規制が一日中行われたが、わが町シャトネイ・マラブリイは晴天で大気汚染のかけらも裸眼では見当たらず、花が咲きほころぶ季節を享受。 Photography by Shigeko Hirakawa        
3月22日、フランス全国地方統一選挙(県)

3月22日、フランス全国地方統一選挙(県)

2015年3月24日更新(下段に追記): 3月22日、日曜日は2011年から4年ぶりのフランス98県の県議を選出する全国地方統一選挙が行われ、フランス全国の開票結果が発表された。 下の簡略図は、ル・モンド電子版のフランスの各選挙区域で優勢な政党と政党連合を色分けしたもので、赤・濃いピンク、ピンクなどの暖色系は左派(オランド与党政権は左派社会党)、ブルー系は右派、濃紺は極右政党のフロンナショナル(国民戦線)だ。ブルーに染まりつつあるフランスは右傾化を示している。
パリ周辺現代アートセンターに光も

パリ周辺現代アートセンターに光も

パリ周辺の現代アートセンターのなかには、古くから継続して発信を続ける施設もあれば、新しくできたスペースもあり、ここでは、最近見に行ったパリ南方の郊外にある四つの現代アートセンターの顔を少し紹介したいと思う。ヴェリズィ、マラコフ、アルフォールヴィルのセンターは市のサポートによって成り立っており、こうしたパリ周辺の市が応援する現代アートセンターは数が多い。そうした発信地はこの次取材ができた折に、少しずつアップする予定。現在開催中の展覧会へのアクセスは各サイトで。

高くつくテロ対策、一日100万ユーロ & Le Zap

[警備費、一日100万ユーロ(約一億三千万円)] フランスは、1月のシャルリ・エブド銃撃テロ以来、とくにイル・ド・フランスとアルプ・マリチームの二州で襲撃警戒態勢を布いており、これまでの警察や憲兵1万2千人に加え、1万5百人の兵隊が全国にちりばめられている。軍隊出動作戦は「サンチネル」と名づけられたが、国内に兵隊をこれだけ見るのはアルジェリア戦争以来始めてのこと。この警戒態勢は少なくとも4月10日まで続き、可能性として数ヶ月の延長もありうる。すでに9.11以来、観光地や官庁、交通機関などの要所で厳重な警戒を布いていたフランスは、これに加えてイスラム教寺院、ユダヤ教徒の集まる場所、小中学校など教育の現場など830箇所(うち310箇所はイル・ド・フランス)の警備を含めた軍隊出動で、総計一日の出費が100万ユーロに上る、と発表した。

閉鎖に追い込まれる現代アートセンター

フランス各地で、現代アートセンターが6箇所ほど閉鎖に追い込まれつつある。主に、経済的な理由からで、支援する公共団体、市町村県などの経済粛清、右傾化(極右政党の市長*が文化予算カット)による政策の方向転換が大本にある。パリ近郊では、ブランメニルとブレティニィ・シュル・オルジュの現代アートセンター(Centre d’art contemporain CAC)が危機状態。 ほかにパリのマイヨール美術館が閉鎖を決定。またペルピニャンでは美術学校の閉鎖が懸念されている。
Jeff Koons展、ポンピドー・センター国立近代美術館

Jeff Koons展、ポンピドー・センター国立近代美術館

Jeff Koons(ジェフ・クーンズ、本名Jeffrey Koons)の回顧展がパリ、ポンピドー・センター国立近代美術館で行われている。1955年アメリカ、ペンシルバニア生まれ。1980年代初頭にネオ・ポップの旗手として流星のように現れた、という記憶がある。ポップアートはもともと60年代、大衆の生活や大量生産社会を描いて時代を浮き彫りにした大きなムーブメントであったが、70年代の抑制的なミニマリズムやコンセプチュアル・アートを経て、80年代初頭ジェフ・クーンズによって再び日常社会をモチーフに、手に取るものをすべてアートにしてしまう楽観性と自由を享受する新しいアートとして出現する。自分の表現についてクーンズは、「私の作品にはポップ・アートに対して皆が考えるような世間への皮肉や作品に隠された意味などはまったく存在しない。意味があるとすれば、作品をはじめて見た人が感じるものと、作品のあいだになんの溝も存在しないことだ」。
巨大な負債、日銀総裁の直訴が議事録から削除、闇へ?

巨大な負債、日銀総裁の直訴が議事録から削除、闇へ?

更新2015年2月23日: 2月18日、テレビ朝日やフジテレビなどが総理官邸における黒田日銀総裁の「直訴」について取材をした。2月12日、総理官邸において経済財政諮問会議が開かれ、この際、黒田日銀総裁が約5分にわたり、日本経済への強い危機感を示したという。各社報道によれば、日銀総裁は、日本がOECD加盟諸国の中でも「群を抜いて負債が多い」こと、また昨年12月にアメリカのムーディズ格付け会社が、日本国債の格付けをAa3からA1に格を落とし、隣国の韓国や中国より下にランク付けをしたことで、日本国債の信用度が薄れたこと、また信用の下落によって国債が暴落する危機が高まり、国債を大量に抱え込んでいる日本の銀行が危険な状態に陥る可能性が高まることを指摘し、首相へ経済健全化へ向けて本腰を入れるように申し出たという。 これに対し安倍総理はランク付け会社と交渉を、と黒田総裁に促したが、黒田総裁はすでに格付け会社と意見交換をした結果、格付けは変更できないものと答弁した。すでにヨーロッパは格付けにしたがって経済政策を見直す方向にあるという。

続く墓荒らし

2月19日更新:ユダヤ人墓地を荒らした容疑で昨日拘束された15歳から17歳の5人の高校生は、ユダヤ人冒涜を目的としたものと検察官が判断を下し、正式に拘留へ。最大で懲役7年が課される可能性。 *** 「なぜ続くのか、フランスの墓荒らし」- 2月18日、フランス2TV 夜のニュースから。先日のアルザス地方でのユダヤ人墓地が250以上破壊された事件で、高校生が5人逮捕され、司法拘留されることになった。高校生たちはネオナチを称しており、単なるいたずらというよりはユダヤ人に対する攻撃目的で墓を破壊したと判断されている。当該高校では、先生や同級生が「想像を絶する」とことばをなくした。 また今日は、ユダヤ人の墓地ではなく、キリスト教の墓地が攻撃目的となり、フランス北部のカルバドスの小村の墓地で、十字架が折られて地面に転がっていたり、キリストの像が頭から地面に突き刺されていたり、沢山の墓が惨たらしく破壊されているのが発見された。「信じられない。死んだ人の眠りをどうして妨げなくっちゃあならないんですか」、「こんな酷いのは初めて見た」と村人たちは涙ぐむ。
今日のPHOTO、冬空

今日のPHOTO、冬空

今日のPHOTO、2015年2月17日 Photography by Shigeko Hirakawa 先日通ったパリの中心で、ノートルダム寺院を撮影。普通の冬空の風景の中でいつものように観光客が入り口に並んでいる。 フランスは1月のテロ事件以来、襲撃に備える最高レベルの警戒態勢に入っている。すでにかなり以前から(911あたりから)人が集まる建物や美術館などでは厳重な持ち物検査は行われていたし、パリ中心街に急激な変化は見られない。 しかし、パリから7kmはなれた郊外のわが町では、小中学校の周辺は、いつもは子供の送り迎えで親たちの車が駐車していたところにぐるりとバリケードが置かれ、「テロ警戒中」の簡単な張り紙がぶら下がり、駐車禁止となっている。    

アクチュアリティ・日本

1月7日のシャルリ・エブド襲撃事件以来、ISISが日本人二人を含め多くの人質を殺害する映像をネット上に流し、一昨日はデンマークで再び「表現の自由」が標的になるテロが起きて、「テロ」の二文字で2015年が幕を開けたことは非常に悲しく、また将来に大きな暗雲と不安を募らせるものだ。もともとは2001年9.11のあと、アメリカが起こしたイラク戦争から今のISISの出現への流れがあるし、これまでアメリカや有志連合の空爆がイラクやアフガニスタンにむごたらしい被害を出し、一般市民の死者は数十万、あるいは数百万人にも上るといわれるほどの想像を絶する殺戮を行っていることを凝視しなければならないはずだろう。日本人の人質が惨殺される前の日本は、自国が中近東の殺戮に加担してはいなかったし、関係もなかった。これからも加担してはならないし、テロに火を注ぐ側に立ってはならない。こうした戦火を目の前にし、やりきれない日本の政治について、今日は二つほど武田邦彦さんの音声、そして、報道ステーションの取材による再生エネルギーを阻む政府、を聞く。(S.H.)

新しい現代アートの現場、パリとリヨン

大きな施設が開館している。パリ西部のブーローニュの森に出現したルイ・ヴュトン・ファンデーション:http://www.fondationlouisvuitton.fr/ リヨンのミューゼ・デ・コンフリュアンス:http://www.museedesconfluences.fr/

アンチセミティズム

アンチセミティズム(Antisémitisme)は日本語には「反ユダヤ主義」と訳され、今日フランスで反ユダヤ勢力がユダヤ人を暴力的に阻害したり、ユダヤ人の器物を破損したりする行為をさして言う言葉だ。一昨日フランス、アルザス地方のユダヤ人墓地で墓が大量に破壊された。倒されたり破壊されたりした墓石は300にも上る。状況から計画的な犯行と見られ、警察が捜査をしていたが、昨日近くの高校生3人が犯人と断定され器物損害罪で逮捕された。 「これで3回目だ」というユダヤ人家族。「前回は墓石が粉々になっていて、どうやったらこんなひどいことができるのか」。(フランス2TV)
パリ銃撃テロ事件、イスラム社会の抗議(3)

パリ銃撃テロ事件、イスラム社会の抗議(3)

 「I love Muhammad」 中央アフリカのニジェールで、預言者ムハンマドが「私はシャルリ」と書いた紙を持った風刺画を表紙にしたシャルリ・エブドの発行に激怒した暴徒が1月16日金曜日、ジンデーと翌日土曜は首都のニアミーで破壊的なデモを行い、45のキリスト教教会を焼き討ちした。警察当局によると、ホテル5軒、飲料水水源36箇所、孤児院一軒、キリスト教の学校一校が荒らされたという。また当局は、「ニアミーのアンチ・シャルリ・デモの際、フランスの国旗も焼かれた」と伝えた。 16日発刊のシャルリ・エブドに抗議しデモや焼き討ちなどの抗議行動を起こした国は、トルコ、チェチェン、イラン、アフガニスタン、パキスタン、アルジェリア、モーリタニア、ニジェール、ナイジェリア、セネガル、エジプト、マリ、スーダン、イエメン、カター、ヨルダン、バーレン、パレスチナ、フィリピン。オランド大統領の写真を焼いた国もある。
パリ銃撃テロ事件の明暗(2)

パリ銃撃テロ事件の明暗(2)

歴史の瞬間 1.11はヨーロッパやアフリカから約60人にも上る首脳や高官がパリの追悼平和デモ行進に参加するという、1944年パリ解放以来の歴史的な日となった。   外交プロトコルで並ぶ順番が決まっていたデモの列に、突然サルコジ前大統領が最前列へ。本当ならマニュエル・ヴァルスの後ろの列にいなければならなかったはず。 物議をかもし出したサルコジ前大統領の姿はあっという間にネット上で話題になり、Je suis Charlie(私はシャルリ)をもじっていつでもどこでもでてきてしまう(?)Je-suis-nico(私はニコ)というサイトまで出現した。 写真(下):女性雑誌マリー・クレールから イスラエルの新聞は! イスラエルの新聞写真(上)からは故意に女性が消されている。これに対抗するフェミニストの新聞が下。 一般のデモはレピュブリック広場からナシオン広場まで行進。ナシオンの銅像によじ登り、ダンボールで作った鉛筆をかかえる姿を撮った写真が世界を駆け巡ることに。