メセナ、昔と今
メセナはフランス語でmécénatと書く。発注や個人への資金援助をして芸術や文学を振興することを指していい、メセナを行う人間や団体を「メセヌ(フランス語:mécène)」という。歴史を遡ると、アンリ4世が芸術や文化を擁護し、「メセナをした」という記述があるのが知られているらしく、よく引用されているのを見かけるが、現代では、1980年代初頭にフランス国家が積極的に芸術振興をする政策をとり、生きた芸術家にさまざまな支援を施すことを「国のメセナ」と呼んだのが記憶に新しい。 語源は、古代ローマ時代に活躍した詩人であり政治家であったガイウス・キルニウス・マエケナス(ラテン語: Gaius Cilnius Maecenas、 紀元前70年4月13日[1] – 紀元前8年10月)からきており、その名前Maecenasのフランス語への点訳がmécèneであることに由来しているという。

今日のPHOTO
Photography by Shigeko Hirakawa: 2013年12月の今日のPHOTOは、先週訪れたリヨンの特集。 リヨン・ビエンナーレにかこつけてパリを出発した12月13日は、全国的に濃霧注意報が発令され、途中一寸先も見えないほどだったが、リヨン市内は何とか車を走らせられる程度。霧の合間から冬の太陽が現れる瞬間が美しい。 今年のリヨン・ビエンナーレはロボットがテーマで、どのていどアートに変貌しているか判断のしようがないものが多く面白みも少ない。 ひとつふたつ、きらきらしているものがあったかもしれないが、撮影はしなかった。ビエンナーレ周遊のために時間的な余裕を持って来たのに時間をもてあます。サン・ジャンのカテドラルを利用した作家の展覧会を見にリヨン旧市街へ向かい、その足で周辺を散策。リヨン旧市街は、思い出が多い。1988年にフランスで初めて企画個展を開いたギャラリーがここにあったからだ。 一方で、建築の最終段階に入ったかに見えるミューゼ・デ・コンフリュアンスがその突飛な建築デザインで川沿いに巨大な姿を現し始めているのが目を引いている。(S.H.)

ネルソン・マンデラの死とアメリカの大統領
南アフリカのヨハネスブルグ郊外の自宅で療養をしていたネルソン・マンデラが12月5日、95歳でこの世を去った。奇しくも、9000kmはなれたイギリスのロンドンで、ネルソン・マンデラの生涯を描いた映画の上映試写会が行われており、マンデラの二人の娘が試写会に招かれてこの映画を見ていたときだった。ジャーナリストのインタビューに、「父は元気です、静養しています」と答えて試写会に臨んだ娘たちは、映画の途中で父親の急逝を係員から耳元で知らされることになった。…
PISA・ランキングとは? フランスはパッサーブル
PISA・ランキングとは? PISAの2013年の結果が発表され、フランスでも日本でも報道された。フランスは、数学的応用力で25位。2009年の22位から3ランク下落した。 PISAとは、The Programme for International Student Assessment(国際生徒評価のためのプログラム)の略語で、フランス語ではProgramme International pour le Suivi des Acquis des élèves(PISA)、日本では生徒の学習到達度調査。また、OECD(The Organisation for Economic Co-operation and Development 、フランス語:Organisation de coopération et de développement économiques)とは、日本語では経済協力開発機構。欧州や北米の先進国により、国際経済全般について協議することを目的とした国際機関で、本部はパリにある。 PISAは、加盟国34カ国を中心に、義務教育の終了段階にある15歳の生徒を対象に、読解力、数学的応用力、科学的応用力の三分野を調査し、国際的に学習到達度を比較することによって教育方法を改善していくことを目標とするという。
ルシアン・ヌーヴィルト Lucien Neuwirth
・ルシアン・ヌーヴィルト、昨日死去 1967年、女性に避妊薬(ピル)を解禁する法の名となったルシアン・ヌーヴィルトが、昨日の夜亡くなった。89歳だった。 16歳でレジスタンスとなり、長い間右派の議員、そして上院議員を務め、当時非常に保守的だったフランスで1967年、与党内の大多数の反対派を押し切って避妊薬を解禁する法律を通過させ、「避妊薬の父」とまで呼ばれた。 1924年5月18日にサンテティエンヌで生まれたルシアン・ヌーヴィルトは、フランス自由戦線に合流、戦争中に重傷を負い、囚人の身となった。パリ解放までRPF党に入党。政治家の道を歩み始めたのは生家のある町の市議会からだった。 1957年から、国は幸せな出産へ大きな動きを見せ、その動きは家族計画へとつながる。 1967年12月、国民議会で、出生に関する法「ヌーヴィルト法」が決議された。この法律は、避妊薬の生産や輸入を許可し、医師の処方箋で、未成年でも親の許可があれば薬局で避妊薬を購入することが許されるというものだ。とりもなおさずこの法律は、現実に実施されるには1972年の施行決議書が発令されるのを待たなければならない。 ヌーヴィルト法は、一般的な計画出産の概念を導入しただけではなく、女性自身がバースコントロールの主役になることで女性の解放にもつながる意味を持つ法律として、フランスでは歴史的な事象とみなされている。今日は国民議会でヌーヴィルトの死を悼み、その逝去が議員たちに伝えられた。(フランス2TV、20ミニュット)…
フランスの校内暴力対策、その効果
[雪] 今朝も雪が降り続く山岳地域。ローヌ・アルプではドローン(無人小型ヘリコプター)を利用して、雪の重さで切断した電線を探し出して電源を回復。今日は3軒が停電するにとどまった。積雪の多いサンテティエンヌでは除雪車がフル回転しているが、積雪は人の高さにまで至っている。一方、ようやく自動車道や高速では通行がスムーズに行くようになったものの、道路凍結に要注意。 [運送業、5000人解雇?] [ダラスでケネディ暗殺50周年] 11月22日、35代目のアメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディがダラスで暗殺されて50年目を迎えた。ダラスで大々的な追悼式が行われたが、今もなお、リー=ハーベィ・オズワルドの単独行動か、あるいは陰謀による暗殺かで論争が続いている。50年目の今年はケネディ暗殺について100冊もの本が出版されているほどだ。 [国が緊急連絡窓口を設置、夫婦間暴力] フランスで配偶者(夫)による暴力で死亡する妻の数は、年間平均150人。2.5日に一人が殺されている計算となる。一方、暴力を受けても実際に訴え出るのはそのうちの10%に満たない。この事実を受けて女性の権利省は、家庭内暴力の犠牲者を一人でも救おうと、緊急窓口グリーン・ナンバーを設置した。グリーン・ナンバーは3919。
フランス、25県で積雪注意報
2013年11月20日夜、フランスの東南および中部25県で積雪注意報が発令され、21日朝も4県で警報発令中。 リヨンとグルノーブル間の自動車道では50cmの積雪で大渋滞。パリは明け方3℃。 [フランス、TF1TVの21日朝のニュースから]

展覧会アジャンダ、12月
[2013年12月、展覧会アジャンダ] 現代アート展を網羅、PariArt.com ・リヨン・ビエンナーレ(現代アートと舞踏のビエンナーレ)2013年9月12日から2014年1月5日まで。 総合コミッショナー:ティエリー・ラスパイユ、ゲスト・コミッショナー:Gunnar B. Kvaran 現代アート・リヨン・ビエンナーレの5会場:http://www.biennaledelyon.com/fr/edition-2013/expo-internationale/lieux.html
アーティストインレジデンス公募
[Le Château – Résidences de recherche et de création、Le Centre international d’art et du paysage sur l’île de Vassivière, Limoge, France、アートとランドスケープ国際センター、フランス、リモージュ地域ヴァスィヴィエール(フランス文化省関連支援、現代アートセンター)] ル・シャトー、研修と制作のためのレジデンス(グラント付) 第五シーズン:2014年2月17日から6月13日まで。 分野:造形芸術、文筆、その他の各分野から一人ずつ計3人選考される。
驚きの日本の軍備
更新:2013年11月22日: 報道するラジオが特別報道。軍縮するヨーロッパのイギリス、フランスの軍事力を上回る日本の自衛隊が、さらに装備を増すことの意味は? … 安倍政権の国家主義に敏感に反対の意識を表す日本人はどのくらいいるのだろう。これが私の参議院選挙以来の最近の疑問だ。首相や与党の使う「ことば」と「ことばによる人心操作」は、本当はメディア(報道機関)が細心に、留意しなければならないものなのではないか。そんな感想を参議院選挙の「ねじれ解消」という安倍首相の発言のときから考えている。「ねじれ」という否定的な趣を持つことばを「解消」ということばで一般人の心に「修正しなければならない」と思わせてしまう。そんな与党の「恣意」がありありと感じられたことばであったにもかかわらず、報道は政府の恣意などには頓着せず(?)、そのままリピートしてしまっていた。そんな報道各社のリピートは、それこそ政府の恣意を覆い隠す結果となり、視聴者たちに「ねじれは悪者」そして「解消」すべきもののように訴えてかけてしまっていたのではないだろうか。与党のことばの操作は、実はあらゆるところに網羅されている。11月15日の報道するラジオは、そうしたことばの操作とメディアについて、侃々諤々。… 福島原発事故収拾に「国が前面に出る」という安倍発言の裏の真実について。11月22日放送分も追加。

Arte Laguna Prize – 第8回アルテ・ラグーナ賞公募
[第8回アルテ・ラグーナ賞 Arte Laguna Prize] 賞金総額、18万ユーロ(約2400万円)、各部門の優勝者への賞金は7000ユーロ(約100万円)。 ♦概要: イタリア文化協会 MoCA (Modern Contemporary Art)は、アルテ・ラグーナ・スタジオとの提携で、現代アートの振興を目的として、第8回国際アルテ・ラグーナ賞コンペを開催する。賞金総額は€ 180000、約2400万円。 後援は、イタリア文化遺産省、外務省、ベネト地域議会、ヴェネチア市、Cà Foscariヴェネチア大学、欧州デザイン・インスティテュート等。 受賞者は、賞金のみならず、ヴェネチア有数の企画によるグループ展、画廊企画展、アーティストインレジデンス、カタログ出版等、数々の賞を受ける。 コンクール部門は5部門で以下の通り。
アーティストインレジデンス公募、マラコフ市現代アートセンター
La Maison des Arts de Malakoff-フランス、マラコフ市メゾン・デ・ザール現代アートセンター企画、グラント付アーティストインレジデンス] 応募内容の詳細ダウンロード(フランス語のみ) l’appel à candidature http://maisondesarts.malakoff.fr (パリの南の境にあるマラコフ市メゾン・デ・ザール現代アートセンターは、このブログでもすでに紹介。) 応募期限:2013年11月25日 レジデンス期間:2014年3月3日から7月6日まで グラント:3200ユーロと材料費
アクチュアリティ・日本
お馴染みになった大阪毎日放送、「報道するラジオ」。福島第一原発の収拾もまったくといっていいほど目処が立たない今日、東京電力は新潟の柏崎原発の再稼動を急ぎ、また一方で東電は自社単独で4号機プールからの使用済み核燃料の取り出しを始める決定をした。この東電の二つの動きについて、新潟県知事の主張する安全の論理を実声で聞き、また、4号機プールの使用済み核燃料取出しは一度エラーを起こせば周辺の人間が即死するほどの放射能拡散の危険をはらむものにもかかわらず、そうした危険へ対処すべき国がどうして関与せずにいるのかを問う。専門家たちの検証は、あらためてメルトダウンした核をかかえる日本の危うさを認識させるものだ。ここで、報道するラジオがタイトルにつけた「原発ムラとの攻防」からは、新潟県知事の正当な主張を妨害する黒い霧のの蔓延を危惧させずにはおかない。(S.H.)…