フランスから―環境とアートのブログ

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Posts tagged "フランス"
Noël 2015

Noël 2015

続く墓荒らし

2月19日更新:ユダヤ人墓地を荒らした容疑で昨日拘束された15歳から17歳の5人の高校生は、ユダヤ人冒涜を目的としたものと検察官が判断を下し、正式に拘留へ。最大で懲役7年が課される可能性。 *** 「なぜ続くのか、フランスの墓荒らし」- 2月18日、フランス2TV 夜のニュースから。先日のアルザス地方でのユダヤ人墓地が250以上破壊された事件で、高校生が5人逮捕され、司法拘留されることになった。高校生たちはネオナチを称しており、単なるいたずらというよりはユダヤ人に対する攻撃目的で墓を破壊したと判断されている。当該高校では、先生や同級生が「想像を絶する」とことばをなくした。 また今日は、ユダヤ人の墓地ではなく、キリスト教の墓地が攻撃目的となり、フランス北部のカルバドスの小村の墓地で、十字架が折られて地面に転がっていたり、キリストの像が頭から地面に突き刺されていたり、沢山の墓が惨たらしく破壊されているのが発見された。「信じられない。死んだ人の眠りをどうして妨げなくっちゃあならないんですか」、「こんな酷いのは初めて見た」と村人たちは涙ぐむ。
The Economist、2015年展望の表紙、世界の首脳の列から消えた安倍首相

The Economist、2015年展望の表紙、世界の首脳の列から消えた安倍首相

アメリカの経済誌、The Economist、2015年1月号の表紙の人物やシンボルは意味深長 オバマ大統領の隣には中国首相、インド、ドイツ・・・。日本は?? 左奥のほうに浮世絵が! 安倍首相が消えてしまっている。日本経済は世界の後方へ? 浮世絵は、日本の経済隆盛はとうとう過去のものとなリ、世界の勢力と肩も並べられなくなった今の日本の象徴として使われていると読み解ける。
パリ、シャルリ・エブド銃撃テロ事件の明暗(1)

パリ、シャルリ・エブド銃撃テロ事件の明暗(1)

1月15日追記:この一週間の事態の展開はめまぐるしい。昨日14日オランド大統領は、南仏のトゥーロンに停泊しているフランス最大の空母シャルル・ド・ゴールに乗り込み、海軍に向けて年始の挨拶をした。空母シャルル・ド・ゴールはインド洋に向けて出発する予定だったが、イラク湾岸へ向かい、特別任務(戦闘)に加わることになるようだ。オランド社会党政権は2013年、緊縮経済政策のわくで軍事費の大幅削減と軍隊の3万4千人削減を2019年を目処に達成する法案を可決したが、この日トゥーロンでオランド大統領は、「特別の状況を鑑みて、先に決められた政策を見直し軍備縮小の度合いを緩めなければならない」と発言した。 同日14日、イエメンのアルカイダがパリ銃撃テロの命令を下したという犯行声明を出した。また14日は、25カ国で16カ国語に翻訳された300万部のシャルリ・エブドが事件後はじめて発売され、あちこち売り切れが続出するという異変の直後、先のビデオと同一人物と見られるアルカイダの犯行予告とも取れるシャルリ・エブド最新号の漫画化されたムハンマドへの批判がインターネットに流れた。「シャルリ・エブドが過激派に宣戦布告」というジョーク(?)がFBに載ったほどだ。テロに向き合う世界は、一体どこへ行こうとしているのか・・・。
11月11日11時、第一次大戦から100年

11月11日11時、第一次大戦から100年

今年の11月11日の休戦記念日は特別だ。1914年に第一次世界大戦が勃発して100年を迎え、激しい戦場となったヨーロッパ各地で大々的な記念行事が行われた。フランスTVは100年目に際して、第一次世界大戦の傷跡を特殊な航空写真を検証する考古学者の目で激戦地ヴェルダンが受けた弾痕による土地の疲弊を追い、また、闘いで初めて使われたという化学兵器(マスタード弾と呼ばれた催涙爆弾)で汚染された土地に訪れ、今日も立ち入りが禁止されている地区を取材した。ここでは未だに毎日のように不発弾や銃弾が採取され続けている。(下のビデオ参照:汚染されたヴェルダンの土地で、2012年だけで47トンの不発弾採取)。100年後の傷跡はまだ生々しい。…

70年前の「ドラゴン作戦」、フランス解放へ

8月15日。日本は69年目の終戦記念日。フランスはこの日は聖母の被昇天(せいぼのひしょうてん、L’Assomption de Marie)にあたり、休日だ。カトリック教会では聖母マリアが肉体と魂を持って昇天したことを意味し、1950年からローマ教皇が宣言して教義となった。8月15日という日は、5世紀に聖母マリアを祀った最初の教会がエルサレムへの奉献をした日であるらしい。 一方で、8月15日はフランスにとっても第二次世界大戦を終了させる重要な記念日のひとつとなっている。1944年8月15日早朝、フランスを占領していたドイツ軍を押さえ込む「オペラシオン・ドラゴン」が開始された。6月6日、ノルマンディー上陸作戦で英仏海峡側の北フランスから進攻した連合軍は、一方で70日後の8月15日、南フランスのプロヴァンスへ上陸、進攻を開始した。戦艦2000隻、フランスのレジスタンス軍、イギリス軍、アメリカ軍総計26万人がテウルThéoule からロンド・レ・モールLa Londe-les-Mauresまでの25kmの海岸線に上陸した。前夜の8月14日、19時15分、ロンドンのBBCラジオが「ナンシーは肩こり」という暗号を拡散して各方面へ実行を伝え、明け方5000を超えるパラシュート部隊が舞い降りて戦いが始まり、戦闘の最前線はアゲからカヴァレールまでの70kmにも及んだという。…

フランス地域区割りの再編成に戸惑い

昨日、オーランド大統領がフランスの地域区割りをこれまでの22地域から14地域への再編成計画をトリビューン紙上で提案。「議員を少なくすることで経済効果を狙い、また各議員の責任を重んじる」として、2015年3月に行われる予定の地域議会選挙を同年秋に延期する意向を示した。また2020年には県議会を廃止する方向で法の見直しもするという。しかし、「何の効力も持たない」、「強い地域性を失いたくない」など。議員や市民は戸惑いを隠せない。 La Liberation日刊紙 6月2日付け 1960年からいままで、アルザスやピカルディーなど馴染み深い名前で22に分かれていた地域編成を合併によって14に減らす方針を明らかにした。ル・ヌーベル・オプセルヴァター日刊紙によると、マニュエル・ヴァルス首相は、2017年までの3年間で区割りを動かし、また欧州連合を強化する方向へ持っていくために最終的には地域を9つにする方針も明らかにしたという。すでに2009年、バラデュール内閣が地域改革委員会で協議した大改革は2014年を目処に実行へ移されようとしている。しかし、各地域には地域の特殊性や歴史的文化的な誇りもあり、合併によって失われるものへの懸念が根強い。

アクチュアリティ・Le Zap

フランスのアクチュアリティ、フランス2TV、TF1TVから [新しい電車「Ter」2000列車、幅が広すぎてホームに入らず] SNCF(Société nationale des chemins de fer français、フランス国営鉄道会社)に納品された2000もの地方列車「Ter」が20cmほど幅広く製造されてしまったことが判明。全国で1060箇所の駅のホームを削って広げ、Terが入構できるようにしなければならなくなった。工事費総額、ざっと5000万ユーロ。「いったい誰の責任か」。
アート・プロジェクト「ウォーター・フットプリント」、ビデオとコンセプト

アート・プロジェクト「ウォーター・フットプリント」、ビデオとコンセプト

環境アート「ウォーター・フットプリント」 展覧会ドキュメント・ビデオ 「アーティストの視線」 展 フランス、フィニステール県、トレヴァレーズ領 2014年、4月12日から10月13日まで 人間活動の自然へのインパクトを語るとき、「エコロジカル・フットプリント」という表現に行き着く。 「フットプリント(足跡)」ということばが使われるようになった背景に、人間が自然を踏みにじった跡という意味があり、定義の生みの親の一人 William E. Reesによれば、「エコロジカル・フットプリントは、人間活動が環境に与える負荷を、資源の再生産および廃棄物の浄化に必要な 面積として示した数値(…)」であるという。このことで私たちが直感的に気づくのは、近い将来、世界の人口が増加し、「フットプリント」が拡大していっ て、われわれは持続可能な開発への理想からはどんどん離れていくだろうということだ。 水についてのリサーチ段階で、私は地球の将来に対する悲観的なビジョンばかりに出会った。 地球は水が豊富である。しかしその97.5%は海水で塩分を含んでおり、わずか2.5%が淡水なのだ。 淡水の68.9%は氷。30.8%は 地下水。つまり、淡水のほんの0.3%が川や湖などを満たす水なのである(FAOWATER 調査)。氷河も地下水も減少している今日、世界の人口は増加 し続けている。現在水の確保に困難な国の数は、2025年には倍増する計算だ(つまり、世界の3分の2の国が水飢饉に瀕する)。… 

今朝、フランス新内閣発表

オーランド公約の中軸ともなっていた失業者対策がまったく功をなさず、失策を認めたオーランド政権への跳ね返りは強かった。3月末に行われた地方選挙で与党社会党は惨敗。この結果を受けてエロー首相が辞任しマニュエル・ヴァルスが新首相に任命され、今朝新しい閣僚の顔ぶれが発表された。 マニュエル・ヴァルスの首相任命直後から、野党保守のUMPからは「社会党が地方選挙で負けたのだから、本来ならば野党保守から首相を立てるべきなのではないか」という声が上がり、またヨーロッパ・エコロジスト派は「新内閣にはエコロジストは参画しない」と党首や責任者があちこちで拒否表明を公にするなど、波乱を含んだが、最終的にエコロジストは恣意的に退いて一人も大臣にならず、また社会党以外からの大臣は2人のみにとどまる新内閣構成が発表された。 町・スポーツ省が女性の権利省と一体化したほかは、省構成はほぼ保たれ、閣僚16名のうち8名は女性となっており、社会党の政策の一環である男女比率を同等にするパリテ法(2000年成立)が前内閣構成と同様に厳守されている。

隣の芝生

2014年3月12日付け、フランス2TVの夜のニュースで、ライン川の流れるアルザス地方で実際にある話の紹介。ライン川のこっちフランスでは、失業が半年1年と、長期になる失業者の苦悩がつのっているが、ドイツ語を話せる40歳の男性がライン川を越えたドイツの職業紹介所に出向いたら、その場で求人をしている会社と面談予約が取れた。「明日の朝の約束が取れました」と顔を輝かせる彼は、失業して半年になるがフランスではなかなか職が見つかっていない。「初めて川を渡ってドイツの職業安定所に来ましたが、こんなにすぐに約束が取れるなんて。しかも私の経歴に非常に興味をもってくれているみたいです」。失業率は、ライン川を隔てたフランス側では9.8%であるのに対し、10kmと離れていないドイツはフランスの半分だという。しかも求人をする会社が多く、人手が足りないほどなのだ。こうして目と鼻の先の国境を越えて就職したフランス人は昨年だけで219人にのぼる。隣の芝生はただ青々としているだけではなく、生活も明るいということか。

国際女性の日、フランスと日本との違いは?

更新:2014年3月9日。3月8日は国連が指定した「国際女性の日」だ。 フランスの大統領官邸では、女性の権利省大臣、ナジャット・ヴァロー=ベルカセムと女性の会社社長13人が集い、経済社会における女性の平等性について討論を交わした。 http://www.najat-vallaud-belkacem.com/2014/03/09/echange-avec-le-president-hollande-et-13-femmes-cheffes-dentreprise/ (ナジャット・ヴァロー=ベルカセム大臣の公式サイト、3月9日付け) ヨーロッパは女性の進出がパリテ政策とともに格段に進展したとはいえ、まだまだ平等というには程遠く、例えば同等の社会的地位に着く女性と男性の給与格差が平均20%存在する。男女差別を要因するもののうち女性が社会で働く上で日常身につける服装が問題で、男性は背広にネクタイといういわゆる社会でのユニフォームがあるのに対し、女性には働く女性を象徴する服がなく、会社の上層部にある女性の毎日の服装への配慮は欠かせない。(TF1TV)一方で、フランス2TVは服装の違いのない軍隊の女性兵士を取材した。もちろん現在まだまだ女性兵士の数は男性兵士に比べ大変少ないが、昇進に関してはまったく差別がなく、兵士たちは女性指揮官のもとでも男性指揮官のそれと同様、規律を守って訓練を行っている。「まったく性差を感じずに日常の仕事をこなしています」とは一等兵の教官にあたる女性軍曹。日常の運動も彼女が指揮。それに従う男性兵士には何のためらいもみられない。 さて日本はどうだろうか? 日本内閣府のジェンダー白書を覗いてみよう。日本の女性の社会参画状況は、かなり厳しいことがみてとれる。 平成24年度、男女共同参画社会の形成の状況、及び、平成25年度、男女共同参画社会の形成の促進施策 (平成25年版男女共同参画白書)へリンク
世界の富、ますます偏り・・・引き続きフランスは洪水

世界の富、ますます偏り・・・引き続きフランスは洪水

[フランス南東部、地中海側のヴァール県、洪水で大被害] 一昨日から大嵐による水位の上昇で洪水となった南仏のヴァール県ではようやく水が引き出し、その多大な被害のほどが明らかになり始めた。家々は一階がほとんど浸水し、1500人が避難。うち600人が仮設避難所へ。215人がヘリコプターで搬送されたが、650世帯が停電のままだ。救助に臨んだのは500人の消防士、憲兵隊300人、警察50人、軍隊も78人出動した。 下のフランス地図は21日火曜に発表されたもので、赤は警戒警報、オレンジは注意報など。南仏のマルセイユからニースにかけてヴァール県をまたがる地域の水色の波模様は洪水警報を指している。

ルシアン・ヌーヴィルト Lucien Neuwirth

・ルシアン・ヌーヴィルト、昨日死去 1967年、女性に避妊薬(ピル)を解禁する法の名となったルシアン・ヌーヴィルトが、昨日の夜亡くなった。89歳だった。 16歳でレジスタンスとなり、長い間右派の議員、そして上院議員を務め、当時非常に保守的だったフランスで1967年、与党内の大多数の反対派を押し切って避妊薬を解禁する法律を通過させ、「避妊薬の父」とまで呼ばれた。 1924年5月18日にサンテティエンヌで生まれたルシアン・ヌーヴィルトは、フランス自由戦線に合流、戦争中に重傷を負い、囚人の身となった。パリ解放までRPF党に入党。政治家の道を歩み始めたのは生家のある町の市議会からだった。 1957年から、国は幸せな出産へ大きな動きを見せ、その動きは家族計画へとつながる。 1967年12月、国民議会で、出生に関する法「ヌーヴィルト法」が決議された。この法律は、避妊薬の生産や輸入を許可し、医師の処方箋で、未成年でも親の許可があれば薬局で避妊薬を購入することが許されるというものだ。とりもなおさずこの法律は、現実に実施されるには1972年の施行決議書が発令されるのを待たなければならない。 ヌーヴィルト法は、一般的な計画出産の概念を導入しただけではなく、女性自身がバースコントロールの主役になることで女性の解放にもつながる意味を持つ法律として、フランスでは歴史的な事象とみなされている。今日は国民議会でヌーヴィルトの死を悼み、その逝去が議員たちに伝えられた。(フランス2TV、20ミニュット)…