フランスから―環境とアートのブログ

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フランス文化のきのう、きょう

メセナ、昔と今

メセナはフランス語でmécénatと書く。発注や個人への資金援助をして芸術や文学を振興することを指していい、メセナを行う人間や団体を「メセヌ(フランス語:mécène)」という。歴史を遡ると、アンリ4世が芸術や文化を擁護し、「メセナをした」という記述があるのが知られているらしく、よく引用されているのを見かけるが、現代では、1980年代初頭にフランス国家が積極的に芸術振興をする政策をとり、生きた芸術家にさまざまな支援を施すことを「国のメセナ」と呼んだのが記憶に新しい。 語源は、古代ローマ時代に活躍した詩人であり政治家であったガイウス・キルニウス・マエケナス(ラテン語: Gaius Cilnius Maecenas、 紀元前70年4月13日[1] – 紀元前8年10月)からきており、その名前Maecenasのフランス語への点訳がmécèneであることに由来しているという。

ルシアン・ヌーヴィルト Lucien Neuwirth

・ルシアン・ヌーヴィルト、昨日死去 1967年、女性に避妊薬(ピル)を解禁する法の名となったルシアン・ヌーヴィルトが、昨日の夜亡くなった。89歳だった。 16歳でレジスタンスとなり、長い間右派の議員、そして上院議員を務め、当時非常に保守的だったフランスで1967年、与党内の大多数の反対派を押し切って避妊薬を解禁する法律を通過させ、「避妊薬の父」とまで呼ばれた。 1924年5月18日にサンテティエンヌで生まれたルシアン・ヌーヴィルトは、フランス自由戦線に合流、戦争中に重傷を負い、囚人の身となった。パリ解放までRPF党に入党。政治家の道を歩み始めたのは生家のある町の市議会からだった。 1957年から、国は幸せな出産へ大きな動きを見せ、その動きは家族計画へとつながる。 1967年12月、国民議会で、出生に関する法「ヌーヴィルト法」が決議された。この法律は、避妊薬の生産や輸入を許可し、医師の処方箋で、未成年でも親の許可があれば薬局で避妊薬を購入することが許されるというものだ。とりもなおさずこの法律は、現実に実施されるには1972年の施行決議書が発令されるのを待たなければならない。 ヌーヴィルト法は、一般的な計画出産の概念を導入しただけではなく、女性自身がバースコントロールの主役になることで女性の解放にもつながる意味を持つ法律として、フランスでは歴史的な事象とみなされている。今日は国民議会でヌーヴィルトの死を悼み、その逝去が議員たちに伝えられた。(フランス2TV、20ミニュット)…
本当に解放されたといえるのか? 5月10日奴隷解放の日

本当に解放されたといえるのか? 5月10日奴隷解放の日

奴隷解放記念日である5月10日金曜日、フランソワ・オーランド大統領がトビラ法務大臣、フィリペッティ文化大臣らとともに上院のあるリュクサンブール庭園の記念碑に花束をささげ、スピーチを行った。
新刊書『ジャック・ラング、文化への闘い』

新刊書『ジャック・ラング、文化への闘い』

  新刊書『ジャック・ラング、文化への闘い - 文化政策10年』 文化省史委員会  マリ-ヴォンヌ・ド・サンピュルジャン監修: 文化の民主化、文化の地域敷衍、文化の多様化、文化教育の改革を掲げて文化復興のために闘ったジャック・ラングへのインタビューが、ラジオのフランス・キュルチュール企画で2011年8月に実現した。 1981年フランソワ・ミッテラン社会党新政権下で文化省は省として再建され、ジャック・ラングが文化大臣に就任した。フランス・キュルチュールのインタビューは文化大臣就任30周年を契機に行われたものである。 ミッテラン政権前、1970年代のジスカール・デスタン政権下では、文化は局レベルに格下げされて大幅に縮小していたためほとんど活動らしい活動はなかったといわなければならない。したがってその直後に文化大臣となったジャック・ラングの仕事は、文化を再建するというよりは、国の文化復興のために新しいビジョンを基礎から設計をしなおし、そのビジョンへむかって国全体が動き出すためのインフラストラクチャーを建設し始めることにあった。…

ユダヤ人の持ち主へ絵画の返還

フランス文化省は2013年3月19日、フランスの美術館で保管されていた絵画を持ち主へ返還する式典を催した。絵画の所有者は、第二次世界大戦中、フランスに在住していたユダヤ系オーストリア人。ドイツのナチスやフランス警察の追及を逃れて1939年フランスを脱出する際、持ち出すことができずにフランスにおいていった所蔵品で、アメリカのボストン在住の孫にあたるトーマス・セルドルフ氏が式典のため来仏。報道陣を前にオレリー・フィリペッティ文化大臣がセルドルフ氏に手渡しし、大臣はこれからも積極的に戦時中に不当に収集されたり迷子になった絵画の持ち主を探す研究を進めることを約束した。セルドルフ氏への作品の返還は70年ぶりとなる。 絵画は、17、18世紀のイタリアの画家 (Gaspare Diziani, Sebastiano Ricci…)のもの6点。返還手続きは生易しいものではなく、ボストンから駆けつけた84歳のセルドルフ氏は、繊維産業を営み芸術愛好家であった祖父のリチャード・ナウマン氏の思い出を語りながら感激していた。 リチャード・ナウマン氏は第二次大戦前、200点あまりの作品をコレクションしていたが、祖国オーストリアが1938年にドイツのナチと協定を結んだことでオーストリアから逃亡せざるを得ない状況に陥り、その際にコレクションの一部をオーストリアにも置き去りにしなければならなかった。家族とともに幾ばくかの作品をかかえてパリへやってきたが、1941年、スペインからキューバ、そしてニューヨークへ渡るために絵画を急いで手放したのだという。…

ヨーロッパ文化首都政策

・「ヨーロッパ文化首都 Capitale européenne de la culture」政策化の由来: 1983年当時、ギリシャの文化大臣であったメリナ・メルクーリは、ヨーロッパ共同体が、文化を経済ほど重んじずにいることへ言及し、文化プロジェクトを経済同様もっと振興すべきとして、ヨーロッパ共同体に参加する国々の文化プロジェクト推進を目的に「ヨーロッパ文化都市 la ville européenne de la culture」構想を、EUに提言した。メルクーリの提言は、フランスの文化大臣ジャック・ラングが支持し、1985年第一回目の「ヨーロッパ文化都市」がアテネで開催された。こうして毎年、ヨーロッパ連合加盟国の都市を選考してその都市や国の文化の豊かさや多様性を一年にわたってヨーロッパへ表明することで、それぞれの地域振興に役立てることを主眼にした文化事業が出発した。…
謹賀新年 2013

謹賀新年 2013

今年も宜しくお願いいたします。(S.H.)

フランス、安楽死を法案化へ

フランソワ・オーランドは大統領当選直後の2012年6月、尊厳死についての法案化を目的とした研究の責任者としてディディエ・シカール医学博士を任命した。安楽死は時代や世代を越えた普遍的な課題で、今回はじめて大統領が直接エキスパートを指名し、国が責任の所在を明らかにすべく、医療と政治および司法、そして道徳を結ぶ研究を委託したかたちだ。…

フランス政府、女性の権利へ第3世代の政策を打ち出す

[男女格差をなくすのは教育から] 2012年11月30日金曜日、ジャン=マルク・エロー首相は、「男女格差の現状をあらゆる点において調査し、改善策を実施するために、すべての省庁の大臣や代表に呼びかけており、すでに仕事は始まっている」と発表。政府は「実社会における女性の権利の確立」にむけて積極的に思想を展開し、70年代90年代から数えて第3世代となる政策を打ちたて、遂行する方針をとり決めた。 男女格差をなくすために政府政策の中心となるのは、おもに、学校教育の中での男性女性のイメージ像に関する型にはまった教育を改めて内容や教育態度を一新すること、女性の虐待や就職難などで、女性の権利にかんし、政府が省間委員会に大臣らを集めて大々的な動きを見せるのは12年ぶり。これに応えて教育省が全国レベルで男女格差をなくすために現行の教育のありかたを見直すことになった。 教育に関しては、保育所幼稚園レベルから高校まで、教育の現場の教員や教育に関連する協会が主導する。子供たちは小さいうちから「平等のABCD」を学び、型にはまった教育をうち壊す。そのために教育資料を作成して子供たちに配布し、2013年新学期から5校で教育実験が試行される。2014年からは一斉に全国の学校が男女平等へむけた教材を扱う計画だ。
フランス文化省、2013年度文化予算の内容、Culture - act2

フランス文化省、2013年度文化予算の内容、Culture – act2

2013年度のフランス文化・コミュニケーション省の年度予算は74億ユーロ(約7400億円)。うち、35.5億ユーロを文化、研究、メディアへ、また、38.3億ユーロを公共のオーディオヴィジュエルへ充てることが決定した。 2013年度予算は、2012年歳出に比べ2%減となり、文化省も国の緊縮政策へ寄与する姿勢を見せる形となっているが、一方で、これからも基本的な使命を保持し、歴史建造物へのてこ入れ、地域への介入(特に、舞台芸術や造形芸術方面)、芸術文化教育および高等教育をを発展させる方向で、明解に文化政策を推進していくことを確証するものとなっている。
FRAC(現代アート地域基金機構)30周年、ポンピドーセンターで建築展

FRAC(現代アート地域基金機構)30周年、ポンピドーセンターで建築展

Fonds régional d’art contemporain: 頭文字をとってFRAC(フラック)と呼ばれる現代アート地域基金機構の資金は、フランス文化省を中心に、国と地域議会によって采配され、現代アートを推進する目的で、地域ごとに芸術作品の発注制作や買い上げを定期的に行いながら、現代アートの資産(注:収蔵品の形成を資産の形成として考え、市民へ芸術教育の資源として還元し続ける)を形成していくことを大きな役割として担っている。 第二に、蒐集されていく現代アートを、地域の文化インスティテュートや、教育機関、公共団体などとともに多角的に利用し現代アートを普及させる。また、作品紹介、解説、芸術家との出会いなどの企画を継続的に行い、現代の創造がいかにして生まれてくるかを分からせ、収蔵品を基に地域との密接なコンタクトを行うことが、FRACの大きな使命である。…
エッフェル塔が生き残れた理由

エッフェル塔が生き残れた理由

フランスTF1TV(ビデオ):

オーランド政権、次々に選挙公約実現にとりかかる

住宅問題と移民問題:…

国民議会選挙にむけてのパリテは? (フランス2TV調べ)

フランス2TVは、この6月に行われる国民議会選挙の立候補者について、2000年に通過したパリテ法(男女均等法のことで選挙の際に各党が男女同数の立候補者を出すことを義務付ける法律)が守られているかどうかを調査した(フランス2TV5月25日放送)。 党別の調査では女性立候補者の割合は次のとおり。…