新刊書『ジャック・ラング、文化への闘い - 文化政策10年』 文化省史委員会 マリ-ヴォンヌ・ド・サンピュルジャン監修:
文化の民主化、文化の地域敷衍、文化の多様化、文化教育の改革を掲げて文化復興のために闘ったジャック・ラングへのインタビューが、ラジオのフランス・キュルチュール企画で2011年8月に実現した。
1981年フランソワ・ミッテラン社会党新政権下で文化省は省として再建され、ジャック・ラングが文化大臣に就任した。フランス・キュルチュールのインタビューは文化大臣就任30周年を契機に行われたものである。
ミッテラン政権前、1970年代のジスカール・デスタン政権下では、文化は局レベルに格下げされて大幅に縮小していたためほとんど活動らしい活動はなかったといわなければならない。したがってその直後に文化大臣となったジャック・ラングの仕事は、文化を再建するというよりは、国の文化復興のために新しいビジョンを基礎から設計をしなおし、そのビジョンへむかって国全体が動き出すためのインフラストラクチャーを建設し始めることにあった。…
ジャック・ラングの文化大臣在職期間は、1981年から1986年、1988年から1991年。在職30周年記念となる2011年夏には、フランス・キュルチュールで5回にわたる「文化への闘い」と題した番組を組んでインタビューが行われ、大変好評を呼んのである。聴取者の反響の大きさを鑑み、作品化することが決定して、文化省史委員会が文化省のアーカイブへ治めることを目的に監修を担うことになった。インタビューの大きな主題は5つで、FRAC(フラック、現代アート買い上げ地域基金)の設立、ラジオ・リーブル、音楽祭の日、ル・グラン・ルーブル、アングレーム映像高等学校、となっている。
つけ加えるならば、歴史的な遺産だけが文化の対象となっていた時代から立ち上がり、芸術分野の分割によって各分野へ向けて専門的に政治政策を立ち上げて振興を図り、芸術に携わる人間の活動や生活を社会と結びつけて支援の体系を整えるなど、文化全体、国民全体の活性化へ向けて大きな事業を作り出していった。この当時の新しい創造と一般市民の理解の間に立ち続けたジャック・ラングの熱意は、今もラジオインタビューを通して鮮明に蘇ってくる。
・フランス・キュルチュール・ラジオ、「文化への闘い、すべてが文化」
・本の原題:『Jacques Lang, batailles pour la culture, dix ans de politiques culturelles』sous la direction de Maryvonne de Saint Pulgent, Comité d’histoire du ministère de la Culture, La Documentation Française, 18€
Année d’édition :2013
Réf. : 9782110094087
256 pages, 16x24cm
ISBN : 978-2-11-009408-7