2013年度のフランス文化・コミュニケーション省の年度予算は74億ユーロ(約7400億円)。うち、35.5億ユーロを文化、研究、メディアへ、また、38.3億ユーロを公共のオーディオヴィジュエルへ充てることが決定した。

2013年度予算は、2012年歳出に比べ2%減となり、文化省も国の緊縮政策へ寄与する姿勢を見せる形となっているが、一方で、これからも基本的な使命を保持し、歴史建造物へのてこ入れ、地域への介入(特に、舞台芸術や造形芸術方面)、芸術文化教育および高等教育をを発展させる方向で、明解に文化政策を推進していくことを確証するものとなっている。

フランス文化省 Photo:S.H.

フランス文化・コミュニケーション省は、「Culture -act 2、soutenir la création et la diversité à l’heure numérique 文化-アクト2、デジタル時代の創造と多様性を支援する」と銘打って、デジタル時代のクリエーションへ大きな一歩を踏み出す政策を打ち出すことを決めた。

Culture – act 2

[2013年度予算の概要、主な数字]:

73億630 €:フランス文化およびコミュニケーション省 (-2,3%)

38億 €、公共オーディオヴィジュエル

-3.3% 文化ミッション (-4% hors évolution de CAS pension)

・3億2200万 €、 歴史建造物

・3億8580万€、舞台芸術(パフォーマンス)、造形芸術、この二つの分野は聖域として堅持する。

2億3220万€、高等芸術教育(エコール・デ・ボザール、オーゼチュードなど)(+2.52%)

+10.8%、高等文化教育への奨学金制度

3320万€、芸術文化教育(+8%)

5億1600 万€ 報道援助金

7億7440万€  DRAC助成金

113万€、オペレータ

数字の出典:フランス文化省サイト
2012年10月1日付

My opinion: “Touchent pas à la culture !” (文化に触るな)とは、このヨーロッパとフランスの経済恐慌のなかで、この夏中言われ続けてきたいわば新政府の[合言葉]。他の省が、平均7%の予算削減を余儀なくされている中で、フランス文化省は、削減率に大幅にブレーキをかけて-2.3%にとどめる形となり、フランス文化省のWebサイトが言うように、「使命を遂行するために、明解に文化政策を推進していくことを確証するもの」となっている。ミッテラン以来15年ぶりの社会党政権はじめてのこの秋の予算成立は、文化人たちの胸をなでおろした。

特に、「舞台芸術、造形芸術は、聖域として堅持する」という但し書きがある事実事態が頼もしい。

サルコジ政権中は、文化省の地域への出先として30年来活躍してきた「地域文化振興局、DRAC」を消滅させる方向にあり、あちこちから文化衰退の懸念が噂されていた。中心から地方へ向けた動脈の一つとも言うべき機関で、地域の文化のバックボーンだ。そのDRACの首もつながった。やれやれ。

ただし、サルコジ時代に縮小されてまとめられてしまった文化省構成は、まだ再編成には至らず、大まかに分断して4つの柱があるのみ。文化嫌いの右政権の禍根を残したまま、昔の社会党時代のような思い切った大改造はやっぱり望めない、ということのようだ。文化省構成:http://www.culturecommunication.gouv.fr/Ministere/Les-directions(S.H.)