アクチュアリティ、経済
・[外資参入に侃侃諤諤] フランスのアルストム(Alstom、 おおもとは Als-Thom、 Alsthom、Alsthom Atlantique、Gec-Alsthomと変遷し、1998年に現在のAlstomとなる)は交通輸送関係、主に鉄道生産(メトロ、電車、トラム)やエネルギー産業系統(発電所、風車など)の大手として有名だが、会社の不振と昨年の1300人の人員カット以来、会社の売出しを検討。シーメンスかアメリカのジェネラル・エレクトリックかとささやかれていたが、この2、3日で事態は急転直下、アルストム・パワーとアルストム・グリッドを対象にジェネラル・エレクトリックが123,5億ユーロを提案してオーランド大統領もまたアルストム社長パトリック・クロンもこのオファーに好意を示した。 ジェネラル・エレクトリック(以後省略してGE)はすでに19世紀半ばに電気機関車が普及し始めた折からアルストムと提携して仕事をするなどし、また、フランス国内にもベルフォールにGEの工場がアルストムと隣りあわせで生産に取り組んでおり、今回のGEの大型参入はそれほど驚くには値しないように思われるが、巨額のオファーをした4月29日から30日にかけて、政府の受け入れもまたアルストム社長クロン氏の対応も好意的かつ迅速にすぎ、これに対する一般市民側の懸念が噴出している。 フランス2TVの夜8時のニュースにGE社長、ジェフリィ・エメルト氏が招待され、最初から厳しい質問がとんだ。「GEはフランスを食いつぶす脅威になるのではないですか?」

なぜ環境問題か、というはなし その1
「環境アート」という主題を自分のウェブにつけたのはもう14、15年も前のことになる。自分が何をやっても結局は自分の身の回りの環境に多かれ少なかれ影響された作品を作っていることに思い当たったときに付けた。したがって70年代で起きた歴史的な「環境アート」とは切り離れてぽつんとある。また「日本にいたらこんな作品は作っているはずがない」と思うことでフランスの環境が私の思考の反射板的となっていることがいつも浮き彫りになった。このことが、2003年のアメリカ行きを決めた要因でもある。「もしアメリカにいたとしても、今のような作品を作ってはいないだろう」という推測は、このとき現地アメリカで大いに確証を得たといっていい。自然環境のみならず、社会が違う。文化や言語のみならず、社会構造から来る気分がまったく違う。アートの成立も結局はすべて環境に帰するという思いを強くしたのはこのときだ。…

今日のPHOTO
今日のPHOTO Photography by Shigeko Hirakawa ブルターニュの展覧会(トレヴァレーズ領の二人展)オープンの翌日、海岸線にたどり着いて撮影した海辺の花と夕焼け。

プロジェクト「ウォーター・フットプリント」
[プロジェクト「ウォーター・フットプリント」] 構想は2012年。実現は2014年4月、フランス、フィニステール県トレヴァレーズ領での企画展「アーティストの視線」。 展覧会「Regard d’artiste」: トレヴァレーズ領の企画展覧会(アーティスト二人の作品プロフィール): - Shigeko Hirakawa : Water Footprint Project - François Méchain : Perspectives Domaine de Trévarez, Saint Goazec, France 会期:2014年4月12日から10月13日まで、毎日開館。 企画:フィニステール県、EPCC Chemins du patrimoine en Finistère サイト:http://www.cdp29.fr/fr/agenda/view/151/shigeko-hirakawa/ Trévarez: トレヴァレーズ領、便利インフォメーション 平川滋子、プロジェクト「ウォーターフットプリント」の内容と展示作品: インスタレーション「ウォーター・フットプリント」(55トンの水の上を歩く) パフォーマンス「水を追いかける」(1800トンの水を染めて放水) インスタレーション「オー・アン・ブル」 パフォーマンス「水を追いかける」の実施日: ・Festival of Rhododendron, 5月10,11日 ・Rendezvous in the Gardens, 5月31日、6月1日 ・ヨーロッパ遺産の日,9月20、 21日 インスタレーション「ウォーター・フットプリント」(55トンの水の上を歩く)Photo:S.H. 「ウォーター・フットプリント」とは? おおまかにいうと家庭や農業、産業その他で利用されて消費され人間や地域に必要な水の総量のことをさす。
発見の日本の技術、「水素エネルギー」国策に?
天然ガスより高温のエネルギーを出せるという水素。将来のエネルギー開発は日本で行われているようです。一般流通ができるようになれば、もっとも有力な再生エネルギーに?
今朝、フランス新内閣発表
オーランド公約の中軸ともなっていた失業者対策がまったく功をなさず、失策を認めたオーランド政権への跳ね返りは強かった。3月末に行われた地方選挙で与党社会党は惨敗。この結果を受けてエロー首相が辞任しマニュエル・ヴァルスが新首相に任命され、今朝新しい閣僚の顔ぶれが発表された。 マニュエル・ヴァルスの首相任命直後から、野党保守のUMPからは「社会党が地方選挙で負けたのだから、本来ならば野党保守から首相を立てるべきなのではないか」という声が上がり、またヨーロッパ・エコロジスト派は「新内閣にはエコロジストは参画しない」と党首や責任者があちこちで拒否表明を公にするなど、波乱を含んだが、最終的にエコロジストは恣意的に退いて一人も大臣にならず、また社会党以外からの大臣は2人のみにとどまる新内閣構成が発表された。 町・スポーツ省が女性の権利省と一体化したほかは、省構成はほぼ保たれ、閣僚16名のうち8名は女性となっており、社会党の政策の一環である男女比率を同等にするパリテ法(2000年成立)が前内閣構成と同様に厳守されている。
パリ市市長に、アンヌ・イダルゴ当選
3月23日と30日の二日にわたって行われた全国地方選挙で、パリ市の市長にアンヌ・イダルゴ(社会党、Anne Hidalgo、54歳)が当選した。パリ市に長い勤務をして人気のあったイダルゴは、23日の開票結果で対抗馬の保守UMP候補、ナタリー・コシュスコ=モリゼ(Nathalie Kosciusko-Morizet、41歳)に僅差で抜かれていたが、30日の投票で53%を獲得して当選した。イダルゴの当選の弁は「私は、パリ市の初の女性市長です」。ベルトラン・ド・ラ・ノエに引き続き、社会党がパリ市を牛耳る。 (以下の項目について近々加筆予定) フランスの地方選挙のあり方 より一層コスモポリタンになったフランスの政治
与党社会党、地方選挙で惨敗、内閣改造へ
フランスは3月23日と30日の二日、地方選挙が行われ、各地で僅差ではあったものの与党社会党が惨敗。ジャン=マルク・エロー首相は辞表を提出し、オーランド大統領は内閣改造を宣言して、これまで内務大臣であったマニュエル・ヴァルスを首相に任命した。現在、内閣構成を検討中で各大臣の発表は近々行われる予定。(つづく)
パリ、大気汚染で交通規制
2014年3月18日更新:17日、朝5時半から、パリおよびパリ周辺の23市で、交通規制が始まる。先週から首都圏に光化学スモッグが発生し、茶色くにごった空気がエッフェル塔をベールをかけたように隠すまでになった。充満する大気汚染を軽減するための緊急の対策に、1995年に施行された方策を応用して、奇数の日は奇数のナンバープレートをつけている車だけがパリおよび近郊都市を往来できることになる。例外は、消防車、救急車、警察や憲兵隊の車などだ。奇数日に偶数で終わるナンバープレート使用の車を走らせた場合は22ユーロの罰金。17日は朝から、首都圏には500箇所の検問が設けられ、700人の警官がパリに入る車を監視することになっている。
Bill Viola 国立ギャラリーで大回顧展
[パリ、グラン・パレ、国立ギャラリーでビル・ヴィオラ展] 3月5日から7月21日まで、RNM企画、1977年から今日に至るビル・ヴィオラのビデオが一堂に会する大個展。 展覧会は、ビル・ヴィオラの3つの問い “Qui suis-je ? Où suis-je ? Où vais-je(私は誰だろう? 私はどこにいるのだろう? 私はどこへいくのだろう?)” から構成されている。 フランスTVカルチャーボックスの紹介記事はこちら ビル・ヴィオラ(アメリカ人、63歳)はニューヨークで生まれ、絵画を学んでビデオアートへ早くからのめりこんでいった。「私はビデオと一緒に生まれたんですよ」という。カセットビデオの誕生から現在のビデオ技術までのテクノロジーの進歩とともに彼の進歩がある。 時間を彫刻するビル・ヴィオラは、「時間の存在が私の仕事を可能にしている。時間とともに仕事をしているんです。新しいことを考えるには時間が必要であり、また時間が後世代へ何かを残す手がかりともなる」。 開館時間:05 Mars 2014 - 21 Juillet 2014 2014年7月21日まで。 毎日、10時から22時まで(日曜と月曜のみ20時まで)。 休館:火曜日、および7月14日と5月8日。 5月17日の「ヨーロッパ美術館の夜」の日は夜零時まで。 - See more at: http://www.grandpalais.fr/fr/evenement/bill-viola#sthash.pOWJXy6X.dpuf
隣の芝生
2014年3月12日付け、フランス2TVの夜のニュースで、ライン川の流れるアルザス地方で実際にある話の紹介。ライン川のこっちフランスでは、失業が半年1年と、長期になる失業者の苦悩がつのっているが、ドイツ語を話せる40歳の男性がライン川を越えたドイツの職業紹介所に出向いたら、その場で求人をしている会社と面談予約が取れた。「明日の朝の約束が取れました」と顔を輝かせる彼は、失業して半年になるがフランスではなかなか職が見つかっていない。「初めて川を渡ってドイツの職業安定所に来ましたが、こんなにすぐに約束が取れるなんて。しかも私の経歴に非常に興味をもってくれているみたいです」。失業率は、ライン川を隔てたフランス側では9.8%であるのに対し、10kmと離れていないドイツはフランスの半分だという。しかも求人をする会社が多く、人手が足りないほどなのだ。こうして目と鼻の先の国境を越えて就職したフランス人は昨年だけで219人にのぼる。隣の芝生はただ青々としているだけではなく、生活も明るいということか。
震災から3年、未来は?
更新:2014年3月14日:東北大震災から3年が経った。このブログに作った「アクチュアリティ・日本」は、フランスや世界が東北大震災とそれにともなう福島第一原発事故をどう見ているか、どう報道するか、3年前の災害直後から欧州の報道を日本語に翻訳して紹介してきたものだ。フランスの報道熱が下がるのは震災から2ヵ月後だっただろうか。それまでフランス国営放送のニュースは毎日、日本の震災と原発事故の報道一色だったことを思えば、フランスにとって日本の災害がどれだけ大きなショックだったかがよく分かるはずである。拙ブログの「アクチュアリティ・日本」は、実は日本とフランスの報道の大きな差に気がついたときから書き始めたといういきさつがある。フランスでは福島第一原発事故後ほとんどすぐに3基の炉心のメルトダウンをいい始めたのに対し、日本の報道はどこにもメルトダウンしたという表現をまったくしていなかった。 現在は日本の誰もが長いあいだ政府や東電の事実の隠蔽があったことを承知している。これだけ大きな事実隠蔽の余波によって、この3年、鼠算式に嘘が嘘を生んできたような気がしてならない。「事実を隠すのは日本の文化の一つでは?」というフランス人がいた。私としては、悪習や体質を日本の文化の一部として認めたくはないが、ここまで隠蔽が普通のことになってしまうと、どう考えればいいのだろうか。政権は、ますます市民の声を聞かず、現実離れした政治が暴走している。 震災と事故からだいぶたって、フランスも日本から離れ、ヨーロッパの経済危機を話題の中心に取り戻したときに見つけた日本の放送、種まきジャーナル。そうした日本の「隠蔽文化」や悪習を飛び越えて真相究明に真摯な姿勢を見せていることを発見。同番組は現在、報道するラジオと名前を変えて毎週金曜日に課題をきめた特集が行われている。フランスのメディアではないので日本語に翻訳する手間がなくて助かる・・・、などというよりは、日本のほかの報道メディアでは取り上げない、しかし、本来なら取り上げるべき問題をきちんと取り上げているところに感謝しつつ、震災から3年目の真実の一片を報道するラジオから聞いてみたいと思う。(S.H.)