TPPの大西洋版TTIP交渉がブラッセルで開始
きのう、きょうのニュースから [Transatlantic Free Trade Area (TAFTA、フランス語ではzone de libre-échange transatlantique、ZLET )交渉が、昨日ブラッセルで始まる] 英語では通称TAFTA、フランス語ではZLETと呼ばれる大西洋を挟んだアメリカとヨーロッパ間の自由経済ゾーン設立に向けた欧州各国代表とアメリカ代表の交渉が、ブラッセルで始まった。いわば、大西洋版TPP交渉。TAFTAは、1990年にアメリカとヨーロッパのあいだで提案され、2013年から交渉が開始。現今Transatlantic Trade and Investment Partnership (TTIP)ともよばれる。
アクチュアリティ、経済
・[外資参入に侃侃諤諤] フランスのアルストム(Alstom、 おおもとは Als-Thom、 Alsthom、Alsthom Atlantique、Gec-Alsthomと変遷し、1998年に現在のAlstomとなる)は交通輸送関係、主に鉄道生産(メトロ、電車、トラム)やエネルギー産業系統(発電所、風車など)の大手として有名だが、会社の不振と昨年の1300人の人員カット以来、会社の売出しを検討。シーメンスかアメリカのジェネラル・エレクトリックかとささやかれていたが、この2、3日で事態は急転直下、アルストム・パワーとアルストム・グリッドを対象にジェネラル・エレクトリックが123,5億ユーロを提案してオーランド大統領もまたアルストム社長パトリック・クロンもこのオファーに好意を示した。 ジェネラル・エレクトリック(以後省略してGE)はすでに19世紀半ばに電気機関車が普及し始めた折からアルストムと提携して仕事をするなどし、また、フランス国内にもベルフォールにGEの工場がアルストムと隣りあわせで生産に取り組んでおり、今回のGEの大型参入はそれほど驚くには値しないように思われるが、巨額のオファーをした4月29日から30日にかけて、政府の受け入れもまたアルストム社長クロン氏の対応も好意的かつ迅速にすぎ、これに対する一般市民側の懸念が噴出している。 フランス2TVの夜8時のニュースにGE社長、ジェフリィ・エメルト氏が招待され、最初から厳しい質問がとんだ。「GEはフランスを食いつぶす脅威になるのではないですか?」
今朝、フランス新内閣発表
オーランド公約の中軸ともなっていた失業者対策がまったく功をなさず、失策を認めたオーランド政権への跳ね返りは強かった。3月末に行われた地方選挙で与党社会党は惨敗。この結果を受けてエロー首相が辞任しマニュエル・ヴァルスが新首相に任命され、今朝新しい閣僚の顔ぶれが発表された。 マニュエル・ヴァルスの首相任命直後から、野党保守のUMPからは「社会党が地方選挙で負けたのだから、本来ならば野党保守から首相を立てるべきなのではないか」という声が上がり、またヨーロッパ・エコロジスト派は「新内閣にはエコロジストは参画しない」と党首や責任者があちこちで拒否表明を公にするなど、波乱を含んだが、最終的にエコロジストは恣意的に退いて一人も大臣にならず、また社会党以外からの大臣は2人のみにとどまる新内閣構成が発表された。 町・スポーツ省が女性の権利省と一体化したほかは、省構成はほぼ保たれ、閣僚16名のうち8名は女性となっており、社会党の政策の一環である男女比率を同等にするパリテ法(2000年成立)が前内閣構成と同様に厳守されている。
パリ市市長に、アンヌ・イダルゴ当選
3月23日と30日の二日にわたって行われた全国地方選挙で、パリ市の市長にアンヌ・イダルゴ(社会党、Anne Hidalgo、54歳)が当選した。パリ市に長い勤務をして人気のあったイダルゴは、23日の開票結果で対抗馬の保守UMP候補、ナタリー・コシュスコ=モリゼ(Nathalie Kosciusko-Morizet、41歳)に僅差で抜かれていたが、30日の投票で53%を獲得して当選した。イダルゴの当選の弁は「私は、パリ市の初の女性市長です」。ベルトラン・ド・ラ・ノエに引き続き、社会党がパリ市を牛耳る。 (以下の項目について近々加筆予定) フランスの地方選挙のあり方 より一層コスモポリタンになったフランスの政治
与党社会党、地方選挙で惨敗、内閣改造へ
フランスは3月23日と30日の二日、地方選挙が行われ、各地で僅差ではあったものの与党社会党が惨敗。ジャン=マルク・エロー首相は辞表を提出し、オーランド大統領は内閣改造を宣言して、これまで内務大臣であったマニュエル・ヴァルスを首相に任命した。現在、内閣構成を検討中で各大臣の発表は近々行われる予定。(つづく)
パリ、大気汚染で交通規制
2014年3月18日更新:17日、朝5時半から、パリおよびパリ周辺の23市で、交通規制が始まる。先週から首都圏に光化学スモッグが発生し、茶色くにごった空気がエッフェル塔をベールをかけたように隠すまでになった。充満する大気汚染を軽減するための緊急の対策に、1995年に施行された方策を応用して、奇数の日は奇数のナンバープレートをつけている車だけがパリおよび近郊都市を往来できることになる。例外は、消防車、救急車、警察や憲兵隊の車などだ。奇数日に偶数で終わるナンバープレート使用の車を走らせた場合は22ユーロの罰金。17日は朝から、首都圏には500箇所の検問が設けられ、700人の警官がパリに入る車を監視することになっている。
隣の芝生
2014年3月12日付け、フランス2TVの夜のニュースで、ライン川の流れるアルザス地方で実際にある話の紹介。ライン川のこっちフランスでは、失業が半年1年と、長期になる失業者の苦悩がつのっているが、ドイツ語を話せる40歳の男性がライン川を越えたドイツの職業紹介所に出向いたら、その場で求人をしている会社と面談予約が取れた。「明日の朝の約束が取れました」と顔を輝かせる彼は、失業して半年になるがフランスではなかなか職が見つかっていない。「初めて川を渡ってドイツの職業安定所に来ましたが、こんなにすぐに約束が取れるなんて。しかも私の経歴に非常に興味をもってくれているみたいです」。失業率は、ライン川を隔てたフランス側では9.8%であるのに対し、10kmと離れていないドイツはフランスの半分だという。しかも求人をする会社が多く、人手が足りないほどなのだ。こうして目と鼻の先の国境を越えて就職したフランス人は昨年だけで219人にのぼる。隣の芝生はただ青々としているだけではなく、生活も明るいということか。
国際女性の日、フランスと日本との違いは?
更新:2014年3月9日。3月8日は国連が指定した「国際女性の日」だ。 フランスの大統領官邸では、女性の権利省大臣、ナジャット・ヴァロー=ベルカセムと女性の会社社長13人が集い、経済社会における女性の平等性について討論を交わした。 http://www.najat-vallaud-belkacem.com/2014/03/09/echange-avec-le-president-hollande-et-13-femmes-cheffes-dentreprise/ (ナジャット・ヴァロー=ベルカセム大臣の公式サイト、3月9日付け) ヨーロッパは女性の進出がパリテ政策とともに格段に進展したとはいえ、まだまだ平等というには程遠く、例えば同等の社会的地位に着く女性と男性の給与格差が平均20%存在する。男女差別を要因するもののうち女性が社会で働く上で日常身につける服装が問題で、男性は背広にネクタイといういわゆる社会でのユニフォームがあるのに対し、女性には働く女性を象徴する服がなく、会社の上層部にある女性の毎日の服装への配慮は欠かせない。(TF1TV)一方で、フランス2TVは服装の違いのない軍隊の女性兵士を取材した。もちろん現在まだまだ女性兵士の数は男性兵士に比べ大変少ないが、昇進に関してはまったく差別がなく、兵士たちは女性指揮官のもとでも男性指揮官のそれと同様、規律を守って訓練を行っている。「まったく性差を感じずに日常の仕事をこなしています」とは一等兵の教官にあたる女性軍曹。日常の運動も彼女が指揮。それに従う男性兵士には何のためらいもみられない。 さて日本はどうだろうか? 日本内閣府のジェンダー白書を覗いてみよう。日本の女性の社会参画状況は、かなり厳しいことがみてとれる。 平成24年度、男女共同参画社会の形成の状況、及び、平成25年度、男女共同参画社会の形成の促進施策 (平成25年版男女共同参画白書)へリンク
フランス3テレビ「福島第一事故は地球レベルの汚染へ?」
2014年2月26日放送、フランス3テレビ特集番組「ピエス・ア・コンヴィクション」、2時間番組: 「福島:地球レベルの汚染へ?」 [番組の要約] フランス公共テレビによる周到な現地取材。福島原発周辺住民の生の声と医療状況の異常さ、除染の矛盾と現実生活の過酷さを浮き彫り。放射能汚染の世界への広がりとヨーロッパやアメリカ各地の科学者が行っている汚染調査。原発を推進してきたフランスの原子力委員会の話で締めくくる。 [ビデオ・コメント] 福島、地球レベルの汚染へ?: 世界のあちこちで科学者が汚染による被害状況を知ろうと努力している。毎日、太平洋に福島第一から大量に流される汚染水。太平洋の対岸にあるカリフォルニアの海岸ですでに放射能汚染をした魚がみつかっているが、何の策もとられていない。
パンテオンにもパリテ、そしてアーティストも?
[フランソワ・オーランド大統領は2月21日、パンテオンに4人のフランスの功労者を埋葬することを発表した。4人は、第二次世界大戦時に活躍したレジスタントで、女性二人、男性二人と、ここにもパリテが尊重されている(フランス2TV談話)]: 2014年5月にパンテオンへ遺骨が移される4人は、ジェルメーヌ・ティヨン(Germaine Tillion)、ジュヌヴィエーヴ・ドゴール=アントニオズ(Geneviève de Gaulle-Anthonioz)、ピエール・ブロソレット(Pierre Brossolette)、ジャン・ゼイ(Jean Zay)だ。 女性二人について、ジュヌヴィエーヴ・ドゴール=アントニオズ(1920-2002)は、ドゴール大統領の姪にあたり、民俗学者ジェルメーヌ・ティヨン(1907-2008)のようにラーヴェンズブルグに強制連行されたが、ナチに反抗してレジスタンスとなり、後にアルジェリアのために立ち上がり政治活動を行った。
世界の富、ますます偏り・・・引き続きフランスは洪水
[フランス南東部、地中海側のヴァール県、洪水で大被害] 一昨日から大嵐による水位の上昇で洪水となった南仏のヴァール県ではようやく水が引き出し、その多大な被害のほどが明らかになり始めた。家々は一階がほとんど浸水し、1500人が避難。うち600人が仮設避難所へ。215人がヘリコプターで搬送されたが、650世帯が停電のままだ。救助に臨んだのは500人の消防士、憲兵隊300人、警察50人、軍隊も78人出動した。 下のフランス地図は21日火曜に発表されたもので、赤は警戒警報、オレンジは注意報など。南仏のマルセイユからニースにかけてヴァール県をまたがる地域の水色の波模様は洪水警報を指している。
アクチュアリティ・Le Zap
[ヴァール県を中心に、大雨洪水] 先月および1月上旬のブルターニュの洪水に引き続き、今度はフランス南東部で大雨による洪水。冠水した町では停電、電話の不通で日常生活が一転。突然の水位の上昇で、地下室にいた70歳の男性が死亡。船を出していた女性が一人行方不明。水位の高い地区ではヘリコプターが住人を救助し、避難所へ搬送するなど、雨の中で消防士の活動が続いている。アルプ・マリティームでは水を含んで緩んだ崖が地崩れ。傾斜に林立した家が崩落の危険に瀕し、住民が避難した。南東部地方では、今夜も降雨が続き、山間では1mの降雪、平地や沿岸部で20mmから50mmの降水が見込まれている。 [PSA、中国に資本援助を求める?]
大晦日の車の放火、数字の発表
この数年、大晦日になると市街の暴力沙汰や車の放火が相次ぎ、毎年年明けは焼失した車の台数を発表するのがほぼ恒例となってしまったフランスで1月1日、内務大臣マニュエル・ヴァルスが2013年12月31日18時から2014年1月1日明け方6時までの12時間のあいだに起きた事件数その他を発表した。 今年は年末警戒のため5万3千人62師団の警官、および3万6千人の消防士が出動。放火によって焼失した車の台数は全国総数で1067台を数えた。昨年の1196台を下回る減少を「記録」。また地域の暴力行為はいまのところ報告はゼロで、年々反発勢力が下火になっていることをうかがわせる。しかしそれでも322人が逮捕、うち217人が拘留。爆竹騒ぎで一人が死亡し、3人が重傷。またほかに、3人が刃物で刺されて死亡した。(AFPTV、BFMTV他) «Cette nuit de la Saint-Sylvestre a été endeuillée par le décès de 3 personnes», a regretté Manuel Valls, le ministre de l’Intérieur. |(AFP/Pierre Andrieu.) Le Parisien ビデオ