男女平等を求めて、国際少女デー
男子と同じような教育が受けられない少女達の権利に向けて、ショッキングな数値が明らかに 10月11日は国連が2012年に制定した「国際少女デー」、世界の11億の少女達の平等な権利獲得に向けたアピールをする日だ。先進国の普段見るような男女差別のみならず、世界中でどれだけの少女が教育を受けられず、強制労働をさせられたりしているか。集計された数字には驚くべきものがある。
文化にパリテを
フランス文化大臣フランソワーズ・ニセンは2018年2月7日、これから4年をかけて2022年(マクロン大統領の任期満了時)を目処に、文化政治及び指導的立場に就く男女のパリテを目指して人数の差を無くし、給料格差を是正していく方針を明らかにした。 「男女平等オプセルヴァトワール」調査よれば、「現代アート基金に収められている作品の4人のうち一人が女性アーティスト。映画監督の4人のうち一人が女性監督。公立劇場で上演されるプログラムの3分の1が女性。国立ダンス・センターの19人のディレクターのうち、女性は3人」という。「仕方がないというような受動的な状況から抜け出して、積極的にクォータ制を打ち出し、数字的な目標を打ち立てるべき。文化のセクターはアヴァンギャルドであるべきです」とニセン文化相。
女性アーティストを20世紀美術史の日向へ引き出す
20世紀から21世紀にかけての女性アーティストを歴史のなかへ引き出す作業 ポンピドー・センター国立近代美術館のキューレーター、カミーユ・モリノーが2014年、Archives of Women Artists, Research and Exhibitions(頭文字をとってAWARE )という女性アーティストを収集して資料をプールし敷衍する協会を他の協力者とともに共同設立し、インターネットで資料を一般に公開しているが、この度その内容が国立教育省のリソース・センターにも紹介された。
2017年、年始の数字
執行猶予付き8か月禁固刑 違法にフランスに入った移民50人に食事を与えたり助けたりしたという「罪」で、農業経営者セドリック・エルー(37歳)がリヨンで裁判を受け、執行猶予付き8か月の禁固刑を言い渡された。セドリック・エルーは、「見るに見かねて自分の土地を通った人たちを助けた。悪いのは困っている移民に対して何の対策もとらない行政の方だ」と胸を張って裁判に出頭。セドリック・エルーを支援する人たちが300人も裁判所前に集まった。「人を助けて犯罪者扱いされるのはおかしい」。一方訴えた州知事は、「違法滞在者に関わるなどもってのほか」と怒りをあらわにしているという。
差別雇用で、実は企業が大損
有色人種、女性、身障者、老齢者などに対する企業の社員雇用の差別が、フランス全体で1500億ユーロの経済損失を生んでいることがわかった。 差別雇用をなくせば、20年でGDPを6.9%上昇させられる France Stratégie(首相付インスティテューション:Commissariat général à la stratégie et à la prospective (CGSP))が9月20日に労働相に提出した画期的な報告書は、 労働市場での差別が招く経済的な影響を調査したもので、驚くべき数字が明らかになった。差別を少なくすれば、この先20年で、GDPの3.6%(800億ユーロ)から14,1% (3100億ユーロ)の成長を見込むことができるというものだ。
ヴァルス第二次内閣発足、女性大臣8人、男性大臣8人、文化大臣に内閣初のアジア人
内閣総辞職、とは大げさすぎる手続きだったのではないか、とフランスTVがヴァルス首相を追及するほど、第一次内閣の大臣の留任が多い内閣改造となった。新内閣の顔ぶれやいきさつについて説明するためにフランス2TV8時のニュースに出たヴァルス首相。「ああした破綻があれば、政府としては全体を統率するために権威を振るうしかない」。アルノー・モントブール財務大臣が反旗を翻して、昨日の内閣総辞職で財務大臣、文化大臣、教育大臣の3人が内閣構成から離脱を表明。結局空いた財務、文化、教育の3つのポストに新大臣を任命することで騒動を収束させるかたちだ。
国際女性の日、フランスと日本との違いは?
更新:2014年3月9日。3月8日は国連が指定した「国際女性の日」だ。 フランスの大統領官邸では、女性の権利省大臣、ナジャット・ヴァロー=ベルカセムと女性の会社社長13人が集い、経済社会における女性の平等性について討論を交わした。 http://www.najat-vallaud-belkacem.com/2014/03/09/echange-avec-le-president-hollande-et-13-femmes-cheffes-dentreprise/ (ナジャット・ヴァロー=ベルカセム大臣の公式サイト、3月9日付け) ヨーロッパは女性の進出がパリテ政策とともに格段に進展したとはいえ、まだまだ平等というには程遠く、例えば同等の社会的地位に着く女性と男性の給与格差が平均20%存在する。男女差別を要因するもののうち女性が社会で働く上で日常身につける服装が問題で、男性は背広にネクタイといういわゆる社会でのユニフォームがあるのに対し、女性には働く女性を象徴する服がなく、会社の上層部にある女性の毎日の服装への配慮は欠かせない。(TF1TV)一方で、フランス2TVは服装の違いのない軍隊の女性兵士を取材した。もちろん現在まだまだ女性兵士の数は男性兵士に比べ大変少ないが、昇進に関してはまったく差別がなく、兵士たちは女性指揮官のもとでも男性指揮官のそれと同様、規律を守って訓練を行っている。「まったく性差を感じずに日常の仕事をこなしています」とは一等兵の教官にあたる女性軍曹。日常の運動も彼女が指揮。それに従う男性兵士には何のためらいもみられない。 さて日本はどうだろうか? 日本内閣府のジェンダー白書を覗いてみよう。日本の女性の社会参画状況は、かなり厳しいことがみてとれる。 平成24年度、男女共同参画社会の形成の状況、及び、平成25年度、男女共同参画社会の形成の促進施策 (平成25年版男女共同参画白書)へリンク
アクチュアリティ・数字
数字: フランス人の平均給料は、1605ユーロ(17万円程度)。給料の偏差は職種以外に男女間にもあり、女性の賃金は男性より24%低い。男性に比べ女性のほうが正式社員として働く率が低く、臨時雇いやパートが多いことが理由のひとつにあげられる。 物価高。昨年比で、食料品が4.4%値上げ。肉類、飲料水などに値上げが目立つ。飲料水の値上げは昨年国民議会を通過した清涼飲料水への新しい消費関税がこの1月履行されたことによるもの。ガソリン代高騰。一日中車を利用するタクシー業者や自動車教習所などの教習費への跳ね返りが大きい。…
アクチュアリティ、寒波、女性高官の増加法案可決
ヨーロッパの寒波、二週間目に入る - ヨーロッパの寒波は東欧を中心に540人以上の犠牲者を出した。フランスでは1985年以来の寒波となり、極力ブラックアウトを避けようと数日にわたり電気の節約が呼びかけられていたが、とうとうきのう19時段階で電気消費量が10万5百メガワットを記録したためEDF電気会社が警戒態勢に入った。きょうは、ジュラのサン・ピエールで-28℃まで下がり、全国53県に注意報発令。寒さによる交通の便の悪化、および収穫の激減により、生鮮食品、特に野菜の40%から60%の値上がりがめだち家計にも影響が出始めた。この寒さは週末まで続くもよう。 女性高官の割合を増加する法案通過 - 現在フランスは、公務員のうちの60%を女性が占めているが、機構幹部職や大使などへの女性の起用は、わずか全体の10%にとどまっている(男性が90%)。こうした高官抜擢に関する男女比率の大きな不均等を解消するため、女性の割合を、2013年に20%、2015年30%、2018年に40%へと徐々にかつ意識的に引き上げていく法案がかけられていたが、きょう全会一致でこの法案が国民議会を通過した。…
論争「女性」
2011年の話題の女性第一位 - 2011年12月19日、フランスのTerrafeminaによる今年一番話題になった女性についての世論調査で、ドミニク・ストロス=カンの妻でジャーナリストのアンヌ・サンクレアが選ばれた。第2位は、ドミニク・ストロス=カン退陣後に国際通貨基金のディレクターに就任したクリスチーヌ・ドラギャルド、3位は社会党のマルチーヌ・オブリィ、4位は歌手のノルヴェンヌ・ルロワ、5位はFN国民戦線のマリーヌ・ル・ペンという順位。アンヌ・サンクレアは、夫ドミニク・ストロス=カンの婦女暴行容疑逮捕以来、夫を支え続け、裁判や莫大な保釈金の肩代わりをした。 この世論調査に19日付のヌーベル・オプセルバターで、ヨーロップ・エコロジー・レ・ヴェールEELVの大統領候補エヴァ・ジョリィは、「(アンヌ・サンクレアが一位に選ばれたのは)悲しいですね。国際通貨基金のディレクターや、政治の第一線で活躍する女性や技術者が一位に選ばれるべきではないですか。あまりに前時代的な感じで、がっかりです」と発言した。 ちなみに内訳は、アンヌ・サンクレアに投票した大多数は女性という結果が出ており、2位にマルチーヌ・オーブリィを選んでいる。一方、男性の選択は、国際通貨基金のクリスチーヌ・ドラギャルド、2位に国民戦線のマリーヌ・ル・ペン、3位に社会党のマルチーヌ・オーブリィの順となっている。(ヌーベル・オプセルバター、シュッド・ウエスト紙、フランス2TV、TF1TV、BMFTV) 豊胸手術に発がん物質、国民保険が補償 - 豊胸整形手術のさい胸に埋め込むシリコンに用いられるPIP社製造のシリコンが、実は人体への使用に不適当な産業用シリコンを使ったものであったことが判明し、整形手術を受けた女性の団体が世論へ危険性を訴えていたが、シリコンを包む皮膜が破れるなどの事故が相次ぎ、12人が乳がんを発病して死亡するなどしたため、国は「予防の原理」を適用する方針を決めた。PIP社の シリコンと乳がんとの関係についてはまだ明らかにされてはいないが、 シリコンを取り除く手術を国民保険が支払う。PIP社の製品で整形手術をした女性は3万人にのぼり、そのうち80%は美容のための整形で、のこり20%は乳がん手術後の整形に利用されたと言われている。80%の美容整形者については、 シリコンの摘出にのみ国民保険がきくことになる。 PIP社は年間10万個のジェルを産出する世界三番目の大手会社で、製品のほとんどは海外へ輸出されていた。ジェルを包む皮膜の破裂などの問題が頻発して社員組合が動き出していたが、PIP社の幹部は社員を置き去りにして全員姿をくらましてしまったという。(フランス2TV) My opinion: アンヌ・サンクレアは、ポール・ローゼンベルグという20世紀初頭の大画商の孫に当たる。ポール・ローゼンベルグは、ピカソやマチス、ブラックなどを扱い、カーンワイラーと並ぶ有数の画商だった。アンヌ・サンクレアは遺産の絵画をいくつか引き継ぎ、億万長者というよりもその財産は計算できないくらいに膨大であるらしい。夫ドミニク・ストロス=カンの保釈金やニューヨークのアパート代警備代その他の莫大な出資はみな、アンヌ・サンクレアが引き受けたというはなしだ。婦女暴行容疑と汚名、その後次々と明らかになる夫ドミニク・ストロス=カンの不倫にもかかわらず、公衆の面前では夫を支え続け資金をつぎ込んで惜しまなかった。これを家庭崩壊を避けるために世間の目や夫の行状に耐える「けなげで忍耐強い主婦の鑑」と判断するか、「意志の強い女性」と判断するか。ともあれ世間はいろいろで、「分かれないのが不思議」という人も実はかなり多い。女性の投票が多いのは、どちらかと言うと「よく我慢している」という驚嘆によるものではないだろうか。いっぽうで、男性が国際通貨基金のクリスチーヌ・ドラギャルドを一位に選んでいるところを見ると、男性軍は、この機構の世界初の女性ディレクターをしっかり評価し、選考基準に社会的評価を先行させていることがみてとれる。エヴァ・ジョリィに反論する気は毛頭ないが、内訳をこういうふうに解釈すると、なかなか捨てたものではない。 PIP社の産業用シリコン事件は、がんとの因果関係がはっきりしていないことから国が補償する対象とすべきなのかどうか、世論は疑問視する傾向にある。発がん性の可能性のある産業用のシリコンを体に埋め込んでいる事実を知った女性たちは、身の危険に苛まされていることだろう。それにしても、PIP社の輸出先のシリコンについてはどうなる?(S.H.)
時代を変える鍵
九州派の桜井孝美がパフォーマンスで出版した『パラダイスへの道』のおかげで、出版に寄せて1992年および、1993年辺りに書いた拙文が残っている。時間が経っているせいか、1986年のはなしすっかり忘れたようにまったく関係のない当時の時事問題を書いている。 1992年は地方選挙で社会党が大敗。社会党離れはそのまま1993年春の総選挙になだれこんで社会党は5分の一議席しか取れず、内閣解散。再び革新社会党のミッテランを大統領に、エドワール・バラデュール首相を筆頭に内閣はすべて保守系閣僚で組織される保革共存政府が成立した。第一回保革共存政府は、1986年から1988年まで。第二回目の共存政府はこの1993年3月29日から1995年5月まで、つまりつぎの大統領選挙まで続いている。 1993年は、フランスの経済危機で、ル・モンドが「オイル・ショック以来の深刻さ」と書きたて、失業率は3百十万人で11%に届き、中小企業はおろか大企業まで倒産縮小が相次ぎ、エイズ汚染血液の公判が始まり、またインサイダー問題やらなにやらで問題続きの年でもあった。美術界はと見ると、やはり画商の大手が倒産している。すでに1991年の湾岸戦争の影響でマーケットが大幅に萎縮し、ロバート・ロンゴの個展を大々的に行ったギャラリー・アントワンヌ・カンドーが活動停止し、ボードワン・ルボンが倒産請願を提出した。そのころ、私も3つほどの画廊と仕事をしていたが、この年これらの画廊は潰れるか、生き残るために転職をしてしまっている。この恐慌で、あっという間に世の中ががらりと変化してしまった。そんな年だった。 93年下半期、ミッテランが危機を乗り切るために経済対策を発表した。国営企業の24社を民営に移管するよう通達したのだ。この24社は、ルノー公社、エール・フランス、アエロ・スパーシャルなどフランスを代表する大手企業が大半を占め、国の経済を牛耳る元来の社会主義的な体制を解き、いよいよキャピタリズムへ、大きく国の方針が転換することになった。 さて、そのうらがわをよく見てみると、保守派首相のバラデュールは、第一回目の保革共存政府の折に、経済、財務、そして民営化をかねた省の大臣に就いている。むかしから保守派は国営企業の民営化を選挙のたびに公約の一番目においており、1986年も政権を執るとこれを真っ先に遂行した。 93年の経済危機は、そうした保守が大規模な民営化を促進する格好の口実となったのではないか、と漠然と考えたりしている。現実はしかしながら、国営企業は昔ながらのがんじがらめの体制も手伝って一朝一夕に民営化はかなわない。株を少しずつ売りさばいて民間の株主を増やしていくにはかなりの年月がかかっている。 93年の保守内閣の文相はジャック・トゥーボンで、さいわい現代美術に造詣が深かった。大臣になる前はパリの13区の区長でもあり、区内にモニュメントを建てたり集めたりし、またFIAC(パリの現代アートフェア)を訪れる姿を見かけたりすることもあった。 彼の下で文化省はあまり変形されずそのまま推進されたのではないかと想像しているが、問題はほかにあった。文相トゥーボンは、フランス語の乱れを嘆き、それを英語のせいにして「一切、英語を使わない」よう通達してしまったのだ。通達、というのは一種の規則のようなもので、守らなければならない。TVやラジオなどの報道関係は特にフランス語だけで話をするように強制されてしまったかたちで、英語の不得意なフランス人はますます世界から切り離されてしまった。フランスの一般がこの通達にあきれて文化大臣を酷評したのはいうまでもない。 さて、フランス語に関して、後年、特に公文書について国会で意見を述べたエリザベット・ギグの話をここに引いておきたい。 エリザベット・ギグは1997年から2002年、保守シラク大統領の下の革新派ジョスパン内閣で法務大臣に就いた社会党のインテリである。ジョスパン内閣が女性議員を増やし男性議員と同数にするための政策をすすめていた時期だったこともあるが、エリザベット・ギグがある日、国会演説のなかでこう述べた。「公文書は今まですべて男性によって書かれたもので、表現も内容も男性のものということができる。これからは女性が公文書を書く機会を増やし、これまでの公文書も女性の観点で検討されてしかるべきだ」。 この日、この演説を聴いて私は目から鱗が落ちる思いがした。こうした観点がおそらく時代を変える大きな鍵になるにちがいない。(S.H.)