20世紀から21世紀にかけての女性アーティストを歴史のなかへ引き出す作業
ポンピドー・センター国立近代美術館のキューレーター、カミーユ・モリノーが2014年、Archives of Women Artists, Research and Exhibitions(頭文字をとってAWARE )という女性アーティストを収集して資料をプールし敷衍する協会を他の協力者とともに共同設立し、インターネットで資料を一般に公開しているが、この度その内容が国立教育省のリソース・センターにも紹介された。
協会は、7人のそれぞれ違った分野の女性(弁護士3人、キューレーター、会計士、ボランティア、文章作家)から構成されており、常任3人と学生や大学などからのボランティア・グループが力を合わせ同じ目的に向かって仕事をしている。AWAREは、パリの資料研究所と連携したリソースをサイトに掲載し、一般がアクセスできる。国内外でシンポジウムや研究機関を設けて、女性アーティストの作品を収蔵する美術館の参観を企画したり、新規内容についての機関紙を発刊するなどしている。
AWAREのサイトはこちら… https://awarewomenartists.com
美術史の影においやられた女性作家たちの服権
「いったい何人の女性アーティストたちが、美術史の大作家の影に隠れてしまっているのだろうか。男性作家が優先されることで、どのくらいの女性が忘れ去られていったのだろうか。現代の私たちが知っている4人の女性アーティストは、次の通りである。ソニア・ドローネは夫のロベールの影から引き出されるのに半世紀かかった。ルィーズ・ブルジョワは、ポンピドー・センター国立近代美術館が彼女の最初の回顧展をしたのが96歳の時だった。ニキ・ド・サンファールは、生前から有名でその仕事も多様だが、作品はナナだけが知られているし、アネッット・メサジェについては、ベニス・ビエンナーレのフランスの初めての女性作家として選ばれたのが2005年という遅さだった。この時、黄金の獅子賞を獲得したのは記憶に鮮明だ。
おそらく、何千という女性アーティストが、作品を見せられず、また名前を知られていなかったために大きな展覧会にも出品できず、したがって賞ももらえず有名にもなれずに忘れられていったことだろうか」。
My opinion: AWAREのサイトを見ると、確かに私達の知らないアーティストがたくさんが挙げられているが、まだまだ数が少ない。私が個人的に知っているヨーロッパの女性アーティストの名前はまだ一つもないが、そのうち膨らんでくれることを望む。(S.H.)