ヨーロッパの寒波、二週間目に入る - ヨーロッパの寒波は東欧を中心に540人以上の犠牲者を出した。フランスでは1985年以来の寒波となり、極力ブラックアウトを避けようと数日にわたり電気の節約が呼びかけられていたが、とうとうきのう19時段階で電気消費量が10万5百メガワットを記録したためEDF電気会社が警戒態勢に入った。きょうは、ジュラのサン・ピエールで-28℃まで下がり、全国53県に注意報発令。寒さによる交通の便の悪化、および収穫の激減により、生鮮食品、特に野菜の40%から60%の値上がりがめだち家計にも影響が出始めた。この寒さは週末まで続くもよう。
女性高官の割合を増加する法案通過 - 現在フランスは、公務員のうちの60%を女性が占めているが、機構幹部職や大使などへの女性の起用は、わずか全体の10%にとどまっている(男性が90%)。こうした高官抜擢に関する男女比率の大きな不均等を解消するため、女性の割合を、2013年に20%、2015年30%、2018年に40%へと徐々にかつ意識的に引き上げていく法案がかけられていたが、きょう全会一致でこの法案が国民議会を通過した。…(フランス2TV)
My opinion: フランスは社会党のリヨネル・ジョスパンが首相の時代に、女性の雇用に関する調査をし、女性の進出が一番阻まれている分野を見極めて、男性の数まで女性の数を引き上げようという法案を打ち出した。そのとき一番女性の数が少ない分野は「政治」、そして女性の数を増やす法案の名前を「パリテ」つまり、「平等」あるいは「等価」といい、内実は各回の選挙立候補者数を男女同数にすることを義務付けるというものだった(2000年6月6日、パリテ法成立)。この法律が成立した当時は現実に女性議員が少なすぎた。数多いる男性議員と対をはっていけるだけの実力を一度に多くの女性に身に着けさせていかねばならず、政治的才能を持った女性の発掘とその養成を意識的に目指すべきことを各党に大いに認識させる法案となった。肝心なのは議席数である。女性を増やしても議席数は変わらない。結果、今まで男性の縄張りといえた議席を女性に譲ることになり、「パリテ」にたいする男性の認識が強く要求された。現在もパリテ法が適用され続けているかどうかはあやしい。しかし、「パリテ」法成立以来、人間の「認識」あるいは「意識」なくしては、社会においての男女平等は成り立たない、というフランスの見方ができあがったようである。
フランスは公務員の60%が女性で、公務員高官職にある女性は10%という、すそ広がりのピラミッドがいつの間にかマイノリティの男性に追い越され、公務員のトップは90%が男性が占めるという社会構造だ。「男性だからそのまま昇進」、「女性はどうしても過小評価」といったような社会風潮がどこにあってもはびこり、どの社会階層もそうした流れに任せるがままになっている。今回、そのような無作為に続けられてきた悪習を「是正」するための法律が可決したものと思っていいだろう。10%から40%へ。将来の大使や大臣、ひいては首相や大統領に至る高官の40%を女性が占めるようになるということは、現在90%のトップを占める男性軍が将来60%に減少することでもある。これはとりもなおさず、更なる女性の育成のみならず、競争率が高くなる男性相互の更なる切磋琢磨が必要となることを意味しており、法案の可決はそうした大勢を男性が認識したことを示してもいるということができる。(S.H.)