有色人種、女性、身障者、老齢者などに対する企業の社員雇用の差別が、フランス全体で1500億ユーロの経済損失を生んでいることがわかった。
差別雇用をなくせば、20年でGDPを6.9%上昇させられる
France Stratégie(首相付インスティテューション:Commissariat général à la stratégie et à la prospective (CGSP))が9月20日に労働相に提出した画期的な報告書は、 労働市場での差別が招く経済的な影響を調査したもので、驚くべき数字が明らかになった。差別を少なくすれば、この先20年で、GDPの3.6%(800億ユーロ)から14,1% (3100億ユーロ)の成長を見込むことができるというものだ。
調査は、仕事の平等を勝ち取り企業における差別と闘うグループが2015年に発案、Solvay化学グループのディレクターによって運営されたもので、コミッショナーのJean-Christophe Sciberrasは、「差別をなくすというと、しばしば、経済利益や社会的利益と逆行するように感じるが、権利を尊重し、平等の理念のもとに、社会的な苦痛を少なくすることは経済に有用なインパクトとなる」とその結果を強調した。
管理職につきやすくなり(給料が上がる)、雇用数が増え、完全雇用が増え、教育の不平等が解消される、という4つの利点を挙げている。
中でも、女性がGDP上昇に一番貢献することが予想される。というのも女性は同じレベルの男性より、企業内で10から15%低く評価され、給料も12%も低いからだ。企業はこの現実を把握する必要がある。(エクスプレス電子版)
ある企業の例
差別雇用で能力を無視してはいないかと、10年前に気づいたある企業は、履歴書が提出されると一つ一つきちんと調査して内容を確認し、能力が正当な人材を取ることを主眼ししたところ、会社の収益が上昇。また10年前と比べ、身障者の割合は、1%時から6%へ。管理職に就く女性は55%も増えた。(フランス2TVルポルタージュ)