美術館の夜
夕方から真夜中にかけて美術館が無料になる恒例の「美術館の夜 La nuit des musées」は5月19日に行われる。フランスから始まった美術館の夜はヨーロッパ各地に広がり、フランスだけでも1100のイベントが催される。
ヨーロッパ美術館の夜
ヨーロッパの3000以上の美術館が無料開館する「ヨーロッパ美術館の夜」は、2017年5月20日土曜の夜中まで。特別イヴェントが行われる。 各地のプログラムはこちら:http://nuitdesmusees.culturecommunication.gouv.fr http://www.leparisien.fr/culture-loisirs/nuit-des-musees-2017-le-programme-pres-de-chez-vous-18-05-2017-6960780.php
CNAP、2020年をめどに引っ越し
収蔵作品10万点とオフィスをパンタンへ集約 仏国立造形芸術センターCNAPは2017年1月24日(火曜日)、2020年をめどにセーヌ・サン・ドニ県パンタン市(パリ隣県)の新しい建物に10万点の収蔵作品とオフィスを移動して集約させることを明らかにした。 現在CNAPは、約30,000作品(絵画、素描、版画、彫刻など)をデファンスの4 500 m2の倉庫に、またサン・トゥアン・ローモヌ(バルドワーズ)の約19 000m2の倉庫などの数箇所に他の作品群を分散させて収蔵しているが、CNAPのディレクター、イヴ・ロベールは「1箇所に集めることで効率的に役割を果たしたい」とル・モンドに述べた。
Rendez-vous aux jardins ランデヴー・オ・ジャルダン
Rendez-vous aux jardins (ランデヴー・オ・ジャルダン、庭園で会いましょう) 2003年に始まったフランス文化省が推進する文化イヴェントの一つ。2014年は12回目。地域の遺産局 Direction du patrimoine と地域文化振興局 Direction régionale des affaires culturelles の協力で行われ、全国2200の庭園や公園が文化イベントの対象になり一般に公開される。昨年2013年は180万人を動員。公園はもとより個人の庭園やこれまで公開されたことがなかった庭園などが特別オープンした。 今年は5月30日金曜日は学童中心に招待。一般は31日土曜、および6月1日日曜に庭園訪問ができる。 ちなみに、トレヴァレーズ領もブルターニュ113の庭園のひとつとしてオープン。特別に観覧料無料。 ランデヴー・オ・ジャルダン開催中、展覧会中の平川滋子のパフォーマンス「水を追いかける」が行われる。
Guides-culture 文化省発行「文化ガイド」
Guides-culture guide : A5 (148 x 210) – 624 pages Service rédactionnel :
新刊書『ジャック・ラング、文化への闘い』
新刊書『ジャック・ラング、文化への闘い - 文化政策10年』 文化省史委員会 マリ-ヴォンヌ・ド・サンピュルジャン監修: 文化の民主化、文化の地域敷衍、文化の多様化、文化教育の改革を掲げて文化復興のために闘ったジャック・ラングへのインタビューが、ラジオのフランス・キュルチュール企画で2011年8月に実現した。 1981年フランソワ・ミッテラン社会党新政権下で文化省は省として再建され、ジャック・ラングが文化大臣に就任した。フランス・キュルチュールのインタビューは文化大臣就任30周年を契機に行われたものである。 ミッテラン政権前、1970年代のジスカール・デスタン政権下では、文化は局レベルに格下げされて大幅に縮小していたためほとんど活動らしい活動はなかったといわなければならない。したがってその直後に文化大臣となったジャック・ラングの仕事は、文化を再建するというよりは、国の文化復興のために新しいビジョンを基礎から設計をしなおし、そのビジョンへむかって国全体が動き出すためのインフラストラクチャーを建設し始めることにあった。…
現代文化のインフラストラクチャー、FRAC・現代アート地域基金機構
[現代文化のインフラストラクチャー紹介第二弾、FRAC] フランスの文化省支援現代アートセンター紹介に引き続き、Les Fonds régionaux régionaux d’art contemporain、通称FRAC-フラック(現代アート地域基金機構):
フランス文化省が後援する現代アートセンター、5.南東フランス編
[フランス文化省が後援する現代アートセンター] ・第5弾、南東フランス編 - LISTE DES CENTRES D’ART (リンク:フランス文化省サイト)…
フランス文化省が後援する現代アートセンター、4.南西フランス編
[フランス文化省が後援する現代アートセンター] ・第4弾、南西フランス編 - LISTE DES CENTRES D’ART (リンク:フランス文化省サイト)
フランス文化省が後援する現代アートセンター、2.北西フランス編
フランス文化省が後援する現代アートセンター(フランス文化省サイトへリンク): フランス文化省は、2012年の段階でパリのFRAC(作品買い上げ基金)であるル・プラトー(le Plateau)とリヨン近郊都市ヴィラーバンヌの現代アートインスティテュートを加え、全国で48の現代アートセンターを後援している。…
フランス文化省が後援する現代アートセンター、1.イル・ド・フランス編
「現代アートセンターとは?」 Les Centres d’art アートセンターは、現代アートの制作、実験、敷衍の場である。アートセンターは例えばFRACや美術館のような作品収蔵の機能は持たないが、芸術家のプロジェクトを一般へ広める役割を持っている。…
フランス文化省、2013年度文化予算の内容、Culture – act2
2013年度のフランス文化・コミュニケーション省の年度予算は74億ユーロ(約7400億円)。うち、35.5億ユーロを文化、研究、メディアへ、また、38.3億ユーロを公共のオーディオヴィジュエルへ充てることが決定した。 2013年度予算は、2012年歳出に比べ2%減となり、文化省も国の緊縮政策へ寄与する姿勢を見せる形となっているが、一方で、これからも基本的な使命を保持し、歴史建造物へのてこ入れ、地域への介入(特に、舞台芸術や造形芸術方面)、芸術文化教育および高等教育をを発展させる方向で、明解に文化政策を推進していくことを確証するものとなっている。
Monumenta 2012 モニュメンタ、ダニエル・ビュレン
Monumenta 2012 モニュメンタ、ダニエル・ビュレン展 6月21日まで。 パリ、グラン・パレ、2012年5月10日から6月21日。[…]
現代文化と国について
数日前にこのブログで、フランスは外国人に永住権も与えないし、法的に職業規制があったりで思った職業にも就けない、という話をした。 「私たちは芸術家でよかったわね。芸術家にはだれだって自由になれるのだから」と同じ建物に住むスエーデン人が言ったことがあった。フランスの外国人は自由に職業を選ぶことができないという硬派のフランス社会についてはなしをしている最中に飛び出した意見だったが、このときの私はうーんとうなったばかりでうまい返事は出てこなかった。国から何の制限もない芸術家職は、そんなフランス社会の厳しいプロテクショニズムとは関係がない、とこのスエーデン人は言いたかったらしい。しかし、本当にそうだろうか。周りの人々が汲々として決められた制限のなかで生きているのに、そうした色に染められた社会の見識から免れて芸術家だけが自由を享受できる、というのはむしのいいはなしではないだろうか。 20年近く前フランスは、現代文化において「政府メセナ」のモデルとして日本でも盛んに紹介された。私企業のメセナが多く立ち上がったアメリカや日本と違い、フランスは政府が現代文化を援助する大きな体制を作り上げたからだ。資本主義の米日が「民」ならば、社会主義よりのフランスは「官」、として国のあり方を対立させてみてもいいかもしれない。フランスの企業はその大多数が国が株主で「公社」であったから、もともと私企業のメセナが育つ土壌も当時は僅少だった。そうした国の経済のありかた同様、現代文化もフランスは政府が指揮を取って政治のうえで采配しようとし、1981年、フランス文化省を復活させた。 この文化省に、現代アートを支援する「造形芸術庁」が発足して現代芸術のメセナ的な仕事を始めることになるのである。その仕事は実に緊密で、まずは「現代アート」の定義からスタートする。国の言う現代アートとは、狭義の流行のアートのことを指すのではなく、現代生きて仕事をしている作家が生み出すアートすべてを指す。したがって、すべての生きて仕事をしているアーティストとそのアートを対象にしている。生きているかぎり芸術家は、他の職業者同様、税金を払わなければならず社会保障も受けなければならない。そうした社会の一員としての義務が果たせるように国がメセナ的役割をもってサポートし、実利的な仕事を創造してアーティストにリンクをする役割を自分に課した。(公団住宅の枠内で芸術家用アトリエ建設、作品買い上げと作品公庫の設置、芸術活動への援助金制度、カタログ援助、展覧会援助、コマーシャルギャラリーとは質の異なるアートの発表を目的とした展覧会施設開設と相互リンク、公共建造物に作品を入れる法律〈1%〉、情報センターなどの芸術活動に必要なネットワークと施設を設ける、等々。) 国の現代芸術政策は、なかば芸術家の生活に結びついた福祉的な性質を大きく含みつつ、芸術育成をめざした組織的な構造が徐々にまた全国レベルで作り上げられていったのだ。 さて、現代芸術のリーダーがフランスの「国」であることは、何を意味するだろうか。現代から将来に向けて創られる現代文化も、ここでは政治の一環となっているわけだから、文化再興の理論の底流には、フランスのプロテクショニズムが大いに働いている。 1960年に初めてできた文化省は、初の文化大臣アンドレ・マルローの省内スタッフによってその真意が明らかにされている。「将来、世界が望むようにフランスの精神的尊厳を回復し、文化の(世界における)指導的立場をとりもどすことを念頭に、(戦後退廃しておざなりにされ、すっかり他の国に追い越されてしまった)フランス文化を建て直す」ことを大目的とすると。そうして1981年の文化省の再興は、マルローの意思をそっくり引き継ぐ作業の実現から始まっていることを指摘しなくてはならないだろう。 外から来た文化人たちは私を含め、フランスから跳ね返されるような勢いをしばしば感ぜずにはいられなかったのは、それだけ当時、この国の現代文化政策がエネルギーを持っていたことを意味するのだと思う。このフランスの勢いのおかげで、文化という大きなテーマについて、フランスの長い間の論議を認識する機会を何度も得ることができた。また、自分がいるフランスからフランスの思想をもってはじき出されることで、自分はそれではいったいどの文化に向かって作家活動をしているのだろうか、という疑問につきまとわれるようになってしまっている。 フランスに来なければ、この国が長いあいだ熟成してきた「文化」への論理的アプローチのなかに浸って、文化とは何かという大命題に接する機会はおそらくそうそう無かっただろうから、フランスには大いに感謝をしているが、一方で、この国で活動を始めてすでに27年たったいまも、自分がどの文化に向かって制作を続けているのかという疑問は疑問のまま、将来もきっと解決することはないだろうと思っている。(S.H.)