フランスから―環境とアートのブログ

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フランスのアートと動向

アクチュアリティ、ロム

ストラスブール - 欧州議会が、フランス政府のロム(日本語ではロマと訳されている)の強制追放に反対する議員投票を行った。大多数のヨーロッパ議員がフランスの人種差別による強硬手段に怒りを表明。強制追放の即刻中止をフランスに要求して、満場の議員から大拍手が巻き起こった。しかしこれに対し、ルーマニアを訪問中のフランスの移民大臣、エリック・ベソンは「欧州議会のおしつけがましい決断には従わない。追放は続行する」と発言。 議員投票の重大性を認識する欧州議会記者は、「無謀な強制追放の敢行で、欧州のなかのフランスの信頼が大きく揺らいでいる。フランスは欧州議会の意向を尊重すべき」、と述べている。 医療費 - 医療費の払い戻しが目減りし、フランス人の16.5%が歯科や長期の医療など、高価な治療費が必要な病気治療を先送りにしているという事実が判明した。この数字は30年前の4倍にのぼるという。 UMP党会議室捜索 - ロレアルの後継者で億万長者のリリアンヌ・ベタンクールに、レジオン・ドヌール勲章を贈るよう裏工作をした疑いで、UMP党会議室が当局の捜索を受けた。UMP(現在の与党)は、リリアンヌ・ベタンクールから2007年、サルコジの大統領選挙の政治献金を受けたり、ベタンクールの数億に上る脱税に関与したりスイス銀行の預金を見逃したり、この春以来、億万長者と政府のあきれた関係が次々と暴露され疑惑が拡大し続けている。なかでも現労働大臣エリック・ヴァートとその妻が、闇の金銭関係に大きく関与している疑いがもたれている。 ベルサイユ宮殿で村上隆展 -2010年9月14日から、ベルサイユ宮殿で村上隆展が開催される。漫画を主題にキッチュな立体や絵画やビデオなど、作品22点が荘厳なベルサイユ宮殿に展示されるが、この展覧会に際し、フランスでは、インターネットで反対署名運動が展開した。反対署名者の数はなんと10万人にのぼったという。 「クラシック音楽の中でロックを聴いて何が面白いか、ってことですよね。展覧会はナンセンスです」という批評家の意見。元文化大臣のジャン=ジャック・アヤゴンは、「マリー・アントワネットの当時も、新しいものを追い求め続けていたんです。そうした空間に、いまの時代の新しいものを持って来てもまったくおかしくはない」。当の村上隆は、「漫画は現代の風潮です。セザンヌがサント・ヴィクトワール山を描いたように、私も現代を描いています。・・・。今までベルサイユで行われたジェフ・クーンズなどの作品からイメージを得て、作品を展示しました」。フランス人が「カルチャー・ショック」と形容するベルサイユ宮殿を現場にした村上隆の展覧会は、開催前からすでに大きな論争を呼んでいる。

ビデオ・コンクール

PRIX DE LA CREATION VIDEO 2011、 VIDEOFORMES、 CLERMONT-FERRAND / ビデオ・コンクール、ビデオ・クリエーション・プライズ 2011、フランス、クレルモン・フェラン市、ビデオフォルム主催。 外国、国内のビデオアーティストに広く公募。 予選はDVD(Ficher Quicktime, AVI, DV 720×576, HD 1980×1080)で、タイトル、制作者の名前、長さの順に明記して登録する。画素を落としたコピーやその他のフォーマットは受け付けない。インターネットのサービス経由でも送付可能。予選の結果はメールで通知される。 予選を通過したビデオは、ビデオフォルム2011のビデオ・クリエーション・プライズのカテゴリーに入る。 フランス語のビデオは英語のテロップ、英語のビデオはフランス語のテロップ、また他の言語が使われているビデオは、フランス語か英語のテロップをつけること。 入選ビデオ上映は2011年3月。賞は、ピュイ・ド・ドーム県賞、クレルモン・フェラン市賞、ジュヌ・スペクタター賞。2011年3月9日に授賞式予定。 応募締め切り: 2010年10月3日。 ビデオフォルム: 応募ページ VIDEOFORMES B.P. 80411 63011 Clermont-Ferrand Cedex 1 FRANCE Tel : +33(0) 04 73 17 02 17 – Fax : +33(0) 04 73 93 05 45 E-mail : ecm@videoformes.com www.videoformes.com — Tous les...

もう一度現代文化、サルコジの文化嫌い 

いつの間にかサルコジ攻撃をするほうに回って、アクチュアリティなどもサルコジ批判に関連するニュースを多く取り上げるようになった。思い出すのは、ニコラ・サルコジが大統領に選出された2007年の初夏、フランスの全国紙『リベラシオン』の第一面は、ほぼ毎日がサルコジ批判だったことだ。『リベラシオン』はどちらかというと革新系の新聞だが一般庶民的な新聞でもあり、たとえばサルコジが「ナショナル・アイデンティティ」を提起しはじめ、世間が大騒ぎをし始めたころ、新聞の第一面に北アフリカ系の顔をした「フランス人」が、レントゲンの機械の向こうに立ち、こちらから医者が虫眼鏡で映し出されている白黒のレントゲン写真を「骨の髄まで」フランス人かどうか検査している風刺漫画が描かれたりしていて面白がって読んでいたが、記事の内容はというといかにも深刻で、ユダヤ系フランス人が身分証明の更新のときに、役所で「宗教証明」なるものを提出するように命令されたとか、十年以上フランスで出稼ぎをしてお金をためた外国人が家族を故郷から呼び寄せようとしたところ、法律改定でそれが不可能になり、家族は別れ別れのまま一緒に住めないとかいった、フランス人や外国人の扱いに関する細則がじわじわと締め付けるように改定されていくというものだった。…

アルビ市、人類の世界遺産に指定

Albi -  南仏ミディ・ピレネ地域タルヌ県のアルビ市が、ユネスコから人類の世界遺産に指定された。14年前からユネスコに指定請願を提出して待ち望んでいたもの。アルビ市はトゥールーズ・ロートレックが生まれたところとしても有名で、ロートレック美術館があり、屹立する歴史建造物のうち丘の上のサント・セシル大聖堂がその荘厳さできわだっている。川を挟んで全体にレンガ作りの町並みからくるオレンジがかった風景は絶景だ。ユネスコに指定された人類の世界遺産は現在これで908箇所。 歴史建造物の一つ、サント・セシル大聖堂(Sainte Cécile 写真)は南仏ゴシック様式で、レンガ造りの聖堂として世界一を誇る。1282年から1480年にかけて建設されたもので、長さ113m、高さ40m、幅35m。 トゥールーズ・ロートレック美術館: http://www.musee-toulouse-lautrec.com アルビ市公式サイト: http://www.mairie-albi.fr/

エフェメール展覧会

ドルドーニュ - カドゥアン、ドルドーニュ、 Cadouin, Dordogne、野外展《エフェメール  Ephémères(蜉蝣)》、レ・リヴ・ド・ラール協会企画。2010年8月1日(オープニング、19時)から9月30日まで。ドルドーニュ川沿いの5村にまたがる約55kmの地域。(オープニング、またガイド付き見学日は車の相乗りで!) Artists: Betty Bui, Christophe Doucet, Paul Hossfeld, Jean-François Noble, Dimitri Xenakis Organization: Association “Les Rives de l’Art” http://www.lesrivesdelart.com

展覧会

トゥールーズ - Toulouse, キャナル・ドュ・ミディ Canal du Midi(ミディ運河)建設120周年記念、現代アート野外展《シュマン・ドー(水路)》、トゥールーズ市企画。2010年6月28日から9月19日まで。 Artists: Romain Pellas, Deev Vanorbeek, Thomas Sabourin, Pédro Marzorati, Gilles Brusset, Denis Tricot, Le Phun, Pierre Surtel, Héléna Sellergren, Alain Prillard, Veronique Matteudi, Dimitri Xenakis, Caroline Delannoy Commissioner : Didier Kimmoun Contact : Hôtel de Ville BP 999 31 040 TOULOUSE Cedex 6 Tel : 05 67 73 80...

フランス、現代文化政策の終焉か?

新文化省にみる現代文化政策崩壊のきざし - ニコラ・サルコジが大統領に就任した年(2007)の12月に発案されていた文化省の再構成が、2010年1月13日、実施の運びとなった。それまで10の各文化・芸術分野の専門の管理局があったが、4つにまとめられて「見通しの良い管理構成を持つ目的で」あたらしい文化省が発効した。(政府の文化エキスパートの放逐と文化行政部の縮小とみられる。) 新たな文化省の構成は以下のとおり。 ・Le secrétariat général(事務総局)、 ・La direction générale des patrimoines(文化遺産局)、 ・La direction générale de la création artistique(芸術創造局)、 ・La direction générale des médias et des industries culturelles(メデイア・文化産業局)、 省間庁: Délégation générale à la langue française et aux langues de France(フランス語とフランスの言語総合庁) 地域の文化省: ・Directions régionales des affaires culturelles(DRAC 地域文化振興局) ・Services départementaux de l’architecture et du patrimoine(建築文化遺産に関する県内サービス) ・Les établissements...

ルーアン・アンプレッショネ展、作品と7月3日記念スチール

2010年7月3日ルーアン・アンプレッショネ展オープン。 アーティストの作品: オープニング・スチール:

展覧会

フォントネィ・ル・コント - Fontenay-le-Comte, Parcours Contemporain 2009 « Glissements de terrain (地すべり)»展。 2010年7月10日から9月25日まで。7月9日オープニング。 Artists & groups : Christelle Bonnet, le collectif Faux Amis, Nino Laisné Commissioner: Stéphanie Barbon Maison Jean Chevolleau 4 rue des Halles 85200 FONTENAY-LE-COMTE Tél / Fax. +33 (0)2 28 13 01 05
《Appel d'air - アペル・デール》 ドキュメント

《Appel d’air – アペル・デール》 ドキュメント

〔空気が危ない?〕プロジェクトは2003年、われわれの生活環境が生み出す大気汚染が森林の自然の再生能力に害を与え始めていることにインスピレーションを受けて、調査と創造を開始した環境アート・プロジェクトである。制作は、2006年のアルジャントゥイユ市で制作した「光合成の木」を皮切りに、2012年のショーモン領での「天の果実をつけた木」まで、フランス、日本、アメリカで合計9回行われた。このページは、2010年ルーアン市で行ったインスタレーション、「Appel d’air (空気の誘引)」の記録である。 ----- 《Appel d’air – アペル・デール》、環境アートインスタレーション フランス、ルーアン市企画「ルーアン・アンプレッショネ展」の中での企画プロジェクト。展覧会は2010年6月から8月まで、ルーアン市植物公園で。

ルーアン・アンプレッショネ - 展覧会

ルーアン - Rouen, 《Rouen impressionnée》 ルーアン・アンプレッショネ展、ルーアン市企画主催。 「コンテンポラリーアートが風景を占領するとき」 2010年7月3日から8月29日まで。市内各地でインスタレーション。7月3日総合オープニング。 その他の日程・ガイド付き見学日: - アルヌ・クィーンズのインスタレーション「カミーユ」(ボワルディュー橋)は、以下の日にガイド付きグループ見学企画。 2010年7月11、15、29日、8月8、12、21、26日、18時から。現地集合。 - 平川滋子のインスタレーション「アペル・デール」(ルーアン植物公園)は、以下の日にガイド付きグループ見学企画。 2010年7月8、17、22、31日、8月5、9、14、28日、18時から。現地集合。 - フランソワ・カヴァリエ写真展「富士山」はギャラリー・ラファイエット地下展示場。 - オリビエ・ダルネとパルティ・ポエティックの蜂の巣のインスタレーション「はちみつ銀行」は、火曜、水曜、金曜の17時から19時までオープン。 バルテレミィ広場、サン・セベール広場。 - エシェル・アンコニュ(グループ)、QRコードでケイタイで作品にアクセス。リブ・ドロワット。 - ジェローム・トックル、キューブ・インスタレーション。ルーアン市庁舎前。7月19日から8月1日まで。 ・Artistes et groupes/Artists & groups: Arne Quinze, Shigeko Hirakawa, François Cavelier, Olivier Darné et le Parti poétique, Echelle inconnue, Jérôme Toq’r ・Commissaire/commissioner: Laure Delamotte-Legrand ・展覧会公式サイト: http://www.rouenimpressionnee.fr ・Shigeko Hirakawa’s project Appel d’air preparation (6月26日オープン)

アーティストインレジデンス公募

artist in residence – アーティスト・イン・レジデンス公募。外からのアーティスト歓迎と謳っているが、内容的にフランス語は必須。 オーベルニュ地域議会、オーベルニュ地域現代文化振興局、ティエ市クリュ・ド・ランフェール現代アートセンター、ジャン・ゼイ高校支援。 ジャン・ゼイ Jean Zay 高校でのアーティスト・イン・レジデンス。高校生と一緒にプロジェクトを構築する。テクニックやコンセプトのたて方を一緒に考え、高校生と交流を中心に作品を作ることがレジデンシーで要求される。 条件: 2011年1月から5月の間の8週間。グラント5000ユーロ。クリュ・ド・ランフェール現代アートセンターの協力による宿泊設備あり。 日程: 2010年9月1日応募締め切り、10月選考・面接。12月決定。 書類送付先: La résidence “Faire rentrer la lumière dans les têtes” le Creux de l’enfer – Centre d’art contemporain 85, avenue Joseph Claussat 63300 Thiers France http://www.creuxdelenfer.net/Residence-d-artiste-au-Lycee-Jean — Résidence d’artiste au Lycée Jean Zay de Thiers les partenaires : le Lycée Jean Zay de...

2010年夏の文化イベント10000件掲載ガイド

Festivals et Expositions, France 2010 - 『フェスティヴァルと展覧会』、フランス 2010年5月-10月。フランス全国のフェスティバル、展覧会など、この夏の文化企画10000件が掲載されているガイドブック。A5版、654ページ。2010年5月26日発売。価格10ユーロ。フランス文化省情報広報局出版。 以下のキオスクで発売中: • Place colette, Paris 1er (devant la comédie française) • Avenue Charles de Gaulle, Neuilly-sur-Seine (métro Sablons) Les guides de référence de l’actualité culturelle en France édités par le Ministère de la culture et de la communication, Direction de l’information et de la communication “Festivals et expositions” mai-octobre 2010...

れきしの点と線 - コミッション

年譜: 1959年-1969年 シャルル・ド・ゴール大統領 初の文化省設立、アンドレ・マルロー文相が10年一貫して在任 1969年-1974年 ジョルジュ・ポンピドー大統領 文化省継続 1974年-1981年 ジスカール・デスタン大統領 文化は閣外局に格下げ 1981年-1995年 フランソワ・ミッテラン大統領 文化省の再建、ジャック・ラング文相 1983年文化予算倍増 1995年-2007年 ジャック・シラク大統領 2007年-     ニコラ・サルコジ大統領 予算獲得に四苦八苦したアンドレ・マルローのあと5年経つかたたないうちに、文化省は「省」格を取り上げられてしまった。1977年1月に国立近代美術館を入れた新しい文化センター、ポンピドー国立文化芸術センターが開館したのを除いては、ジスカール・デスタン時代の閣外局が7年も続いて内閣のなかの文化はほとんどといっていいほど力を発揮できず、また進展もしなかったらしい。7年という長い空白から、1981年のミッテランの《レ・グラン・トラボー》宣言への大転換は、並々ならぬ試練を乗り越えなければならなかった。 ジャック・ラングの大臣室長だったジャック・サロワがこう洩らしている。「文化省の重要なポストについていながらなにしろ経験が浅すぎ、経済省の役人と対等にやりあってバジェットを動かすのもなかなか難儀な時代だった。・・・。また省の人員も、バジェットの取り合いに明け暮れるだけの人間が入り混じり、真の文化の大望のために省の中においても戦わなければならなかった」。 確かに、1980年代初頭にフランスに来た私などは、どこに行っても何かが壊れるか盗まれるようなフランス社会の荒れように心底驚いたが、あちこちで大工事がはじまるのを目のあたりにし、悲惨な社会をかかえたフランスのいったいどこから資金が沸いて出るのか、荒廃した日常と文化にかける莫大な大工事費との大きなギャップが不思議で仕方がなかった。文化省はこのとき、 再建といってもほとんど一からの出発である。文化の多様な姿を実現するにあたって、過去の正論をあちこちから拝借し今流に味つけするなどの苦心をあちこちにちりばめたようである。 ド・ゴールとマルローの60年代、衛星都市を中心に新しい都市を建設して新しい産業を発展させるプロジェクト、「新都市 Les Villes Nouvelles」計画が誕生した。マルローは、国の役割のひとつはコミッション(作品発注)だといったが、三種の神器とも言うべきコミッションについてミッテラン時代は、新都市計画を改めて推進する際、各都市の環境に適合した現代アートを大々的に組み込む計画を立てた。国土開発省の新都市建設プロジェクトを利用してコミッションを生み出し、モニュメントを新都市のあちこちに生みつけたわけだ。パリの西に建設された経済都市ラ・デファンス建設の際も数多くの現代アート作品が組み込まれているのは周知の事実である。 1960年代から開発の新都市は全国で9箇所、パリ周辺では5箇所: セルジー・ポントワーズ エヴリィ セナール サン・カンタン・アン・イヴリン マルヌ・ラ・ヴァレ