人権が揺らぐ日本
原発事故被害者の人権を守る、署名運動 【国連人権理事会は2017年11月、特に原発事故の被害者に対する日本政府の人権侵害に言及し、政府に現状の是正を勧告した。】 日本グリーンピースの公式サイトから引用: 「東京電力福島原発事故から7年、日本政府は、被害を受けた人々の暮らしをまもるどころか、人権を侵害しています。被害者の声が反映されないまま、避難指示が解除され、賠償や住宅支援の打ち切りが強行されています。 しかし、被害を受けた人々が直面している状況を改善できる希望が見えてきました。この11月、国連人権理事会による日本の人権審査で、国連加盟国4カ国が、原発事故被害者の人権状況を是正するように、日本政府に以下のように勧告したのです。*1
震災から3年、未来は?
更新:2014年3月14日:東北大震災から3年が経った。このブログに作った「アクチュアリティ・日本」は、フランスや世界が東北大震災とそれにともなう福島第一原発事故をどう見ているか、どう報道するか、3年前の災害直後から欧州の報道を日本語に翻訳して紹介してきたものだ。フランスの報道熱が下がるのは震災から2ヵ月後だっただろうか。それまでフランス国営放送のニュースは毎日、日本の震災と原発事故の報道一色だったことを思えば、フランスにとって日本の災害がどれだけ大きなショックだったかがよく分かるはずである。拙ブログの「アクチュアリティ・日本」は、実は日本とフランスの報道の大きな差に気がついたときから書き始めたといういきさつがある。フランスでは福島第一原発事故後ほとんどすぐに3基の炉心のメルトダウンをいい始めたのに対し、日本の報道はどこにもメルトダウンしたという表現をまったくしていなかった。 現在は日本の誰もが長いあいだ政府や東電の事実の隠蔽があったことを承知している。これだけ大きな事実隠蔽の余波によって、この3年、鼠算式に嘘が嘘を生んできたような気がしてならない。「事実を隠すのは日本の文化の一つでは?」というフランス人がいた。私としては、悪習や体質を日本の文化の一部として認めたくはないが、ここまで隠蔽が普通のことになってしまうと、どう考えればいいのだろうか。政権は、ますます市民の声を聞かず、現実離れした政治が暴走している。 震災と事故からだいぶたって、フランスも日本から離れ、ヨーロッパの経済危機を話題の中心に取り戻したときに見つけた日本の放送、種まきジャーナル。そうした日本の「隠蔽文化」や悪習を飛び越えて真相究明に真摯な姿勢を見せていることを発見。同番組は現在、報道するラジオと名前を変えて毎週金曜日に課題をきめた特集が行われている。フランスのメディアではないので日本語に翻訳する手間がなくて助かる・・・、などというよりは、日本のほかの報道メディアでは取り上げない、しかし、本来なら取り上げるべき問題をきちんと取り上げているところに感謝しつつ、震災から3年目の真実の一片を報道するラジオから聞いてみたいと思う。(S.H.)
驚きの日本の軍備
更新:2013年11月22日: 報道するラジオが特別報道。軍縮するヨーロッパのイギリス、フランスの軍事力を上回る日本の自衛隊が、さらに装備を増すことの意味は? … 安倍政権の国家主義に敏感に反対の意識を表す日本人はどのくらいいるのだろう。これが私の参議院選挙以来の最近の疑問だ。首相や与党の使う「ことば」と「ことばによる人心操作」は、本当はメディア(報道機関)が細心に、留意しなければならないものなのではないか。そんな感想を参議院選挙の「ねじれ解消」という安倍首相の発言のときから考えている。「ねじれ」という否定的な趣を持つことばを「解消」ということばで一般人の心に「修正しなければならない」と思わせてしまう。そんな与党の「恣意」がありありと感じられたことばであったにもかかわらず、報道は政府の恣意などには頓着せず(?)、そのままリピートしてしまっていた。そんな報道各社のリピートは、それこそ政府の恣意を覆い隠す結果となり、視聴者たちに「ねじれは悪者」そして「解消」すべきもののように訴えてかけてしまっていたのではないだろうか。与党のことばの操作は、実はあらゆるところに網羅されている。11月15日の報道するラジオは、そうしたことばの操作とメディアについて、侃々諤々。… 福島原発事故収拾に「国が前面に出る」という安倍発言の裏の真実について。11月22日放送分も追加。
アクチュアリティ・日本
日本の危機、福島原発 - 原発の現況悪化とその危険を重視し、アメリカとイギリスは、福島原発から現在の直径30kmから直径80kmに範囲をひろげて住民を退避させるよう示唆した。不安を満面に浮かべた福島県知事佐藤雄平氏は昨日記者会見で、放射線の危険を早く回避できるよう、やはり80km圏内の住民の避難を政府に訴え、地震から一週間にもなりながらいまだに十分な援助がとどかず、避難をした人々の飲料水や食料が欠乏した状態が続いていることもふくめ、県民は見放された思いで政府の不十分な対応に苦汁を飲んでいるとつけ加えた。 最後の望みを託して、福島原発第3号機と第4号機を冷却するためにヘリコプターで水を投下する作業が行われている。第4号機は核貯蔵プールの水が減り、核が外気に触れているため、過熱がすすみ激烈な放射線が出ているもよう。水がどれだけ減っているのかはわかっていない。アメリカの専門家はほとんど水が残っていない状態を懸念。水がある限りは核の安定と鎮火の希望を持てると考えられており、外気に触れている加熱状態の核が核融合を起こさないように、必死の水の投下と地上からの放水が昼夜を分かたず行われている状況だ。 日本側は金曜日に、原発の電気を回復させて冷却装置を稼動させたい方針だ。ただし、第3、第4号機ともにかなり破損がひどいので、はたして稼動するかどうか、疑問なのではないか。 フランス政府とEDFフランス電気およびAREVA社は、日本の要請に応えて炉心の冷却剤100トン、また原発作業用の特別作業服・手袋・マスクなど一式を数万部日本へ送ることを決定した。また、東京周辺にいるフランス人3000人に甲状腺のための安定ヨウ素剤を送る。 放射能の危険を回避するために 、在日フランス人の本国送還をフランス政府が無料チャーター機で行っており、毎日運行して送還を急いでいる。現在、日本にいた9000人のフランス人のうち半数ほどが帰国したもよう。「職場の同僚を見捨てて帰ってきたことが辛いです。フランス政府が無料で飛行機を手配すると言ってきてくれたので、飛行機に乗ってしまいました」とパリ空港に到着したフランス人がもらした。 アメリカ人も同様、アメリカ政府の意向が強く続々と日本を離陸。またイギリス議会は、在日イギリス人のみならず、在韓のイギリス人もイギリスへ戻すよう討議した。 津波の災害を中心に外国のレスキュー隊が救済活動を続けているが、寒さと雪、瓦礫のなかで困難を極めている。イギリスのレスキュー隊は、放射能の危険を早めに察知するため、各人がガイガーカウンターを携帯して救助活動を続行中だ。仙台で救助活動をしていたフランスレスキュー隊100人は北上し、津波でいまだに陸の孤島となっている村へ向かうことになっている。「何百キロ平米というはてしのない瓦礫の平野に胸が詰まる」とフランスレキュー隊。 日本人も小さい子供を持つ母親は、大阪方面へ疎開している。フランスのメディア・ジャーナリストも福島から240kmしか離れていない危険な東京を逃れ、大阪へ移動した。 対応の知識について: ちなみに被爆を早めに察知し、ぬるま湯のシャワーを浴びて放射能を洗い落とす場合、体をこすったりせず、また髪などももみ洗いをせずお湯を流すだけにとどめることが肝要。きちんと洗浄すれば約80%の放射能を落とすことができるという。 また、甲状腺は特に4歳以下の子供が非常に脆弱で、はやく子供を放射線の危険から遠ざけなければならない。 (フランスTV、BBC、Skynews、フランスアンフォ・ラジオ) My opinion: フランスTVやBBCは、今回の津波の災害で避難した人たちが、雪解け水で手を「久しぶりに」洗い、また片方では「6日も髪を洗っていなくて気持ちが悪い」という若い男性を映し出していたが、少し前まで経済大国で何でもあり、また何でもできると思っていた日本が、歴史的な大災害とはいえ、一週間たった今もこれだけ対処ができずにいるかと思うと情けない気持ちになった。アメリカのブッシュ大統領が暴風雨カタリナの災害時に対処が遅れてずいぶん非難されたが、人のことは言えない。ことに、食料・水といった最低限の物資供給や、原発の危機から住民を非難させることもかなり後手になっていると思うのは私だけだろうか。必要物資の大量収集、大量運搬のための手段や人間の収集といった連携をとることに時間がかかりすぎている。こうした大災害に際して、国を挙げてあちこちに気を配って動かなければならないときに肝心の手段が即座に利用できないでいる政府をみると、もう国がイニシアチブを取れないほど小さくなりすぎてしまったのではないか、と思ったりせざるを得ない。 一番気になるのは原発周辺の住民の行方だ。1986年のチェルノブリイ事故のとき、激烈な放射能のなかで作業をしたヒーローをリキダター(粛清屋)と呼んだ。そのリキダターを指揮した人がまだ生きている。「あの事故で今一番後悔しているのは、子供たちの避難をさせず、36時間もそのまま何もしないで放っておいたことだ」と悔悟していた。被爆した子供はみな白血病やガンなどを発病している。 政府は手遅れにならないうちに早く救える人を救わなければ。(S.H.)
アクチュアリティ・日本
TF1 TV の2011年3月16日昼のニュースの内容から: Le 13 heures du 16 mars 2011 福島原発第4号機の核貯蔵プールの水が激減し、核が水面から出て外気に触れている危急の状態となったため大量の放射能が放射されはじめ、急務に当たっていた職員は全員退避せざるを得なくなった。第4号機の加熱を抑えるためヘリコプターで空から水を投下する準備がされたが、放射能が激烈なため中止。現在地上から放水が行われている。昨日二回の爆発で第2号機の核貯蔵庫が破損。密閉状態を保てなくなり放射能が流出している。フランス放射能保護インスティテュートの専門家は「特に第4号機は現在誰も制御をしていない状態。ますます悲観的な方向へ進んでいる」と状況説明をした。 この24時間で、福島から東京にかけて、日常の300倍の放射能が検出された。「 人体への影響はない」といわれているが、これは短期的にみた判断でしかなく、長期的には病気発生の確率を高める量となっている。 自然の放射線で年間人体が受ける放射線量は1から2.4ミリシーベルトといわれている。現在福島近辺で、一時間の被爆量16ミリシーベルト。水道の放射能汚染が確認されている。原発で作業をしていた職員の被爆量は、一時間で400ミリシーベルトと予想される。 以下放射線量の目安(日本の目安とは多少異なるもよう)。 平常の一年の数値: 1から2.4ミリシーベルト。 胸部レントゲン一回: 0.1ミリシーベルト。 全身CTスキャン: 10ミリシーベルト。 福島近辺、一時間: 16ミリシーベルト。 福島原発職員の一時間: 400ミリシーベルト。 ヨーロッパ1ラジオ: 太平洋のフランス領ポリネシアの人々のためにフランス本国から安定ヨウ素剤が緊急事態に備え大量空輸される。 フランス2TV: 加熱が進んで一番危険な状態にあるのは、第4号機と第3号機。水がある限りは希望がある。第2号機はメルトダウンしているものの、現在温度が安定。いったん退避した原発の職員たちは現場に戻ったもよう。フランスのレスキュー隊が仙台に100人ほど派遣されて救助作業をしているが、フランス側ではサテライトで撮った現場の写真を見ながら遭難者が流されそうな地域を推定して、フランスレスキュー隊に情報を送っている。現地では、「原発の緊急時にかんして、どのように対処するのかなどまったく日本側からの指示は来ていない」と救助隊の一人がもらした。雪と寒さ、危険な環境で作業は困難を極めている。「天皇が国民に向かって演説したのは、事態がそれだけ深刻であることを物語っている」とレポーター。 My opinion: フランスTF1テレビのみならず、フランス国営チャンネルが津波の後の原発事故の進展を追いかけ、毎回のニュースで進展を詳細に説明しようと懸命になっている一方で、日本の日本人の反応が冷静すぎてかえって世界の心配をかきたてている。「日本国内の日本人は本当にちゃんとした情報を得ているの?」というのが大半の疑問とするところだ。フランスのTVニュースでは、在日外国人や政府の情報に不信感を持っている日本人は外国放送をインターネットでキャッチしているということも報告された。昨日の段階でフランスの放射能安全委員会は福島原発事故をレベル6に指定しているが、どうしたら核の暴走を食い止められるのか。それにしても命を懸けて仕事をしている原発職員の勇気には頭が下がる。世界のメディアが「ヒーロー」と形容している。その職員たちも退避するような状況で、われわれはいったい何をすればいいのだろう。フランスTVの司会者に「チェルノブリイ事故以上の惨事になるか?」と質問された原子力開発研究者は、みな誰もしどろもどろ。はっきり「それはありえない」と言ってくれないところが実に厳しい。 今日のTF1は、レベル7のチェルノブイリ事故で放射能の雲が数千キロ離れたところまで汚染した事実を、ヨーロッパの地図の上を移動する雲の映像をCGで見せて放送している。1986年事故当時のフランス政府は、「放射能の雲はフランスの国境から一歩も入らなかった」という表明をして国民の生活を日常どおり営ませ、ほかのヨーロッパの近隣諸国がやったように甲状腺保護のためのヨウ素剤を配って最低限の国民の健康の安全をはかることも、また市場から野菜や牛乳などすぐ汚染されそうな食料品を回収することもしなかった。今フランスが日本の原発事故に敏感に反応しているのは、結局、長期の放射能被爆でガンなどの病気が増えていることと事実隠蔽をした政府へ国民が反駁していることも根底にあることを否めない。フランス国境でとどまるどころか、チェルノブイリの雲は南のピレネー山脈の一部を除くフランス全土を覆っていたことを知らしめるフランスのTV映像は、事故から25年経った今日はじめて見た。(S.H.)