フランスから―環境とアートのブログ

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Posts tagged "ルーアン"

ゲリラ豪雨、各地で被害

更新:2013年6月19日:洞窟壁画のあるルルドも140cmの冠水。19日はフランスの半分にあたいする北部42県に洪水警戒注意報が発令された。 ・フランス、パリ地域および西フランスで、ピンポン玉大の雹を伴うゲリラ豪雨 17日朝、フランスの西部、パリ地域を中心にゲリラ豪雨が襲った。ところにより激しい風雨と稲妻、またピンポン玉大の巨大な雹が30分も降り続けた地域があり、トゥーレーヌでは数十ヘクタールのワイン製造向けの葡萄畑が雹に破壊されて全滅。ロシュフォールではレストランやスーパーマーケットの屋根が壊れるなどの被害が出た。6月17日夜は、16の県で暴風雨警報。 一方、東フランス、ストラスブールでは温度が急上昇し、28度の真夏日となった。フランスでこれだけ天候が目まぐるしく変化するのは珍しい。
Mandala oublié 忘れられた曼荼羅・その1

Mandala oublié 忘れられた曼荼羅・その1

「Mandala oublié マンダラ・ウーブリエ(忘れられた曼荼羅)」-2013年春のプロジェクト 〈その1〉

アクチュアリティ

冷夏 - バカンスに入ったとたん、フランス全土を冷気が包んだ。あちこち雨、アルプスでは標高2600メーターで雹、続いて降雪。アルプス山岳地帯で転車競技を楽しんでいた約200人が、冷気を超えた寒気に襲われ消防隊に救助された。自転車競技参加者はショートパンツに半袖の軽装。大雨のあと気温が急降下して3度まで下がり、雪に見舞われるなどして、寒さで体が硬直し動けなくなったため。 ブルターニュ、太平洋岸はスペイン国境近くまで平年より7度から5度低い気温に、海水浴をする人はほとんどいない。ドイツやイギリスからの旅行者も、悪天のフランスに飽き飽き。海岸近辺の商売は上がったりだ。冷夏は7月下旬まで続くもよう。 マルチーヌ・オーブリィ、文化予算倍増を提言 - 雨のアヴィニョン・フェスティヴァルを訪れた社会党のマルチーヌ・オーブリィは、5年をかけて文化予算を30%から50%増加することを提言した。フランスは「文化の多様性」に立ち返り、文化を活発化しなければならないとし、現政府、ことにサルコジ大統領の文化離れを批判した。 ちなみにフランスの文化予算は減るどころか増える一方だという。2011年の文化予算は、75億ユーロ。うち、3億7500万ユーロは、歴史建造物へ、6億6300万ユーロが舞台芸術に、4億2000万ユーロが(困窮状態の)報道関係へ費やされている。(フランス2TV) My opinion: マルチーヌ・オーブリィのみならず社会党議員たちのなかには、現代芸術へ思いを寄せ、地方レベルで支援増大を実行している議員が大勢いる。昨年私が参加したルーアン・アンプレッショネ展も、今年のメル現代アート・ビエンナーレも、そうしたかれらの予算増大の賜物の展覧会なのである。シラク以前の革新政府時代は、文化予算といえば現代芸術の「創造にたいする支援(Soutien à la création)」が必ず大きな位置を占めていた。時代が変わったサルコジ政権下のきょう、フランス2TVが引用した文化予算の内訳に、そうした創造のための予算が言及されなかったこと自体がすでにおかしい。その上、4億2000万ユーロが報道関係の救済(Aide à la presse en difficulté)というから、文化のなかでもどういう形態のものに多額な予算が利用されているか、推して知るべしである。サルコジ政治で2007年を境に、めっきり文化の話が減少した。そう、多くの人が感じている。少しのあいだにズレてしまった文化の真意を取り戻し、文化予算も内容をうんぬんすべきときにきているのではないか。(S.H.)

ルーアン

Photos by Shigeko Hirakawa: ルーアン、2010年6月

ルーアン、作品の一部破壊で警戒態勢

7月19日、ルーアン市植物公園のチーフから電話があり、「透明球体の大きいやつが一個やられたので、今朝警察へ行って届けを出しました。球体は120cmほどの穴が開いています。ついては被害金額を・・・」と言ってきた。フランスでのこうした芸術作品にたいする暴力は今に始まったことではなく、野外の展示ではほとんど90%がバンダリズム(故意の作品破壊)にあう。私の空気を入れた球体のインスタレーションも、設置が完了したその日に、数十人の子供が飛び掛り、蹴ったり殴ったり、のしかかったり、ケーブルをいたずらしようとしたりの大騒ぎが始まった。こうした人害だけではなく、大嵐などの悪天候にも耐えるよう、今回はポリウレタンの強靭なソフトプラスチック材を選び、野外の設置に臨んだといういきさつがある。 このポリウレタン材は、素手で殴ったりのしかかったりしても破裂をするような材料ではなく、まだ傷んだ球体を見ていないからなんともいえないが、120cmの穴が開いているというからには、ナイフか何かで切りつけたものと思われる。すでに、先々週ルーアンに戻った際、球体の足元から山ほどの石が見つかった。わざととがった石を選んで拾い、球体めがけて投げつけて穴を開けようとする子供がいるらしい。一人や二人の子供ではない。それにしては芝生の上に転がっている石の数が多すぎるのである。そんなひどい目にあっても、設置した7個のすべての球体は、まったく何ごともなかったかのように平然と存在し続けていたのだった。 この球体が致命傷を受けたのは、植物公園が閉まった夜のことらしい。日中は自転車に乗った警官が二人、見回りをしてくれることになっているが、閉園する夜は誰もいない。この事件で、ルーアン市は、これから5日間、24時間態勢でガードマンを置き私のインスタレーションの警戒にあたることを決めた、という連絡がさきほど入った。 さて、気分なおしに、今回のインスタレーション《アペル・デール》への反響を拾ったので、ご紹介したいと思う。このブログに掲載されている写真は、愛を感じるほど美しい。 推薦ブログ Le gout des livres 2010/07/21 (S.H.)

ルーアン・アンプレッショネ展、作品と7月3日記念スチール

2010年7月3日ルーアン・アンプレッショネ展オープン。 アーティストの作品: オープニング・スチール:

ルーアン・アンプレッショネ - 展覧会

ルーアン - Rouen, 《Rouen impressionnée》 ルーアン・アンプレッショネ展、ルーアン市企画主催。 「コンテンポラリーアートが風景を占領するとき」 2010年7月3日から8月29日まで。市内各地でインスタレーション。7月3日総合オープニング。 その他の日程・ガイド付き見学日: - アルヌ・クィーンズのインスタレーション「カミーユ」(ボワルディュー橋)は、以下の日にガイド付きグループ見学企画。 2010年7月11、15、29日、8月8、12、21、26日、18時から。現地集合。 - 平川滋子のインスタレーション「アペル・デール」(ルーアン植物公園)は、以下の日にガイド付きグループ見学企画。 2010年7月8、17、22、31日、8月5、9、14、28日、18時から。現地集合。 - フランソワ・カヴァリエ写真展「富士山」はギャラリー・ラファイエット地下展示場。 - オリビエ・ダルネとパルティ・ポエティックの蜂の巣のインスタレーション「はちみつ銀行」は、火曜、水曜、金曜の17時から19時までオープン。 バルテレミィ広場、サン・セベール広場。 - エシェル・アンコニュ(グループ)、QRコードでケイタイで作品にアクセス。リブ・ドロワット。 - ジェローム・トックル、キューブ・インスタレーション。ルーアン市庁舎前。7月19日から8月1日まで。 ・Artistes et groupes/Artists & groups: Arne Quinze, Shigeko Hirakawa, François Cavelier, Olivier Darné et le Parti poétique, Echelle inconnue, Jérôme Toq’r ・Commissaire/commissioner: Laure Delamotte-Legrand ・展覧会公式サイト: http://www.rouenimpressionnee.fr ・Shigeko Hirakawa’s project Appel d’air preparation (6月26日オープン)

きょうの話

さて、今の私の話である。 現在、夏のルーアンの大きなプロジェクトのほかに、この秋に向けて隣町の企画個展のプロジェクトを同時進行している。隣町のメゾン・デ・ザール文化センターのディレクターが私のアトリエに来たのは去年の夏前のことだった。突然の電話で、まあコンタクトはいつも突然ではあるけれど、彼女らが初めて企画する野外展のアーティストに私を選んでくれたということだった。その時点からずっと、アイデアを出してはああでもないこうでもないと話し合いばかりを続けている。もう長いあいだメゾン・デ・ザールで展覧会を企画している人たちではあるが、野外のテンポラリーなインスタレーションへのアプローチは初めてのことで、なかなか理解が難しいらしい。財布を牛耳っている市の議員たちとは二ヶ月前に初めて会合をした。こちらはもっと違う世界だ。そうか、だいたい全体像が見えてきた。ようやくわがセンターでも現代アートに挑戦しようと一発奮起しているディレクターは、じつはもっと「厄介」な市議会を私と一緒に説き伏せようという心積もりだったらしい。周辺の事情がわかったからには、それなりに対応すべきであるとは思いつつ、毎回の話し合いには消耗以上の消耗を、強いられている。 ルーアン市長のように予めアーティストの知識を仕入れて理解し、初対面から何の問題もないミーティングをできるのは、いかに希少な理想型か。結局は、何を提示し、どう納得させられるかに問題は集約するのだけれど、一方で、それぞれ企画によって事情には雲泥の差がある。状況によって、はたまた人によって、アーティストもあらゆる方策を準備しておかなくてはならないのが現実、といったところなのだ。 6月1日にまた、隣町の市議会議員とのミーティングを予定しているが、すっかり視点を変えてミーティングに臨んでみようと考えている。国際通貨基金のディレクターのドミニク・ストロスカーンのように「だまって私に仕事をさせてください」というようなセリフが、早い話、すんなり言えればそれですむような問題なのかもしれない、と思いつつ・・・。 もう一ヶ月くらい前、2008年にたててまだ紙の上のプロジェクトが実現に向かっているという連絡が入った。このプロジェクトは二つの町で実現することになりそうなのだ。一歩先へ進んだからには、下請け企業のリサーチから開始しなくてはならない。まだまだ山ほどリサーチをしなければならないプロジェクトなのである。一箇所からはきのう、契約書の下書きが送られてきた。目を通さなければならないが、まだルーアンに時間をとられている。すでに台湾から船が着き荷物が岸に上がっているのに、税関を通すための書類が一通足りない。いくら注意をして手配をしたつもりでも、何かがおきてしまうのは仕方がないが、きょうはその処理で一日終わってしまった。この週末は、6月1日の隣町の議員との会合に向けてプロジェクトのPDFを仕上げるつもりでいる。契約書に目を通すのはそれからになるだろう。 さてもうひとつ、きのうは現代アートに関する本を書きながら展覧会プロジェクトを同時にするという人の電話を受けた。コンタクトは5月はじめにメールが来たのが最初である。展覧会企画のほうはパリ市の応援を頼みにしているらしい。セレクションしたアーティストがどのような形で発表までたどり着くのか、まだ、ふわふわしたアイデア状態といった気配だ。幸い急がないようなので、ルーアンのインスタレーションがオープンしたあとの7月に、実質的な話し合いに入ることになった。 2005年あたりから、本を書くから私の仕事や仕事の写真を入れたい、という話がよく湧き上がるようになった。ちょくちょくコンタクトを受けるものの、実際に図版入り単行本が出版されたのは今年の《ジャルダン・エコロジック》という360ページの厚い本が、仕事のちゃんとしたプレゼンテーションをいれてくれた初めての本となった。ほかは数回、企画がもちあがって原稿ができたのに、出版の時点で流れてしまうというもったいない事態で終わっている。今回、展覧会と同時に出版をということで、おそらくカタログがふくらんで執筆者の構想がふんだんに入る本のようなものができるのだろうと予測している。いずれにしても出版物にきちんと入れてもらえるのは喜ばしいことだ。(2010.5.29.S.H.)