フランスから―環境とアートのブログ

開く:記事の大見出しをクリックする
Posts tagged "ドイツ"

ドイツおよび欧州、ナチス戦犯の捜索強化

[アクチュアリティ]8月12日のフランス2TV夜のニュースから: ハンガリーで公判を待って自宅謹慎していたハンガリー人の旧ナチス戦犯、Laszlo Csataryが先週土曜日ブタペストの病院で亡くなった。98歳だった。第二次大戦時中の1940年から1944年のあいだに、15700人あまりのユダヤ人をスロバキアの強制収容所へ暴力的に連行した「非人道的」行為を追求する裁判にかけられる予定だった。 Laszlo Csataryは1948年、死刑宣告を受けてカナダへ逃亡し、画商をして生活をつないでいたが、1995年にカナダ当局がその正体を発見したためハンガリーへ逃走。2012年に、エルサレムのSimon Wiesenthalセンターによる旧ナチス戦犯の国際捜査によって捕縛されるまで、ハンガリーで何の心配もなく普通の生活を送っていたという。 ・ヨーロッパはナチス戦犯の捜索に積極的(ル・パリジアン) ヨーロッパ当局はこの数年、ホロコーストに直接かかわった戦犯を法で裁くために捜索を強めていた。近年では2011年、ドイツ当局がソビボーア強制収容所の監視員をしていたJohn Demjanjukを有罪にした。戦時中の70年前、John Demjanjukは若年で重要なポストには就いていなかったが、強制収容所で仕事をしたというだけで、直接殺戮に加わらなくても有罪に十分値すると判断されたことによる。 また、同じくドイツでこの5月、Hans Lipschis 93歳が逮捕され、やはり監視員としてアウシュビッツ収容所で大量殺戮に加わった疑いをもたれているが、本人は料理人だったと主張しているという。 ・Laszlo Csataryの死亡を契機に、ドイツで旧ナチス戦犯の捜索強化(フランス2TV)

ユダヤ人の持ち主へ絵画の返還

フランス文化省は2013年3月19日、フランスの美術館で保管されていた絵画を持ち主へ返還する式典を催した。絵画の所有者は、第二次世界大戦中、フランスに在住していたユダヤ系オーストリア人。ドイツのナチスやフランス警察の追及を逃れて1939年フランスを脱出する際、持ち出すことができずにフランスにおいていった所蔵品で、アメリカのボストン在住の孫にあたるトーマス・セルドルフ氏が式典のため来仏。報道陣を前にオレリー・フィリペッティ文化大臣がセルドルフ氏に手渡しし、大臣はこれからも積極的に戦時中に不当に収集されたり迷子になった絵画の持ち主を探す研究を進めることを約束した。セルドルフ氏への作品の返還は70年ぶりとなる。 絵画は、17、18世紀のイタリアの画家 (Gaspare Diziani, Sebastiano Ricci…)のもの6点。返還手続きは生易しいものではなく、ボストンから駆けつけた84歳のセルドルフ氏は、繊維産業を営み芸術愛好家であった祖父のリチャード・ナウマン氏の思い出を語りながら感激していた。 リチャード・ナウマン氏は第二次大戦前、200点あまりの作品をコレクションしていたが、祖国オーストリアが1938年にドイツのナチと協定を結んだことでオーストリアから逃亡せざるを得ない状況に陥り、その際にコレクションの一部をオーストリアにも置き去りにしなければならなかった。家族とともに幾ばくかの作品をかかえてパリへやってきたが、1941年、スペインからキューバ、そしてニューヨークへ渡るために絵画を急いで手放したのだという。…

アーティスト公募、フィルム・フェスティバル、ドイツ

INTERNATIONALS TRICKFILM FESTIVAL, 20th FESTIVAL OF ANIMATED FILM STUTTGART:国際トリックフィルムフェスティバル(シュトゥットガルト) 1982年に開設して今年で20年目を迎えるアニメーションフィルム・フェスティバル。ドイツでは有数の重要なフェスティバル。 [賞金総額] 65000ユーロ(約650万円) [応募締め切り] 2012年12月1日

アクチュアリティ

[MES] Le Mécanisme Européen de Stabilité (MES) 経済「安定へむけてのヨーロッパ・メカニズム(仮約)」誕生、2012年10月8日にリュクサンブールで開幕レセプションが行われた。世界188カ国が参加する国際通貨基金IMFに並立する形で、ヨーロッパの経済危機を救う新しい戦略機構として成立。資金の再構成と負債の購買を大きな目的とする。約7000億ユーロの資本をキャパシティとしてもつが、うち、1800億ユーロはドイツ、1430億ユーロはフランスが融資する名目となっている。しかし実際にはフランスは負担分のうち160億ユーロの供出しか見込んでおらず、残りはマーケットから貸借する方針だ。
驚きの低エネルギー消費、パッシブハウス

驚きの低エネルギー消費、パッシブハウス

<特集、パッシブハウス> パッシブハウスとは、1平米あたりのエネルギー消費を最低限に抑えるように技術的な工夫を凝らし、外気の寒暖の大きな変化に影響を受けずしたがって実生活の上で冷暖房器具を必要としないように建てられた家屋のことをいう。…

ビデオ・コンクール

第29回カッセル、ドキュメンタリー・フィルム&ビデオ・フェスティバル / KASSELER DOKUMENTARFILM UND VIDEOFEST ドイツ、カッセル市で行われる国際ドキュメンタリー・フィルムおよび実験フィルム・フェスティバル。コンクールは、フェスティバルが設けたカテゴリーに沿うビデアスト、映画関係者、アーティスト、ギャラリー、大学、インスティテューションなど芸術関係者すべてに開かれている。…

アクチュアリティ・経済

1月13日金曜の夜、アメリカのスタンダード&プアーズ社が、フランスの発行体格の格下げに踏み切る - 発行体格付けとは、国債や社債などの債券を発行する発行体(この場合、国)の信用リスクの順位をA、B、Cの記号で表すもので、アメリカのスタンダード&プアーズ社、ムーディーズなどのその方面の専門の会社が国際経済の均衡の中で格付けをおこなっている。フランスはユーロ圏の経済危機のみならず、負債額の増加、国内のインフレが激しく、一ヶ月まえにスタンダード&プアーズ社から格下げの警告を受けていたが、今回、今までの最高レベルAAAからAA+へ、一段階の格下げが宣告され、これまでの危惧が現実となってしまった。経済の先行きが暗いばかりではなく、国民総生産の40%に値する大きな負債をかかえ、これが迅速に解消できない場合には、近い将来もう一段階の格下げの危険性を孕んでいる。 今回の格付け見直しによる格下げは、ヨーロッパ連合のほとんどの国が蒙っており、なかでもイタリアは今までのAからBBBへ二段階の格下げとなり、大きな痛手となるもよう。またその反対に、EUの中でも経済成長の優等生はドイツで、トリプルAを保持し続ける。…

アクチュアリティ

ユーロ圏6カ国が発行体格引き下げの監視下に - 負債が拍車をかける経済危機の真っ只中にいるヨーロッパ連合の、現在発行体格をAAAをつけられているフランス、ドイツ、オランダ、オーストリア、リュクセンブルグ、フィンランドの6カ国が、世界市場における格付けを認証するスタンダード・アンド・プアーズ社の監視下に入った。先にスタンダード・アンド・プアーズ社によって、すでにアメリカの発行体格がAAAからAA+へ引き下げられており、今回スタンダード・アンド・プアーズ社は、これから90日を目処に発行体引き下げを決定するかどうか慎重にヨーロッパの行方を監視していく方針だという。ヨーロッパの経済危機が深刻になるなかで、ドイツとフランスがイニシアチブを採りながらあらゆる方策が練られつづけているが、先の見通しがなかなかつかない市場不安に、発行体格の格引き下げの射程内に入ったことでヨーロッパではさらなる危機感が募っている。特にフランスは、AAAからAAに、つまり二段階の格下げが行われるのではないかと危惧されている。 ベルギー、541日ぶりに首相誕生 - オランダ語圏とフランス語圏の対立で首相が辞任してから無政府状態が続いていたベルギーで、541日目の昨日、ようやく新しい首相が就任して政府の国務再開の見通しがついた。新首相はフランス語圏の社会党で、エリオ・ディ・ルポ(Elio Di Rupo, 60歳)。 もう一つの太陽系で、居住可能な惑星発見 - NASAの発表によると、2009年にNASAが打ち上げた探索機が地球から600光年のところにあるケプラー(Kepler)22-bと名づけられた太陽系で、地球環境に似た惑星を発見したと言う。気温は22度あまり。ガスがあり水があることが判明しているが、地球のように硬い地面があるかどうかはまだわかっていない。 (フランス2TV)

2012年、大統領選挙の大きな焦点

政治の焦点、「原子力発電」- 2012年大統領選挙に向けて、社会党とヨーロップ・エコロジー・レ・ヴェール(EELV)が、野党連合が勝利したときの原子力発電の将来について、現在フランスにある58の原子炉のうち24を廃炉にすることでようやく合意に達した。EELVが原子力発電を完全に廃止する意向を示したのに対し、社会党候補のフランソワ・オーランドが原子力の抑制に明確な態度を示さなかったことで、両党のあいだに大きな溝ができていた。 ル・モンド紙の別冊特集11月号は、福島原発事故を大きな契機として、2012年大統領選挙が原発政策の行方に大きく左右されることになるだろうとして、原子力エネルギーの行方を追っている。 サルコジ大統領はこの11月25日、ドローム県のトリスカスタン原子力発電所で、エネルギー政策について長い演説をした。「蝋燭の時代に誰が戻れますか?発展することに背を向けた国になれますか?・・・われわれの次の世代により近代的な社会を残すのが私の意志です」と、サルコジ大統領は、いまだに「安い原発」、「雇用を生む原発」、「清潔なエネルギー」を盾に、原発推進政策への姿勢を変えるつもりはない。 EELVヨーロップ・エコロジーのセシル・デュフロは、「原発をやめると雇用がなくなるなんていうのは、愚論です。閉鎖される原発周辺の雇用が減るのは当たり前ですが、新しい自然エネルギー開発のために雇用が格段に増加することが予想されており、その数は現在の原発雇用を上回る計算です」、と雇用減少に大反論。「安い原発」については、「核廃棄物処理代、原発管理代、そして何十年も掛かる原発解体作業などの、膨大な費用はまったく計算に入れておられず、原発が安いというのは大嘘です」と理路整然だ。 福島原発事故で原子力発電の世界的な見直しがなされる中、フランスの2012年の大統領選挙は、サルコジ大統領を代表とするUMP与党の親原発派と、原発全面廃止へむけて国政の流れを変えたい野党連合との対決となることは明らかだ。 ドイツ最後の核廃棄物を運ぶ貨物車に押し寄せる核反対派 - ドイツが出した核廃棄物がフランスのラ・アーグ核廃棄物処理場で処理され、そのうち処理できない究極の廃棄物がドイツに返される。ドイツは2022年までに、全ドイツの原子力発電所を廃炉にする。ドイツ「最後」の廃棄物運送列車と名づけられたこの列車は2011年11月18日、ラ・アーグからドイツの核廃棄物貯蔵所のあるゴルレーベンへ向けて出発したが、現在もグリンピースや核反対派のデモに阻まれ、ゴルレーベンにはまだ程遠いドイツ国境あたりの線路で滞留している。 今回列車運送される核廃棄物は、ドイツが1年半の核処理で出したもので、アレバの工場で301本のガラスの円柱筒に詰め込まれ、その量総計14トン。高濃度のきわめて危険な放射物質といわれる。長さ7m直径3mのワゴン数両にふり分けて収納され、核廃棄物を積んだ列車は通常の電車が走るレールを利用してドイツまで行く。現在ドイツ国内をゆっくりゴルレーベンに向かっているが、ゴルレーベンまで一万人以上の核反対派が線路脇で待ち受けているもよう。 My opinion: 廃棄物や危険物は、それを出した国が責任を持たなければならないことになっている。だからドイツが出した核廃棄物は、処理できなければドイツへ戻ることになっている。ドイツの原子力発電の炉数は19基といわれている。19基の原子炉が1年半に出す処理できない核廃棄物が14トンとすれば、単純計算でフランスの58基は43トン、日本の53基は39トンという処理不可能な高レベルの放射性廃棄物を出す計算である。フランスの1年半分の43トン、日本の39トンは、いったいどこへ格納されているのだろうか。ドイツとフランスの共同TVチャンネルであるアルテが、こうした核廃棄物の貯蔵について大きなルポルタージュをしたが、フランスは、広大なシベリアの土地まで持って行き野外に廃棄物のコンテナをむき出しで並べて放置して知らん顔をしているらしい。それでは日本はいったいどこへ貯蔵をしているのだろうか。誰も不思議に思わないとすれば、それこそ、これほど不思議なことはない。福島原発は1968年に基礎を置いた。日本の原発の歴史は長い。廃棄物の量は原発の歴史とその量に比例して多いはずなのだ。(S.H.)

アクチュアリティ、環境…

バクテリアによる経済的被害甚大 - ドイツのハンブルグを中心に広まったバクテリアによる食中毒で死者は25人となった。ヨーロッパ諸国12カ国に広がったばかりではなく、アメリカでもやはりドイツに旅行をした人が一人中毒症状をだしている。バクテリア感染源として濡れ衣を着せられた生野菜、特にキュウリの生産者の被害は甚大で、スペイン、フランスなどでは収穫したキュウリを毎日捨てる作業が行われ、倒産寸前の農家も出始めている。EUは被害を受けている生産者に対し、1億5千万ユーロの援助金捻出を決定したが、実際農家は毎週2億ユーロ相当の損失をだしており、援助は焼け石に水状態だ。一方、バクテリアのほうはいまだに感染源がつかめず、各国の研究所は検査の範囲を広げ原因究明を急いでいる。(フランス2TV、フランスTF1TV、) 旱魃と異常気象 -フランスの特に北部では好天気続きで暑さが夏並み。旱魃により、現在全国62県が節水体制を取っている。一方で先週および今週はじめ、南仏やヴァル・ディゼールで大嵐や大粒の雹が降り農作物に大きな被害を与えた。りんごやナシが全滅の農家も。また先週は、アルプスやピレネー山脈の一部で雪が降り、30cmから50cmの積雪を記録した。300頭の羊が凍え死ぬなどしている。 福島原発事故、マグマ状になった核燃料が流出 - すでに津波の直後に福島第一原子力発電所の一号機から3号機までの炉心3基で、核燃料がメルトダウンしてマグマ状になり、壊れた格納容器から一部外へ出ていた可能性のあることをようやくTEPCOが発表した。原発事故から3ヶ月たっても放射能の流出を止められずにいるTEPCOは、国際原子力機関(International Atomic Energy Agency:IAEA)への正確な報告を迫られ、これまでの不透明で煮え切らない部分を正してようやく内容を明らかにする姿勢を示したことになる。(フランスTF1TV) My opinion: 4月下旬あたり、イギリスのウィリアム王子とケイト・ミドルトンの結婚式直前あたりから、福島原発事故のニュースがほとんど表面から消え、各国際放送のビデオではなくブログなどで言及する程度だったが、再びこの二日ばかり、フランスのTF1が取り上げている。状況が最悪の状況であることがはっきりしたからだろう。核燃料がマグマ状になって壊れた格納容器から外へ出る、という最悪のシナリオは、フランスではすでに3月中旬に原発が爆発した時点で何度もTVで言及していたが、日本側は「建屋の水素爆発のみ」という表現で、核燃料には一切触れていなかった。

アクチュアリティ、バクテリアの謎

ヨーロッパに広まるバクテリアの脅威 - 生野菜が感染源といわれてきた食中毒の原因となるバクテリアの正体がほぼ判明したという。菌は二つの株のハイブリッドで抗生物質が効かず、潜伏期間は10日あまり。感染すると激しい症状を伴う。ドイツのハンブルグから始まり、スエーデン、フランス、イギリスで発病者が出ているが、いずれもドイツへ行った人ばかり。現在発病者はドイツを中心に2000人。ドイツ、ハンブルグで18人の死者。スエーデンで一人死亡となっている。最初はスペイン産のキュウリが感染源といわれていたが、キュウリを食べていない人に多数の発病者が出たため、トマトやサラダ菜などへ波及してフランス、ドイツなどの研究所が検査していた。しかし、感染源は生野菜といわれてきたにもかかわらず、本当に野菜が原因なのかまったく確証が得られておらず、どこで発生したバクテリアのか、またどれだけ波及していくのかなども何もわかってはいない。各国市場では、スペイン産の野菜が嫌がられ、フランスだけで80%の売り上げ減となった。スペイン産の野菜は95%が販売不可能となり、多大な損失を出している。一人の感染者も出していない上に、感染源の濡れ衣を着せられたスペイン政府は、ドイツへ損害賠償を請求。ドイツはこれに対し、「スペイン産の野菜が原因だなどとは言っていない。市場から感染源と思われる野菜を回収するよう指示しただけだ」と答えた。野菜の容疑が晴れてもすでに遅し。フランス国内でも、「スペイン産は絶対買いません」という消費者が激増している。 ロシアは即座にヨーロッパからの野菜の輸入を全面禁止。モスクワの人たちは、「ヨーロッパは自分で作った野菜で自家中毒をしていればいいのよ」となかなか冷たい。EUはロシアに向け、直ちに輸入禁止を解くよう勧告した。 フランス2TVの食品専門家は、「野菜が原因なのだけが判明しているが、よく手を洗って、野菜も皮を剝いたり火を通したものを食べるように。また女性が感染しやすい。3歳以下の子供に肉を食べさせるときはよく火を通して・・・」。 (フランス2TV、昼のニュース、BFMTV) My opinion: TVの食品専門家が、「野菜が原因」と言ったあとで、「肉にはよく火を通して」と言うのが、よく分からない。むかし、牛肉の処理を誤って腸を裂き、腸内のバクテリアが肉に混入して重い感染症を引き起こして問題になったことがあったが、今回のバクテリアは肉から来るものとはまた別物という。そうした説明の口の先から、また野菜と肉をごちゃまぜにするところをみると、原因がまだ不明なだけに、この人自身にも疑いが拭いきれないのだろう。とまれ、こうした放送でヨーロッパがどれだけ混乱しているかがよくわかる。(S.H.)

アクチュアリティ、ポスト・福島、ドイツ原発全面廃止へ

ポスト・福島、ドイツ原発全面廃止へ - ドイツ政府は、2022年をめどに原子力発電の全面廃止を決定、昨夜公表した。現在ドイツは17基の原子炉を保有している。福島第一原子力発電所事故をきっかけに、アンゲラ・メルケル政府は原子力開発への積極政策をいったん保留して国内の原子炉7基の稼動をストップしていたが、「福島の惨事の苦悩をドイツで味わわない」ために全面廃止へ踏み切った。ドイツ政府の決意に対しフランス政府は、「ベルリンの姿勢を尊重する」といいながらも、「フランスも全面廃止へ?」の質問に、フィヨン首相は「フランスの原子力開発はドイツと比べ物にならないほど発展しており、国内には58基の炉心がある。原子力発電への依存も比較にならないほど大きく、ドイツと歩調を合わせることはまったく不可能だ」と回答した。 旱魃のフランス - 4月から雨量が少なかったフランスは全国的に旱魃。水飢饉により今日からフランスの50以上の県が節水体勢にはいった。リモージュ一帯の貯水池の水位が下がりすぎ、原子力発電所の炉心の冷却がままならなくなっている。 バクテリア、コリバシル - 生野菜で食中毒。スペインから輸入されたキュウリについていたらしいバクテリアが原因で、ドイツのハンブルグで300人以上が中毒、うち11人が死亡した。食中毒患者はドイツを中心にデンマーク、スエーデン、オランダなど1200人以上に膨れ上がり、フランスでも3人の中毒者がでてヨーロッパがパニック状態に陥り始めている。一部ではキュウリのみならずトマトやサラダなども疑わしく、検査が進められているが、コリバシルというバクテリアによる中毒症状は抗生物質が効かず、内臓出血や神経系統などを侵され激しい症状を伴って治療が生半ではなく、医療関係者のあいだに緊張が高まっている。高齢者や女性、また子供などが犠牲となりやすい。いきおいあちこちで野菜の買い控え。夏野菜の収穫期のピークに入った農家や関係者が大打撃を受けている。(フランス2TV、TF1TV)

環境

ヨーロッパ、高まる原発反対運動 - 福島原発被災を契機に、ヨーロッパのあちこちで、原子力発電反対運動が展開されている。3月26日、ローマでイタリア政府の原子力発電開発政策に反対する数千人が集会。またドイツでは、原子力発電の全面的な停止を要求して、25万人がデモを繰り広げた。あすの地方選挙でアンゲラ・メルケルが課題としているエネルギー政策が問われることになる。 Earth Hour - アース・アワー。2007年、シドニーから始まったアース・アワーは、今年も世界各国100以上の町で行われて初心貫徹。WWF(World Wide Fund for Nature 世界自然保護基金)のフランス地区代表*のイニシアチブで、フランスのエコロジー大臣**ならびにパリ市副市長が音頭を取り、3月26日土曜日20時半から60分間、パリの夜景を彩るモニュメントのライティングを消灯し、地球の温暖化ストップにむけて人々にエネルギー節約を感化した。消灯したのは、エッフェル塔、バスティーユ・オペラ、ノートルダム寺院、パリ市庁舎など多数の歴史建造物や新建築。「エッフェル塔のライトが消えるだけで、ものすごく意味を感じます」と、イギリスから来た旅行者。ただしエッフェル塔だけは、安全のため消灯は60分ではなく5分だけだったという。 *Présidente de la section française du WWF (World Wildlife Fund ou Fonds mondial pour la nature, NDLR), Isabelle Autissier **Ministre de l’Ecologie, Nathalie Kosciusko-Morizet 夏時間 - 3月27日午前2時、夏時間になるため一時間時計を進めて3時にしなければならない。春と秋に時間を一時間ずらす夏時間冬時間は、もともとエネルギー節約のために設けられた制度なのである。(フランスBFMTV、TF1TV)

Nils Völker

Nils Völker ニルス・フォルカー 1979年、ドイツ、アーレン生まれ。コミニケーション・デザイナー。ベルリン在住。 www.nilsvoelker.com One Hundred and Eight – Interactive installation 2010 インスタレーション: ゴミ袋、ファン、マイクロコントローラー。 Copyright: Nils Völker