[MES]

Le Mécanisme Européen de Stabilité (MES) 経済「安定へむけてのヨーロッパ・メカニズム(仮約)」誕生、2012年10月8日にリュクサンブールで開幕レセプションが行われた。世界188カ国が参加する国際通貨基金IMFに並立する形で、ヨーロッパの経済危機を救う新しい戦略機構として成立。資金の再構成と負債の購買を大きな目的とする。約7000億ユーロの資本をキャパシティとしてもつが、うち、1800億ユーロはドイツ、1430億ユーロはフランスが融資する名目となっている。しかし実際にはフランスは負担分のうち160億ユーロの供出しか見込んでおらず、残りはマーケットから貸借する方針だ。

[ヨーロッパ市場操作へ課税]

EUはきょう、主要11カ国が出席する会議で、ヨーロッパ市場における毎回の操作に、0.01から0.1%の課税を行う方針を明らかにした。欠席国には11カ国の決定を見本としてヨーロッパ憲章を運用してもらう見込み。

[アンゲラ・メルケル独首相、アテネへ]

ドイツのアンゲラ・メルケル首相がギリシャのアテネを訪問し、ヨーロッパ経済の足を引っ張るギリシャへむけて、EUの緊縮経済政策へのさらなる協力を求めた。アテネではメルケル首相の訪問に際して大きな集会が発生し、一部ではドイツのEUにおける「現代版ナチズム」として緊縮経済政策を批判、ドイツ国旗を燃やすなどの激しい行動をするアテネ市民の姿が見られた。「メルケル首相のせいで、ギリシャ国民がどんどん貧乏になっているんだ」とデモの民衆。

[ロンドン市長、フランスの増税を非難]

社会党政権フランソワ・オーランド大統領が、その選挙公約で年収100万ユーロ以上の国民に75%の増税をするとした、その増税策が実行されることになり、増税から逃れるためにフランスの金持ちたちが海外へ流出し始めた。イギリスのデーヴィッド・キャメロン首相が夏前のサミットで、「フランスへ税金を払いたくない方はどうぞイギリスに税金を払いに来てください」と発言したのは周知の事実である。それに加えて今日は、ロンドン市長が、フランスの増税策を糾弾した。「1789年以来の最悪の専制政治ではないですか!」。

(フランス2TV、8日9日の夜のニュースから)

My opinion: 「MES、新しいヨーロッパの経済危機を救う戦略機構」の成立は、7000億ユーロを基金にしているというが、ニュースの言うとおり、数字だけの成立で実質は、資金を供出する国は皆、市場からの「貸借」分を当てにしており、結局、なるべくならマーケットから貸借しなくて済むように各国が運営に努力をしようではないか、という現実には「努力」を命運においた架空の会社ということらしい。フランス2TVのアナウンサーは「楽観主義の機構編成」といって、皮肉った。お金はもう無い。

アテネでは、アンゲラ・メルケル首相への暴力的な反対運動が起きているが、すでに以前述べたように、ギリシャ国内の金持ちや大会社が脱税して大穴を開け、国が見込んだ税金がいつまでも入ってこない状況が、実はギリシャの負債の大本にある。ヨーロッパ経済のたった3%しか占めないギリシャ経済が、EU全体の足を引っ張ることの意味が、まだどこかに隠れているかも。(S.H.)