1月13日金曜の夜、アメリカのスタンダード&プアーズ社が、フランスの発行体格の格下げに踏み切る - 発行体格付けとは、国債や社債などの債券を発行する発行体(この場合、国)の信用リスクの順位をA、B、Cの記号で表すもので、アメリカのスタンダード&プアーズ社、ムーディーズなどのその方面の専門の会社が国際経済の均衡の中で格付けをおこなっている。フランスはユーロ圏の経済危機のみならず、負債額の増加、国内のインフレが激しく、一ヶ月まえにスタンダード&プアーズ社から格下げの警告を受けていたが、今回、今までの最高レベルAAAからAA+へ、一段階の格下げが宣告され、これまでの危惧が現実となってしまった。経済の先行きが暗いばかりではなく、国民総生産の40%に値する大きな負債をかかえ、これが迅速に解消できない場合には、近い将来もう一段階の格下げの危険性を孕んでいる。
今回の格付け見直しによる格下げは、ヨーロッパ連合のほとんどの国が蒙っており、なかでもイタリアは今までのAからBBBへ二段階の格下げとなり、大きな痛手となるもよう。またその反対に、EUの中でも経済成長の優等生はドイツで、トリプルAを保持し続ける。…
下: 発行体格、格付けの塗り替え(2012年1月13日)
各方面のリアクション:
フランスの格付けがAAAという世界で最高の格付けを持つ国の一つとして政府は誇りを持っており、経済危機の深刻化の中でスタンダード&プアーズに警告を受けた時期にサルコジ大統領は、「格下げが現実になったら、私は終わりだ」とまで言っていたが、経済の建て直しが困難なことがあきらかになるにつれて、政府は悲観的な態度をおおきく改め、多少の格下げは大勢に影響なし、という表現をするようになった。格下げの心理的インパクトを最小限にとどめようとするかのように、「20点満点を取っていたのを19点しか取れなかったといって嘆いても仕方がないでしょう。現状に変化はないのですから」とは、今日のバロアン財務大臣。
一方、野党はこぞって、現政府の政策による各方面の退廃を糾弾。社会党のエリザベット・ギグは、「2007年から5年間のサルコジ政策で、失業者は百万人も増加し、国の負債は3倍になり、インフレはひどいし、EUの経済危機を緩和するどころかフランスもいっしょに引っ張られていくだけではないですか」と、サルコジ政治を強く批判。またフロン・ナショナルのマリーヌ・ルペン、立ち上がれ共和国のニコラ・デュポン・エニャンはユーロから脱退して自国の通貨へ戻るよう主張した。実際、失業者の激増で2012年初頭に10%という最高の失業率を見込んでいることや、フランスが国民生産高の40%にもあたる1兆6460億ユーロの負債をかかえており、再三の国際通貨基金の忠告にもかかわらず、負債を減らすことができずにいることなど、政策の迷走が目立ち、社会にはユーロへの危機感とともに閉塞感が充満しつつある。
格下げによる実際の影響:
信用リスクが格下げになった(リスクがあると見做されるようになった)ことで、世界市場におけるフランスの銀行の義務が変化するようである。これに伴って、フランス国内のとくに企業への貸付利率が値上がりする。フランス人の3人に1人が、クレジットの値上げを被る計算となる。また地方公共団体で関連の税金の値上がりが予想される。(BMFTV)