芸術と神経医学、ジグムント・フロイド展
今年創設20周年を迎えたパリのユダヤ芸術歴史博物館で、ジグムント・フロイド展が行われている。社会学から神経医学、そうして精神分析へ。アンドレ・ブルトンやルネ・マグリットなどシュールレアリズムへの強い影響が伝わる。ミケランジェロのモーゼ(石膏のレプリカ)とアメリカ近代絵画を拓いたマーク・ロスコで終わる展覧会のセノグラフィーはフロイドとフロイドの時代を芸術運動を背景に描き出して豊かだ。
極右勢力の進出
【イタリア総選挙にふたたび震撼、極右の進出に染まるヨーロッパ】 一昨年のフランスの大統領選挙で極右候補が決戦に残り、数ヶ月前のオーストリア選挙で三主権府を極右政治家が牛耳ったのを覚えておいでだろうか。この週末のイタリア総選挙でこの国においても強い極右の姿が顕になった。ル・モンドが地図を塗り分け、ヨーロッパにおける極右政治の動向を明らかにした。白から黒へ。色の濃い国は右翼の支持が強い国である。 ハンガリーとスロバキアに支えられて、ヨーロッパで一番極右政党が勢威を振るう国はオーストリアとイタリア(下の地図の黒色で塗られた国)。ドイツにおいても政治勢力として大きくなりつつある。一方、リュクサンブールとアイルランドは極右の動きは全く国政に反映していない。
オーストリア、三主権府を極右が掌握
外交、内務、防衛の三大臣に極右政治家 保守党ÖVPセバスティアン・クルツと極右の自由党FPÖ代表ハインツ=クリスティアン・シュトラーヒェが12月16日(土)、オーストリアの新政府の重要な三主権府を極右政治家が占めると発表した。内務大臣にハーバート・キックル、防衛大臣にマリオ・クナセク、国際法律家のカリン・キネシルは党に属してはいないが極右政党FPÖの支持で外務大臣に就く。
ユダヤ人の持ち主へ絵画の返還
フランス文化省は2013年3月19日、フランスの美術館で保管されていた絵画を持ち主へ返還する式典を催した。絵画の所有者は、第二次世界大戦中、フランスに在住していたユダヤ系オーストリア人。ドイツのナチスやフランス警察の追及を逃れて1939年フランスを脱出する際、持ち出すことができずにフランスにおいていった所蔵品で、アメリカのボストン在住の孫にあたるトーマス・セルドルフ氏が式典のため来仏。報道陣を前にオレリー・フィリペッティ文化大臣がセルドルフ氏に手渡しし、大臣はこれからも積極的に戦時中に不当に収集されたり迷子になった絵画の持ち主を探す研究を進めることを約束した。セルドルフ氏への作品の返還は70年ぶりとなる。 絵画は、17、18世紀のイタリアの画家 (Gaspare Diziani, Sebastiano Ricci…)のもの6点。返還手続きは生易しいものではなく、ボストンから駆けつけた84歳のセルドルフ氏は、繊維産業を営み芸術愛好家であった祖父のリチャード・ナウマン氏の思い出を語りながら感激していた。 リチャード・ナウマン氏は第二次大戦前、200点あまりの作品をコレクションしていたが、祖国オーストリアが1938年にドイツのナチと協定を結んだことでオーストリアから逃亡せざるを得ない状況に陥り、その際にコレクションの一部をオーストリアにも置き去りにしなければならなかった。家族とともに幾ばくかの作品をかかえてパリへやってきたが、1941年、スペインからキューバ、そしてニューヨークへ渡るために絵画を急いで手放したのだという。…