フランスから―環境とアートのブログ

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Posts tagged "フランス"

黒人ジャーナリスト誕生

フランス初の黒人TVジャーナリスト登場は2006年 ここ4、5年のフランスの目だった変化のひとつに、報道関係や管理職、また政治に有色人種が登用され始めたことが挙げられるだろう。 フランス語の外国人という意味の「エトランジェ」ということばには独特の響きがある。どこか一種、放浪者のような身の軽やかさをかかえた人々を思わせるところがあって、美しくさえ思えたのはフランスに来る前のことだった。フランスに来てからは自分がエトランジェと呼ばれる立場になって、意味するところががらりと変化した。旧被植民地国からの移民や経済移民、また亡命などでフランスには大量の外国人がいる。正統なフランス文化を守ろうとするフランス人にとっては外国人とは何なのか。…

アクチュアリティ

数字: フランスは長寿チャンピヨン - フランスには100歳以上のお年寄りが15万人いることが最近の調査で判明した。ヨーロッパ一の長寿国。50年後には20万人を突破するという予想だ。(フランスTV) 笑わないフランス人 - 笑いは健康の元。ようやくフランスにも笑いを勧めるクラブが出現。「笑うと幸福感が増幅して、体の機能も活発化します」と会長。ちなみにフランス人が笑う時間は、一日のうち1分に満たないという。(TF1 TV)
人間の虹

人間の虹

Human Rainbow/ Arc-en-ciel de l’humanité/ 人間の虹、アントニー市メゾン・デ・ザール・アート・センター 高さ12m、直径2.7m、特殊繊維200平米。Video copyright: S.H. 虹はひとつの気象現象で、空気中に水が浮遊し太陽光線がいい角度にかかったときに出現して目に見える。この現象は、その大きさと美しさ、また不思議さのために、太古の昔から民族によって、また見る人によって、実にさまざまな解釈がなされてきた。アントニー市の虹は、したがって私固有の「解釈」をかたちにしたものなのである。 バイブルの黎明期の虹は、「神が人間に対して契約を行った徴」に出現したものだといわれている。神のいう契約には、地球のあらゆる生物の命を自由にする権利も人間に譲りわたすという意味があるという。自由を与えらたこのとき以来、人間は地上のものを濫用し、多くのものを絶滅に追い込んだ。危機に瀕する地球のために、バイブルの黎明期の文章をそのまま利用し、こんどは「人間が地球に対して新たな契約を結ぶ徴」として虹を出現させようという提案をアントニー市に提出した。今まで濫用してきた自由を返上し、地球を主体に考え直しましょう、というわけだ。 私の解釈によるアントニーの虹は、水の中から立ち上がり、一番下の緑色は地球の緑を象徴。一番上の青は空の色を象徴して、地球から空に向けてプリズムの色を変化させていく、地上と天を結ぶ虹となっている。(S.H.) もう一つの解釈: インスタレーションの作業を手伝った企業の黒人の一人が、あらゆる色(人種の・・・)を一つに統一する虹をみて、「これは私たちの虹」と発言。 アントニーに住む老婦人は、「そうよ!神様が自分の過ちを認めなきゃいけないわよね、自分が間違ってたって・・・」。 平川滋子個展、2010年12月15日まで。 Maison des Arts d’Antony Parc Bourdeau 20, rue Velpeau 92160 Antony FRANCE Information: +33(0)1 40 96 31 50 Web site of the City

アクチュアリティ

同時テロ、「赤レベル」警戒続く - アメリカのトラベル・ガヴァメントやイギリスがヨーロッパ大陸を旅行をするアメリカ人、イギリス人にテロ警戒を呼びかけている。アルカイダ、イスラム系マグレブの同時テロ攻撃の危険が先月から続いており、ことにフランスおよび、ドイツ当局が警戒を強めている。フランスは旅行者の多いパリのエッフェル塔、メトロ、ドイツはベルリン中央駅が標的とされているもよう。政府関係公舎は更なる厳重警戒。

アクチュアリティ

年金制度変更に反対する全国デモとストライキ - フランスの赤字解消策のひとつとして今まで60歳が年金獲得開始年齢であったのを62歳に繰り上げるという政府の年金制度見直し法案に反対するデモが、9月23日、全国レベルで行われた。組合や協会、野党政治家など、老若男女が活発に意思表明して参加。全国各地でおおよそ三百万人が結集した。 「55歳で年金をもらえるという契約をして今まで仕事をしているのに、いまさら62歳にするというのは政府の契約違反だ」と、16才から仕事を始めて40年間、年金を払う労働者の声(62歳まで年金を払うと、47年間年金を納入することになる)。 「今、ストップしておかないと、これから先ずるずると年金獲得年齢が繰り上げになる可能性がある。年をとってからびっくりさせられるのは嫌だ」とデモでスクラムを組んで練り歩く大学生集団。 「いま必死に年金の権利獲得のために仕事をしていますが、計算では67歳まで働かされることになり、はたして67で今のようなフットワークで仕事をできるかどうかほんとうに不安です」とは、出産やその他で、仕事をしていても正規の計算には加算されない時期が多かった60代初頭の女性の発言。 野党社会党書記長のマルチーヌ・オーブリィは、「50歳代後半からの失業者数は60%を超えているから、62歳や67歳に年齢を繰り上げても、政府の赤字対策にはまったくならない。役に立たない改悪は即座に白紙に戻すべき」。「社会党が政権を握った暁には、年金獲得年齢60歳を必ず復活させる」と社会党元大統領候補、セゴレーヌ・ロワイヤル。 9月23日は、フランス国鉄SNCFやメトロ、郊外線などがデモに呼応してストライキを行った。 「私はいいときに退職したから年金制度改悪には引っかかってませんが、ストライキ、支援します」と、SNCFの利用客の声。 一方政府はこの日、デモ動員数を百万人以下(デモ側の発表は3百万人)と発表。「少しずつ国民が年金制度改正を理解し始めて、デモも小規模になってきている」として、全国の反対デモ参加者の声とはまったく正反対の見方を貫き通している。(S.H.)

アクチュアリティ、国外追放

ロム(ロマ)国外追放と人権侵害 - きょうのTVニュース。この夏8月5日付でフランス内務省が、全国の警察署長宛、違法野営者たちの処置にかんする通達を発行していたことがわかった。通達は一週間に一度、違法野営を強制撤去し追放することとし、「特にロムを」という但し書きで締めくくられている。この通達は、ロムという一つの民族を集中的に差別しており、フランス憲法ならびに人権憲章に謳われる人間の平等に抵触するものとして、早速問題視されている。 移民大臣エリック・ベソンは、「通達はまったく知らなかった。内務省がだした通達は内務省の問題だ」と発言。人権同盟の代表者は、「欧州議会が先週指摘したように、明らかに人種差別をかかげる政府通達です。この通達にしたがってロムを強制追放した地方警察は、人権侵害をしたことになります。国務院にかけて通達は無効にしなくてはなりません」。 エリック・ベソンの言を受けて、社会党議員は、「移民大臣がこの通達を知らないわけはない。政府の人種差別は言語道断」。 サルコジ政府の外国人嫌いと外国人政策への国民の批判はまだまだ続きそうだ。 無国境教育協会サイトに載せられた8月5日付の内務省通達: http://www.educationsansfrontieres.org/article31525.html

アクチュアリティ、ロム

ストラスブール - 欧州議会が、フランス政府のロム(日本語ではロマと訳されている)の強制追放に反対する議員投票を行った。大多数のヨーロッパ議員がフランスの人種差別による強硬手段に怒りを表明。強制追放の即刻中止をフランスに要求して、満場の議員から大拍手が巻き起こった。しかしこれに対し、ルーマニアを訪問中のフランスの移民大臣、エリック・ベソンは「欧州議会のおしつけがましい決断には従わない。追放は続行する」と発言。 議員投票の重大性を認識する欧州議会記者は、「無謀な強制追放の敢行で、欧州のなかのフランスの信頼が大きく揺らいでいる。フランスは欧州議会の意向を尊重すべき」、と述べている。 医療費 - 医療費の払い戻しが目減りし、フランス人の16.5%が歯科や長期の医療など、高価な治療費が必要な病気治療を先送りにしているという事実が判明した。この数字は30年前の4倍にのぼるという。 UMP党会議室捜索 - ロレアルの後継者で億万長者のリリアンヌ・ベタンクールに、レジオン・ドヌール勲章を贈るよう裏工作をした疑いで、UMP党会議室が当局の捜索を受けた。UMP(現在の与党)は、リリアンヌ・ベタンクールから2007年、サルコジの大統領選挙の政治献金を受けたり、ベタンクールの数億に上る脱税に関与したりスイス銀行の預金を見逃したり、この春以来、億万長者と政府のあきれた関係が次々と暴露され疑惑が拡大し続けている。なかでも現労働大臣エリック・ヴァートとその妻が、闇の金銭関係に大きく関与している疑いがもたれている。 ベルサイユ宮殿で村上隆展 -2010年9月14日から、ベルサイユ宮殿で村上隆展が開催される。漫画を主題にキッチュな立体や絵画やビデオなど、作品22点が荘厳なベルサイユ宮殿に展示されるが、この展覧会に際し、フランスでは、インターネットで反対署名運動が展開した。反対署名者の数はなんと10万人にのぼったという。 「クラシック音楽の中でロックを聴いて何が面白いか、ってことですよね。展覧会はナンセンスです」という批評家の意見。元文化大臣のジャン=ジャック・アヤゴンは、「マリー・アントワネットの当時も、新しいものを追い求め続けていたんです。そうした空間に、いまの時代の新しいものを持って来てもまったくおかしくはない」。当の村上隆は、「漫画は現代の風潮です。セザンヌがサント・ヴィクトワール山を描いたように、私も現代を描いています。・・・。今までベルサイユで行われたジェフ・クーンズなどの作品からイメージを得て、作品を展示しました」。フランス人が「カルチャー・ショック」と形容するベルサイユ宮殿を現場にした村上隆の展覧会は、開催前からすでに大きな論争を呼んでいる。

ビデオ・コンクール

PRIX DE LA CREATION VIDEO 2011、 VIDEOFORMES、 CLERMONT-FERRAND / ビデオ・コンクール、ビデオ・クリエーション・プライズ 2011、フランス、クレルモン・フェラン市、ビデオフォルム主催。 外国、国内のビデオアーティストに広く公募。 予選はDVD(Ficher Quicktime, AVI, DV 720×576, HD 1980×1080)で、タイトル、制作者の名前、長さの順に明記して登録する。画素を落としたコピーやその他のフォーマットは受け付けない。インターネットのサービス経由でも送付可能。予選の結果はメールで通知される。 予選を通過したビデオは、ビデオフォルム2011のビデオ・クリエーション・プライズのカテゴリーに入る。 フランス語のビデオは英語のテロップ、英語のビデオはフランス語のテロップ、また他の言語が使われているビデオは、フランス語か英語のテロップをつけること。 入選ビデオ上映は2011年3月。賞は、ピュイ・ド・ドーム県賞、クレルモン・フェラン市賞、ジュヌ・スペクタター賞。2011年3月9日に授賞式予定。 応募締め切り: 2010年10月3日。 ビデオフォルム: 応募ページ VIDEOFORMES B.P. 80411 63011 Clermont-Ferrand Cedex 1 FRANCE Tel : +33(0) 04 73 17 02 17 – Fax : +33(0) 04 73 93 05 45 E-mail : ecm@videoformes.com www.videoformes.com — Tous les...

アクチュアリティ、環境異変と被害

フランスのニュースに、ここ数日毎日取り上げられている話題: ロシア - 130年ぶりという毎日40度を越す酷暑が一ヶ月続き、あちこちで火災発生。消し止めてはまた発火を繰り返し現在国中で300箇所が燃え続けている。今までに焼失した森林や村など、合わせて50万ヘクタール以上。国レベルの緊急事態と化した。モスクワは数日前から近隣の火災で煙が充満し、燃焼物の臭気が町中に漂っている。 パキスタン - モンスーンが原因の洪水で1500人以上が死亡、300万人が家を失う大被害が出ている。コレラなど伝染病が発生し、国家的緊急事態に外国からの援助がはじまった。アジアの洪水はそのほかインド、中国などで大きな被害を出している。 アメリカ - 原油流出事故で汚染が進んでいたメキシコ湾の海底油田の壊れた給油パイプをセメントで埋めるトップ・キル作戦が再びBPによって開始され、良好な見通しに、オバマ大統領は流出終了の演説を行った。BPがトップ・キルのためセメント流入を続け、最後の最後まで徹底的に油田を壊滅させるボトム・キルが終了するまで、10日かかるという。事故発生から今日まで流出した原油の量、80万トン。大量の原油が海中のみならず地面に吸い取られ、汚染の状況把握はこれから。また海面の原油分解薬など大量の薬品が同時に海に撒かれていることから来る今後のエコシステムへの影響なども調査が始まるもよう。 フランス - きのうから全国46県(フランスの県は96県、したがって約半分)に干ばつ警報が発せられ、あらゆる地区で使用水量制限が進められている。あちこちで川が干上がり、すでにとうもろこしや麦などにおおきな被害が出ているほか、放牧中の乳牛の食用草まで日照りで枯れて激減している。

二つの射殺事件(3)、サルコジ大統領暴走

8月2日、サルコジ大統領と右派政府の、国家の安全の名の下にエスカレートした犯罪にたいする刑罰の「提案」内容について、早速、憲法をつかさどる国務院や憲法学者から「違憲」の声が上がった。 1. フランス国籍を有している外国人が犯罪を犯した場合、犯罪者のフランス国籍を剥奪するという刑罰は、「フランス憲法は、フランス国籍を有するものはその出自や宗教を問わず、法の名に置いて平等に処せられる」という基本法を無視するするものとして、違憲である。出自が外国人だということでフランス国籍を剥奪することは、フランス市民を二つのカテゴリーに分類してしまうことになる。(差別の元となる。) - 平等である法の前では、フランス人が同じ犯罪を犯した場合、フランス人の国籍も剥奪する(無国籍にする?)ことになるのか。あるいはサルコジ大統領は、憲法改正を要求することになるのか。 2. 未成年が犯罪を犯した場合、その両親が禁固刑の実刑を受けるというサルコジ派の提案に対し、「フランス憲法は罪を犯した当事者のみがその罪の償いをする」ことを明記しているので、これも「違憲」。 - それでは、やはりサルコジ大統領は憲法改正を要求することになるのか。 我田引水的に刑罰を国籍剥奪や移民問題に結びつけ、憲法を飛び越えて法案化へ先走るサルコジ大統領と右派政府には、野党を含めあちこちから「吐き気がする」、「嫌悪すべき大統領演説」といった意見が投げかけられている。 My opinion: すでにほかで、2007年サルコジ大統領は就任早々ナショナル・アイデンティティーを問題に取り上げ、フランス人であることを改めて証明しない限りは、パスポートや身分証明書の更新(双方とも10年ごとに更新をするのが決まり)をしないという通達を出し、このために多くのフランス人が迷惑をこうむっていることを述べた。 両親も祖父母もフランス人で家族もみなフランス人なのに、ただイギリスで生まれたという事実だけでパスポートの更新ができない、という人のブログがあった。母親が妊娠しているときにイギリスにいて、現地で出産したというだけのことらしい。フランスからのパスポートが出ないので困窮したその人は、一度も住んだことがなくまた税金も払ったことのないイギリスへ思い立ってパスポート申請をしたところ、すぐに郵便で送られてきたという。ヨーロッパでは生まれた土地の権利が発生する。その権利に訴えたというわけだが、フランスで税金を支払っていても、生まれた土地ほどの権利の補償にならない、ということを証明するような話しだ。この事例は一つの事例に過ぎないが、サルコジのナショナル・アイデンティティー条例のせいで、更新がややこしくなり、必要書類の捏造が増えたというもっぱらのうわさだ。 フランスは植民地などの歴史的な因果関係で多くの外国人がフランス国籍を有する。また国籍取得権利と国の独立がかみ合わず、フランスで働いて納税していながら、滞在許可証さえ発行されず、国外にも身分証明がないので出られないという人々もいる。人間の不平等を抱えたまま、それを解消するどころかますます激化するサルコジ政権である。(S.H.)

二つの射殺事件(2)

7月30日金曜、ニコラ・サルコジ大統領がグルノーブルに出向して、国家の安全の名の下に、「フランス国籍を持つ外国人が国を守る警察や機動隊、軍隊などに命にかかわる危害を加えた場合、犯罪者のフランス国籍を剥奪する」という演説をし、即日大きな波紋を及ぼしたことを昨日のアクチュアリティで述べた。大統領演説に応えて、8月1日の今日、オルトフー内務大臣は、フランス国籍剥奪が適応される場合を広げるむね提案をした。内務大臣の提案によれば、現行法に加えて、アフリカに多い女性の割礼や人身売買、重大な非行や犯罪を犯した場合も、フランス国籍剥奪の対象とするという。これをさらにUMPの国会議員が敷衍し、「外国人の未成年が重大な罪を犯した場合、その両親を禁固刑処分にする」法案を提出することを決めた。子供の犯罪による両親の拘置は2年未満という。これらの法案は9月早々に国民議会にかけられるもようだ。未成年の非行が学校で問題化した場合も、この法案が適用され、国籍剥奪の対象となるという。 このニュースをきょうのフランス2のTVアナウンサーは、「突発的な災厄がまた一回り大きくなった」と形容した。国務院が管理する現行法が大統領の意思にそぐわないならば法律を変えてしまおうという現政府の強行な態度のみならず、未成年の犯罪責任を両親にとらせ、犯罪を犯してはいない人間を禁固刑にするなどという法案を発表したからだ。野党社会党書記長のマルチーヌ・オーブリィは、「右派政府、狂気の沙汰!フランスを破滅に追い込むことになる」と糾弾。グランド・バカンスがこの論議で一気に熱湯のように沸騰し始めた。(S.H.)

アクチュアリティ

グランド・バカンス - 7月最後の週末は、大勢のフランス人が夏季休暇の大移動をするため、一年のうちもっとも交通機関が混雑する。一年に一ヶ月間の有給休暇制(義務制度)が発足してから今日まで、恒例となった夏季休暇の大移動がもたらす混雑は、きょう30日金曜の夜からはじまり、ちなみに、首都圏近辺は300kmの渋滞。車で出かける人は5百万人、飛行機は90万人、列車は160万人という数字が出ている。夏季休暇中のとくに8月は、大企業を除いて全国であちこちかなりの業務が停滞する。夏季休業をしない企業は、6月末から9月にかけて交代制で社員に休みを取らせ、常時業務を遂行するよう配慮している。一時期、休みを取る人間の交代制が進んで、一ヶ月まるまる休まず小刻みに休んで仕事をするという人が増え、8月中の支障を避ける向きがあり、これで比較的ほかの国と足並みをあわせられるようになったかと思いきや、最近は、「仕事の相手が休暇中なので、8月は仕事にならないからうちも休む」というところが増えはじめ、昔に戻る気配だ。多くの中小企業は、きょうから8月30日まで丸一ヶ月の休業となる。今週末は、7月すでにバカンスに出て帰ってくる人とこれからバカンスに出る人とで、道路は上り下りともにそうとうの渋滞が予想され、朝10時から夕方3時のあいだの車の走行を回避するよう呼びかけている。ちなみにグランド・バカンスのあいだ旅行に出るフランス人は、2人に1人という割合。

アーティストインレジデンス公募

artist in residence – アーティスト・イン・レジデンス公募。外からのアーティスト歓迎と謳っているが、内容的にフランス語は必須。 オーベルニュ地域議会、オーベルニュ地域現代文化振興局、ティエ市クリュ・ド・ランフェール現代アートセンター、ジャン・ゼイ高校支援。 ジャン・ゼイ Jean Zay 高校でのアーティスト・イン・レジデンス。高校生と一緒にプロジェクトを構築する。テクニックやコンセプトのたて方を一緒に考え、高校生と交流を中心に作品を作ることがレジデンシーで要求される。 条件: 2011年1月から5月の間の8週間。グラント5000ユーロ。クリュ・ド・ランフェール現代アートセンターの協力による宿泊設備あり。 日程: 2010年9月1日応募締め切り、10月選考・面接。12月決定。 書類送付先: La résidence “Faire rentrer la lumière dans les têtes” le Creux de l’enfer – Centre d’art contemporain 85, avenue Joseph Claussat 63300 Thiers France http://www.creuxdelenfer.net/Residence-d-artiste-au-Lycee-Jean — Résidence d’artiste au Lycée Jean Zay de Thiers les partenaires : le Lycée Jean Zay de...

フランスの小都市からロンドンへ職探し

6月8日付けのTF1テレビニュース、報道タイトル - 「ロンドンは若い失業者のエルドラド?」 欧州連合から援助を受けている協会の助けで、フランスの地方の移民が集中する町で失業している若者たちをロンドンへ送るというプランが実行され始めた。移民の若者がフランスで職を得るチャンスは少ない。こうした若者に未来を提供しようと、協会が3ヶ月の英語教室を開いて特訓し、また同じ町からアメリカへ行って自分の道を切り拓き、博士課程を取ってワシントン大学で仕事をしている黒人講師を招聘して質疑応答をするという機会を作り始めた。 「ほかの国なら希望がある?」「チャンスが多い?」こうして短期間の特訓を終えた20人の若者たちは、ロンドンへ移動し、早速職探し。ロンドンではCVを持ち歩く必要もないし、職をオファーしているところへ行って話し合い、一日で雇用されるものも出てきた。「フランスのように週35時間労働の基準など無く、ロンドンでは40時間以上働くけどちゃんと時間に見合った給金がもらえる」とニコニコ顔だ。 My opinion: フランスとイギリスの雇用の仕方の違いは大きく、むかしからよく比較されてきた。特に外国人移民の雇用については、このルポルタージュが示すように近年頻繁に問題として取り上げられながら、フランスの雇用段階で起きる差別は根強い。履歴書に書かれた名前がフランス系ではないというだけで、雇用対象からはずされることが頻繁に起きる。そのため、国が、名前を隠して履歴内容だけで審査するよう指示をするなどの法案をだしたほどで、フランス国籍を持っているものですら移民にとってはまだまだ社会の壁は厚い。このルポルタージュに出てくる若者にとって、仕事を見つける際にCVや名前の出自などは不必要、たった一回の面接で雇用が決まる、などということはほんとうに正真正銘の夢だったにちがいない。「ロンドンはエルドラド(黄金郷)?」それでは、「フランスはいったい何?」。 欧州連合で国境が取り去られて、移民もほかの国へ移動がしやすくなった。国は、移民対策に汲々としまたフランスの悪習慣修正に四苦八苦しなくても、本人たちの意思でまた満足のいく形で移民に国外へ出ていってもらうことができるようになったわけだ。こうした外国への職探しなどというお助けシステムができたおかげで、かえって差別問題の解消へ向かってこの国がしてきた努力にブレーキがかかってしまうのではないかと懸念するのは私だけだろうか。 ロンドンで就職口が簡単に見つかって笑顔を見せるその影にかくれた大きなフランスの差別問題。この20人の中に一人でもフランス系のフランス人が混じっていれば、私も「失業対策」として聞き流したかもしれないが、20人ともトゥルコワン市の公団住宅に住む北アフリカからの移民の若者たちで、彼らの中にフランス社会に対する大きな障壁や引け目があるのをインタビューからも感じとれたことで、「フランスはいったい何か?」という話になった。「ロンドンは若い失業者のエルドラド?」。はたして、フランスが「エルドラド」になる日は来るのだろうか。(S.H.)