年金制度変更に反対する全国デモとストライキ - フランスの赤字解消策のひとつとして今まで60歳が年金獲得開始年齢であったのを62歳に繰り上げるという政府の年金制度見直し法案に反対するデモが、9月23日、全国レベルで行われた。組合や協会、野党政治家など、老若男女が活発に意思表明して参加。全国各地でおおよそ三百万人が結集した。
「55歳で年金をもらえるという契約をして今まで仕事をしているのに、いまさら62歳にするというのは政府の契約違反だ」と、16才から仕事を始めて40年間、年金を払う労働者の声(62歳まで年金を払うと、47年間年金を納入することになる)。
「今、ストップしておかないと、これから先ずるずると年金獲得年齢が繰り上げになる可能性がある。年をとってからびっくりさせられるのは嫌だ」とデモでスクラムを組んで練り歩く大学生集団。
「いま必死に年金の権利獲得のために仕事をしていますが、計算では67歳まで働かされることになり、はたして67で今のようなフットワークで仕事をできるかどうかほんとうに不安です」とは、出産やその他で、仕事をしていても正規の計算には加算されない時期が多かった60代初頭の女性の発言。
野党社会党書記長のマルチーヌ・オーブリィは、「50歳代後半からの失業者数は60%を超えているから、62歳や67歳に年齢を繰り上げても、政府の赤字対策にはまったくならない。役に立たない改悪は即座に白紙に戻すべき」。「社会党が政権を握った暁には、年金獲得年齢60歳を必ず復活させる」と社会党元大統領候補、セゴレーヌ・ロワイヤル。
9月23日は、フランス国鉄SNCFやメトロ、郊外線などがデモに呼応してストライキを行った。 「私はいいときに退職したから年金制度改悪には引っかかってませんが、ストライキ、支援します」と、SNCFの利用客の声。
一方政府はこの日、デモ動員数を百万人以下(デモ側の発表は3百万人)と発表。「少しずつ国民が年金制度改正を理解し始めて、デモも小規模になってきている」として、全国の反対デモ参加者の声とはまったく正反対の見方を貫き通している。(S.H.)