更新:2013年8月11日:
〈クラクフ歴史博物館、常設展、等身大で見るナチス占領の時代〉
クラクフの博物館で始まった私を含む二人展を契機に、7月下旬に一週間クラクフに滞在した。ウィークエンドはクラクフの旧市街などを散策し、新しくできたという現代美術館へ足を運んだが、思いもかけず現代美術館の隣の歴史博物館でナチス占領下のクラクフの大資料展を見ることができた。
クラクフ現代美術館へ行く道の途中に、ユダヤ人旧市街がある。ユダヤ旧市街としてクラクフの地図に囲いがしてあるのは、これも大きな意味があるのに違いないが、現在はほかの町並みと大きな変化はもなく、跡地の中心と思しき地域にクラクフ技術大学が建設されていた。
ドイツ、ナチスの突然のポーランド侵略から、この町でいったい何が起きたのか。展覧会は『クラクフ、占領下1939-1945』と題され、当時の資料を中心に時代を再現しようとしたもので、展示されている写真も等身大ばかり。ナチスの制服が、本当に「髑髏」をあしらっていたとは、驚くべき侵略の姿がわれわれの前に露にされている。コンクリートでできた壁は炸裂した大砲の弾のあとが生々しく再現され、8ミリ映写機が街角でナチスが連行するユダヤ人の姿を映し出すのをトラムの車窓から垣間見るという設定など、時空を超えてこの蹂躙の時代の日常を体感するように構成されている。
この現代アート美術館の在るLipowa通りには、Oskar Schindler’s Factoryという工場があり、生き残りの証言フィルムを上映。工場にかくまわれ命を救われたユダヤ人は数千人いたという。
歴史博物館の展示は盛況で、切符売り場では並び、大人は19スロテス、約5ユーロ弱。
Museum Historiczne Miasta Krakowa
ul.Lipowa 4, 30-702 Krakow
www.mhk.pl
http://www.mhk.pl/exhibitions/krakow-under-nazi-occupation-1939-1945