<二日後の26日(きょう)国会での内務大臣の発言を後半に追加。>
・「みんなに結婚の自由を」法案反対、数十万人がパリ集会:
2013年3月24日、日曜日。「みんなに結婚の自由を」と題する同性婚を認めるトビラ法(トビラ法務大臣の名から)が、上院の審議にかけられるのを前に、反対派が大々的なデモを行い、ラ・デファンスからパリ凱旋門に通じる大通りであるグランド・アルメを埋め尽くした。警察の発表では30万から40万人が集合したと見られる。
子供は普通のパパとママに育てられるのが一番、といったプラカードや人工授精反対など、同性婚が認められると同時に問題化する子供の養子問題や試験管ベビーの濫用など、現在の家庭の形態が崩れていくことに対する反発を表明し、子供連れの家庭やカトリックの関係者、また政治家はUMPのフランソワ・コペ、元首相のジャン=ピエール・ラファラン、また極右のフロン・ナショナル党のマリーヌ・ルペンなど、右派政党の代表が参加する大規模な集会となった。
デモは次第にグランド・アルメ通りから膨らんではみ出し、通行止めになっていた凱旋門へ。警察のバリケードを押し倒してデモ隊が入る許可がなされていないシャンゼリゼ通りへとはみ出す勢いとなり、防護服にヘルメットの憲兵隊は最前線のデモ隊に大量の催涙ガスを振りかけ、こぜりあい、殴り合いとなった。…
このこぜりあいで98人が捕まり、うち一人が裁判所への出頭を言い渡された。不幸にもこの催涙ガスを浴びたキリスト教民主党の創始者、クリスチーヌ・ブタン(元住宅大臣)が失神して道路で転倒。「私は69歳ですが、この歳になってまさか、壊し屋か何かに催涙ガスを放出するようにガスを振りかけられるなんて思いもしませんでした」と嘆息、「平和的なデモなわけですから、憲兵隊が催涙ガスのような暴力を行使するなんて許せません。内務大臣の指揮責任は重大です」と内務大臣の辞職を要求。一方、マニュエル・ヴァルス内務大臣は、「家族連れの平和的なデモだということは重々承知です。通行止めで不許可の地区へ無理やり押し入ってきた人がいたのを食い止めなければならなかった」。夕方18時ごろから、デモは解散した。
http://www.lemonde.fr/mariage-pour-tous/
市民デモと憲兵隊との衝突の様子(ビデオリンク):
http://www.leparisien.fr/societe/en-direct-manif-pour-tous-le-peripherique-ouest-deja-bloque-24-03-2013-2666329.php
・3月26日、国会で内務大臣答弁:
子供連れの家族などが大勢混じった、通称「ゲイの結婚」法案への市民の反対デモに、憲兵隊が催涙ガスを行使してデモの一部の人たちに軽症を負わせた事件で26日、マニュエル・ヴァルス内務大臣が国会で、UMP議員の質問に対して次のように答えた。
「シャンゼりゼ通りをデモに使わないことはパリ市の法律で決まっており、それを知っているデモの一部の極右団体が、わざとバリケードを乗り越えてシャンゼリゼ通りに入り込んで憲兵隊を挑発したために、やむなく憲兵隊は催涙ガスの行使に及んだ。つまり、極右団体による計画的な挑発が原因だった。その点で憲兵隊はよく職務を遂行したといわなければならない。また子供や妊娠した女性に向かって催涙ガスを放出したといううわさが飛んでいるが、そうした事実はいっさいない」。
またトビラ法務大臣は、「皆さんの反対意見はちゃんと認識しました」と反対派の要求に留意を向ける姿勢も示した。(Le Parisien、ビデオ)
・イギリスの移民政策一転、受け入れ厳しく
イギリスのデーヴィッド・キャメロン首相は25日月曜日、移民に関する社会保障を見直す意向を発表した。イギリスはこれまで、アジア、アフリカの移民を受け入れインド人以上にポーランド人が多い国の首都はコスモポリタンとして世界でも有数だったが、キャメロン首相は改めてこういった国の移民状況へ釘を刺した。「社会保障は国のためのもの(イギリス人のためのもの)である」と言い、国が適用する外国人移民への社会保障の規則を厳しくする方針を決めた。公団住宅の申請や失業手当の申請については、移民はイギリス入国を認められてから2年たたないと資格を得られないことにするという。イギリスは昨年、受け入れ移民の数を25万人から16万人へ減少させており、今年もさらに1万人減らす意向で、ヨーロッパで通行が自由になって流入するハンガリー人やブルガリア人へも歯止めをかけたい意向らしい。
(フランス2TV、TF1TV、 20 MINUTES、Le Parisien)
My opinion:経済が恐慌状態に陥ったり、政治家の人気が落ちると、いろいろなものが「内向」し勢い右傾化するようだ。イギリスのキャメロン首相の人気も下落しているそうで、コスモポリタンを返上して人気回復か、というフランスの見方もある。