Melle CM 2011

Melle DM 2011

Ve BIENNALE INTERNATIONALE D’ART CONTEMPORAIN DE MELLE, FRANCE

 

特集「第5回メル国際現代アート・ビエンナーレ」(1

Habiter la Terre : du battement de coeur à l’emportement du monde
2011625日から918日まで。
フランス、ポワトゥー・シャラント地域メル市。テーマ:「地球に住む、心臓の鼓動から世界の逆上まで」

Information:
http://www.biennale-melle.fr

展覧会紹介特集記事の第一回目は、メル国際現代アート・ビエンナーレ。2003年からフランス、ポワトゥー・シャラント地方のメル市で始まったビエンナーレで、2007年辺りから国際的なアーティスト(ジョゼッペ・ぺノーネ、アンディ・ゴールズワースィなど)を招待して全国的に知られるようになった。地球と人間のかかわりをテーマに行われているビエンナーレは、今年のテーマを「地球に住む」とし、30人近いアーティストを招待して市街地を中心に作品の展示が繰り広げられている。

[第5回メル国際現代アート・ビエンナーレ、展覧会紹介文(訳)]
他者へと意識を向けたときに表れる問題、周囲とのよりよい生き方、自然との関係、環境への賭けとエコロジーの必要性・・・。
2011年のビエンナーレは、特に移民や基本的権利、多文化の問題を通して、世界の関係、歴史、われわれの時代の現実を編み続けているアーティストで構成されている。メルでは作品を通して、アーティストたちが、危機に瀕し、資源の枯渇と、ポール・ヴィリリオのいう「絶滅的な事故の悲惨」に近いこのひとつの惑星から出現する根本的かつ実存的なテーマをかたちにする。世界が動いているから今主要な問題である地球レベルの連帯や公平な友愛へと、引導していくアーティストたちである。

2007年のイギリスのNGOの報告書によれば、「2050年までに環境の変化による10億人の民族大移動があると予想され、64500万人が大プロジェクトのために移動させられ、25000万人が地球温暖化による温度の変化や洪水で移動し、5000万人が民族大移動で起きる闘争で住んでいるところを離れなければらならくなる」という。「地球は丸い。皆のものだ。したがってどんなに視点が異なろうと、皆が自分の家にいるようなものだ」とは、哲学者イマニュエル・カントが3世紀前に(自著『永遠平和のために』で)「普遍的な歓待(注:平等への権利のひとつ)」を打ち立てた。今日、われわれはどうだろう? 「地球はわれわれには小さすぎる。われわれの科学が物質もまた多様な生物体系においてもすっかり地球の資源という資源をを使い果たした」とヴィリリオは言う。定着とは、「現代の定住の概念は、ケイタイやコンピュータなどのおかげで、どこにいても自分の家にいるように振舞えることで、ノマード(放浪者)とは、どこにいても放逐者として扱われ、どこにも自分の棲家が無いことを言う」。

展覧会に展示されている作品は、心臓の鼓動から世界の逆上まで、公平、力、自由という観点で、地球上に共通に存在するものの条件を強く問いただすことになるだろう。
展覧会
[Habiter la Terre]は、24人のフランス、および国際アーティストが、前回のビエンナーレのように、市の歴史建造物や中心街、また庭園やその他の現場を利用して、作品を展開してみせることになる。(文: ドミニク・トゥルコ、要訳S.H.

[参加アーティスト]

Christian Boltanski, Céline Boyer, Gilles Clément, Pascal Colrat, Thierry Fontaine, Ha Cha Youn, Mona Hatoum, Shigeko Hirakawa, Gary Hill, Jason Karaïndros, Kôichi Kurita, Sébastien Laval, Claude Lévêque, Cristina Lucas, AdrianPaci, Mathieu Pernot, Dominique Robin, Massinissa Selmani, Chiharu Shiota, Kristina Solomoukha, Max Streicher, Barthélémy Toguo, Paul Virilio, Fang Wen. Ainsi que la chorégraphe Claire Servant et l’écrivain François Bon.

<Paul Virilio ポール・ヴィリリオ>

ビデオ作品「Ailleurs commence ici 他の場所はここから始まる」
サン・サヴィニアン教会

ポール・ヴィリリオは、フランス生まれのエッセイスト、哲学者、都市工学者。『消滅の美学』、『災害大学』、『最悪の政治のサイバーワールド』、『パニック状態の町』などの著者。メルでは、ラ・ロシェルの港で収録した数分間のビデオで、21世紀の地球の危機的状態と民族の移動を語る。「これまで世界が見なかったような何十億人という人間の移動がこの50年に起こる。地球資源が尽き、戦争がおき、温暖化によって地球の生態系が大きく変化していくことによる人類史上始まって以来のものだ。すべては飢餓や飢饉、そして大事故が民族移動のきっかけになる・・・」と。

Paul Virilio photo: Shigeko Hirakawa

Paul Virilio photo: Shigeko Hirakawa