トランプ政権、NASAの大気中の二酸化炭素とメタンガスを監視するプログラムの廃棄を決定
AFP©DAVID MCNEW
地球の大気のカーボン・モニタリング・システム((Carbon Monitoring System CMS*)は、年間1000万ドルをかけ、二酸化炭素の排出源をリサーチし地球温暖化ガスの流れを可視化する高画質映像を作り上げるNASAのプログラムだが、トランプ政権が3月の予算決定時にCMSを除外したため、打ち切りとなった。科学者たちは、「気候科学への最大級の攻撃だ。トランプ政権は、カーボン・モニタリング・システム(Carbon Monitoring System CMS)を知らないうちに抹殺した」と5月10日木曜の『サイエンス』誌で非難した。
*CMSの大気の変化に関する調査発表はこちらを参照:http://shigeko-hirakawa.org/blog/?p=12738
https://en.wikipedia.org/wiki/Carbon_monitoring
『サイエンス』誌によれば、NASAは「予算を制限され、優先事項の選択を余儀なくされた」という以外、何の理由も述べていないが、NASAのスポークスマン、スティーブ・コール(Steve Cole)はこの木曜、トランプ大統領が昨年、CMSプログラムのみならずNASAのその他4つの科学ミッションを削除するよう提案していたとAFPに明かした。しかし、長い議会での議論の末、4つのミッションは予算維持を決め、一方でCMSは欠落したという。
タフツ大学のマサチューセッツ州メドフォード国際環境資源政策センターのケリー・シムズ・ギャラガー(Kelly Sims Gallagher)局長は、「CMSの廃止はパリ協定において、温室効果ガスの国レベルの削減努力を検証する能力を脅かす」と危惧し、「排出削減量を測定できなければ、各国がこの協定を遵守しているかどうか確かめられない。CMSを廃棄するのは重大な誤ちです」と『サイエンス』誌に語った。
NASA | A Year in the Life of Earth’s CO2
CMSで作り出される炭素観測映像
Ajoutée le 17 nov. 2014
NASA program to track greenhouse gas is canceled
トランプ氏は既に、化石燃料による汚染排出を削減する目的で190以上の国々が署名したパリ気候変動協定(調定2015)から米国の撤退を発表した。
また、トランプ政権は来年度の別の地球科学ミッション、Obi-3(Orbiting Carbon Observatory 3)の打ち切りを提案したが、これに関しては2018年度予算が通過したという。NASAのスポークスマン、コール氏は、「この特定の研究プログラムが終了しても、地球のCO2の変化やその影響を監視するNASAの能力やコミットメントを抑制するものではない」と電子メールで述べている。「現実には、GEDI**(新型エコシステム・カーボン・モニタリング機器)がこの夏、国際スペース・ステーションに打ち上げられることになっているからだ」とも。
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**GEDI https://www.nasa.gov/feature/goddard/2018/may-the-forest-be-with-you-gedi-to-launch-to-iss