新政権、環境情報・データをロックダウン
新政権発足Day-4、1月24日、トランプ政権は環境保護庁(EPA)に助成金と契約の全面凍結を命じた。内容は、研究費、旧工業地帯の再開発、大気のモニタリングや教育などの広範なプログラム全般にわたり、また「ザ・ヒル」によると、政府はこの命令を機関外の誰とも話し合わないように指示したという。EAP職員が匿名で議会に情報を提供してわかった。(huffingtonpost)
同日、トランプ大統領は北アメリカを縦断してカナダから原油を運ぶキーストーンパイプラインとダコタパイプラインの建設に取り組む執行命令にサイン。23日、上院が元エクソン・モービルのCEOレックス・ティラーソンが国務長官に就くことを承認し、石油産業の再開発が方向付けられた感が強まった。
Day-5、1月25日。トランプ政権は、環境保護庁の科学者の研究やデータが公開される前に、当局の政治責任者に審査を受けるよう義務付けた。トランプ政権移行チームのEAP担当のダグ・エリクセンは前日水曜に、気候変動が人間の活動による炭素排出が原因であることを示す科学的証拠の詳細を含む政府機関のウェブサイトも全て審査の対象となると述べた。
「気候変動について、事象ごとにすべてを検討している。空気、水質汚染の日常的なモニタリングを含め、機関の科学者が収集した科学的データについて具体的に検証し、新政権の移行期間に、EPAが関わっているすべてのウェブページやFacebookページを見直していく」。(AP)
元EAP職員は、前政権で行われてきた活動にトランプ政権が行きすぎた検閲が行われることを懸念しており、これからEAPのウェブサイト等をウオッチングしていく必要がありそうだ*。
*すでにホワイトハウスのサイトの気候変動ページは削除された。https://www.whitehouse.gov/the-record/climate
Senate panel approves Tillerson nomination
Trump expected to sign executive actions to advance Keystone, Dakota Access pipelines
http://www.politico.com/story/2017/01/federal-agencies-trump-information-lockdown-234122
オバマ政権時に制定された14ページにわたるEPAの科学文書は、科学研究がどのように実施され再検討されていくべきかを記述したものだ。この科学文書は、科学研究は政治的な干渉や他の諸々の干渉に妥協してはならず、国民やメディアならびに議会に伝えられるべきだとし、「管理者や他の機関の指導部が、科学者のデータ、知見、専門家の意見を変更させたり、科学的諮問委員会に不適切な影響を与えて萎縮させたりすることを禁」じている。それと同時に、そぐわない科学報告書や政策に対しては、反対意見を持ち警鐘を鳴らすことに役立つ方法論を提供するものである。
こうした前政権の実践的科学に対し、今週初めにEPAのスタッフに送られた電子メールは「メディアリリースやソーシャルメディアの活動をブラックアウトさせ、契約承認と助成金の凍結を義務づけた」とAPなどのメディアが報じた。
Source: Employees terrified by EPA lockdown
Ajoutée le 25 janv. 2017
A source tells CNN that some federal employees are “terrified” in the wake of a Trump administration crackdown on communications at the Environmental Protection Agency and the Interior Department. CNN’s Rene Marsh reports.
助成金凍結で広がる環境汚染への不安
トランプ政権下で全てがストップし、契約や助成金が凍結されたことで、飲料水の保護、有害廃棄物の監視やその他多数の計画遂行が不確実性を増したため、州やその他の受益者たちは問題改善に不可欠な資金を失うことへ大きな危惧を抱き始めた。
当局はまた火曜日に、オバマ大統領任期中に完成した環境規則を「抹殺する」第一歩を踏み出したらしい。数州にまたがる公害裁定、再生可能な燃料基準の設定、木材製品から浸出ホルムアルデヒドの制限をすべき問題などのうち、少なくとも30件の連邦登録が先送りされることになった。
「これはまさに私たちが初めから心配していたことです」と、Food&Water Watchの責任者Wenonah Hauter。
クリーンウォーター・アクションのリン・ソープ氏は、「EPAはすでに予算が限られているため、安全で清潔な水の供給をする能力に限界がある」とし、このような政府の動きによって、「フリント・ミシガンなどの水の危機状態を防ぐのはさらに困難になるだろう」と警告している。
Washington (CNN)
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My opinion : 昨年12月のトランプ当選から懸念されていたこととはいえ、パリ協定とともに始まるべき新エネルギー開発への道は、トランプ就任4日目にブラックアウトした。最近のニュースでも紹介しているように、うかうかしているうちに、今や半年もたたない短い時間で地球の姿が変わる。それほど顕著な気候変動への取り組みはトランプ政権で遅れるどころか、被害拡大の禍根の目を植え付けた。(S.H.)
関連ページ:
•「オバマとトランプ、環境闘争」http://shigeko-hirakawa.org/blog/?p=11389
•「気候変動分析データを救え」http://shigeko-hirakawa.org/blog/?p=11328