地球の温度上昇が観測史上最高をふたたび更新、北極の異常事態
「北極がこのような温暖化現象の異常な記録を見せ、これほどその甚だしい影響を観測するのは稀なことだ」とNOAAの北極研究プログラムのディレクター、ジェレミー・マティス。2016年12月、アメリカのNOAAは北極に関し、1900年に始められた気温調査史上、最近12ヶ月が温度が一番高いと発表した。北極は2015年10月から2016年9月の間に3.5℃上昇していることがわかっているが、これは、他の地域の二倍の温度上昇を意味する。
北極は今まで解凍氷結を繰り返してきたが、氷結をするべき時期に例年より20℃も高い気温で氷結ができず、氷原が形成できずにいるのは今年が初めて。例年の同じ時期に比べ、北極の面積は50%も少ない。
国連のIPCCは2007年、温暖化が進めば北極の氷は2080年に全て溶けてなくなるという予測をしていたが、2016年の計算では、2040年に全て解凍してしまうという数値が出ている。
ちなみに、北極の20℃上昇に対し、裏側の南極は、2℃から4℃の上昇という。
〔リンク〕
・関連記事 : En Arctique, la température excède la normale de 20 °
・Le Monde.fr avec AFP | • Mis à jour le ル・モンド: http://www.lemonde.fr/planete/article/2016/12/13/l-arctique-a-connu-son-annee-la-plus-chaude-dans-les-annales-selon-le-gouvernement-americain_5048455_3244.html#uQQdk0CaiC0X1Y2m.99
2016: The hottest year on record/ CNN
トランプ政権が地球に与える被害を予測し始めた研究者たち
チューリッヒのETHチューリッヒ大気研究センターのベンジャミン・サンダーソンは「Nature Climate Change」誌に、トランプを中心とする米国気候変動の8年遅れで「米国の再生可能エネルギー研究の放擲や温暖化ガスの削減の遅れによって、2℃*の目標を達成できない可能性が高い」とする論文を発表した。
(*2℃:2015年11月に決定したパリ協定の目的のこと。産業革命の時代から今までの気温平均上昇率を2℃以下に抑える、というもの。)
米国の環境への対処の遅れが世界的に広がり、誰も温暖化ガス排出量を削減しなくなれば、当然二酸化炭素排出量をさらに増やすことになり、パリ協定で決めたことを守れない可能性が高まる。「懸念は、アメリカが協定から撤退するか、あるいは協定に従わないということになれば、国連の合意全体が不安定になることだ」。つまり、8年間アメリカの背理が続けば、地球問題は悪化し、目標達成はさらに遠のくのは明らかだという。
今の段階では、トランプ新政権の方針はまだ明らかではない。 「米国政府の経済的・イデオロギー的な変化が温暖化ガスの排出にどのように影響するかまだ不確実なため、この分析も過度な信頼は禁物」と締めくくってあるらしいが、ともかく、良い方向に進まないことだけは確信していいようである。