ケブランリー美術館
パリ郊外線RERC線のポン・ド・ラルマ駅。エッフェル塔に抱き込まれるように建てられた細長いケブランリー美術館で現在、開館10周年記念展が行われている。
フランスの脱植民地化への時代の流れとともに、西欧やフランスからは植民地の民芸として紹介されてきた第三世界の作品たちが西欧諸国の芸術と同列に肩を並べるよう、芸術の平等への思い入れを込めて創られたケブランリー美術館創設への動きが、ジャック・シラク元大統領の足跡とともに時系列で示されている。
ケブランリー美術館10年展、展示パネルの一つから「2002年」
「ヒューマニズムとしての芸術文化、
ジャック・シラクは2002年9月、ヨハネスブルグの持続可能な開発サミットに参加し、こう発言して聴衆を驚かせた。《私たちの家が燃えているのに、私たちは他の方向を見ている。自然は乱開発でズタズタにされ再生不可能になっているのに、わたしたちはそれを認めようとしない。》彼は、持続可能な開発を文化の多様性と結びつけ、発表を続けた。《生物の多様性と文化の多様性は、双方とも人類共通の財産であるのに、危機に瀕している。これに対してできることは、多様性の権利を確認し、倫理上の法的義務を採択することである》。
2004年、ジャック・シラク共和国大統領の主導のもと、憲法に【環境の憲章】が書き込まれた。」
ケブランリー美術館建築はジャン・ヌーベル。その中庭の造園には、生物学者でボタニストのジル・クレマンが、また、ケブランリー美術館の外壁の垂直な壁の処理にはパトリック・ブランが起用されて、植物を中心に自然を強調する空間が作り出された。
一昨年、ネット上でジャック・シラクにそっくりなので話題になった日本の狂言面。この展覧会には、リヨンのコンフリュアンス博物館、トゥールーズ美術館、そしてフランス人コレクターからの貸し出しで三面出品されている。三面とも微妙に形が違うのだが、やっぱりこの面が一番似ているようだ。ちなみに狂言面は撮影禁止で、わざとのように窓からの反射がまともに当たり写真が撮りにくいところに設置してあった。(写真はRT1の電子版)
ドビリィというセーヌの小さい橋
アンヴァリッドとエッフェル塔に挟まれたケブランリー美術館。セーヌ川を挟んで真向かえに、パリ私立近代美術館と巨大な現代アートセンター、パレ・ド・ドーキョーがある。ほんのドビリィ橋を渡るだけの短い距離の中で目にする景色は心を洗うようだ。
パレ・ド・ドーキョーとパリ市立近代美術館
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