セーヌの記録的増水で沿岸の美術館休館、作品を階上へ引き上げる
金曜夜の8時の時点で増水は6m7cmを記録。セーヌ沿岸のブーローニュ、15区、16区で沿岸の住宅への浸水が始まった。セーヌにかかるアルマ橋のたもとに設置されているズアーブ像は水位上昇の格好の物差しとなっている。ちなみに、1910年の増水ではこの像の顎まで水が来たという。
まだ浸水が始まったわけではないが、増水の速度や見通しなどを考慮に入れて起こりうる被害を未然に防ぐ目的で、セーヌ沿岸の大美術館、ルーブル、オルセー、ならびにBNF(国立図書館)、グラン・パレ、オランジュリーが休館。地下の作品が25万点に上るルーブルは、浸水危険域に指定された収蔵室のイスラム美術や彫刻作品の階上への退避作業を行った(下の写真)。
セーヌ対岸のオルセー美術館でも彫刻600点、パステル1100点絵画作品500点の保全に勤めている。これらの美術館は、来週火曜まで休館の予定。
洪水の足跡
パリに集まる水には4つの水源がある。マルヌ川、オーブ川、ヨンヌ川、セーヌ川の4つで、これらにはおのおの水をためる湖が建設され、セーヌの水量を調整していたが、長雨で水位はどの湖も100%に達し、水量の調節は不可能となっていることが明らかになった。
土も長雨で水を含んで飽和状態である上に、水溜の湖が用をなさず、下流へと移動する水はそのまま洪水の移動を意味している。
ほかの交通網
RERのC線はオステルリッツ駅からベルサイユにかけて運行休止で、通勤に支障が大きい。
一方で、フランス国鉄は新労働法に反対する労組CGTの働きかけで、ストライキを予定している。これに対し当局は、洪水で事態が悪化している交通網を、ストでいっそう困難に陥れないよう要請したが、労組はこれを聞かず、要請を振り切ってストライキに突入する見込み。
(フランス2TV、itele)