フランスから―環境とアートのブログ

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環境

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コンラッド・マーレー、マイケル・ジャクソンの医師に過失致死罪で有罪判決 洪水 - ヴァール、ペルピニャンで一昨夜からの大雨による洪水で多くの家が浸水。死者5名が出ており、今夜も大量の降水が予想され予断を許せない状況だ。 増税 - 食料やレストランに課せられるVAT消費税(TVA)が5.5%から7%へ。一昨日の増税案9%への非難が多く、訂正されたもの。この消費税引き上げによって、来年政府予算不足分のうちの180億ユーロが賄われる予定。 隕石 - 今夜、35年ぶりに隕石が地球へ接近する。その大きさ400m、接近距離は32万5千キロと、月よりも近い。天体観測にはもってこいの夜となる。この隕石を逃すと、次に新たな隕石が訪れるのは2028年という。(フランス2TV)

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マルクールの核廃棄物溶融炉爆発事故、レベル1に - 9月12日に死亡事故の起きたマルクール(ガール県)の核廃棄物処理場サントラコの溶融炉で、爆発当時処理されていた放射能汚染鉄鋼4トンは、500倍の放射能があったことが分かった。9月30日のフランス放射能安全委員会(ASN)の調査発表によると、溶融炉内部は当初発表の63キロベクレルではなく、30メガベクレルの放射能があったことが分かり、サントラコに大幅な数字の差について説明を求めたという。原子力安全委員会は29日木曜、この事故をレベル1に査定した。 放射能に関する独自な研究と情報委員会 (Criirad)は、「非常に危惧される状況です。この工場が、核廃棄物の管理や計測能力をきちんと持たずに放射線量の過小評価をしつつ仕事をしたということなのかどうか、はっきりさせなくてはなりません」と鋭く非難した。工場の不透明な管理にたいし、地域の協会が起訴し、10月14日から司法関係での取調べが始まる。「だいたい、こういった廃棄物がどこから来たものか、どういう方法で収拾されてどの程度の量ストックされているのかなど、ぜんぜん知らされていないわけですから、心配は尽きません」と近隣の住民。(TF1TV、ラングドック・ルシヨン・フランス3TV) インデアン・サマー - フランス全国、9月下旬から10月初旬は28度から30度という真夏のような陽気で、7月8月天候不順で足が遠のいていたあちこちの観光地が活気付いている。

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マルクールの核廃棄物溶融炉で爆発、一人死亡4人重症 - 9月12日正午ごろ、フランス電気EDFの関連会社でガール県マルクールにある低レベル核廃棄物を処理する施設サントラコの溶融炉が大爆発し、職員一人が死亡、4人が重軽傷を負った。この施設は、放射能防護服やその他軽機材の焼却および、原子力発電所施設解体などから出る核廃棄金属を溶かしてリサイクル可能な鉄を抽出したりする溶融炉をもっており、溶融の際に出る放射性物質が多量にストックされているはずという。爆発直後、施設から2kmはなれた人口2000人の村々では住民がパニック状態になり、幼稚園の保育係が子供を屋内へ退避させるなどの自発的な非常措置を取った。この事故に際し仏原子力庁は、建物は密閉されており現在のところ放射性物質が建物の外へ漏出することはないと発表。エコロジー大臣が現場へ赴き、原子力事故としてではなく、通常の産業事故として対応に当たるように強調した。一般への通達は爆発から2時間後で、情報の遅滞に地域は業を煮やしている。 フクシマ原発事故以降、フランスでの原子力施設での爆発はこれで二度目。ほとんど発表されないが、全国で平均一日に3つのアクシデントが起きるという。(フランス2TV) フェッセンハイム原子力発電所 - エコロジストや原発反対者が一番に廃炉にすべき原発として先ごろから槍玉に上がっているアルザス地方のフェッセンハイム原子力発電所。1977年に建てられたこの発電所は、地震発生地域にあり、持ち主のEDFの案内でエコロジストと地域の議員らが視察した際に、核格納容器のすぐ下にあるコンクリートの床が、1.5mの厚みしかないことに言及し、建設コンセプト自体に欠陥があったことがわかった。EDFは、中からコンクリートを流し込んで厚みをつける予定だという。ちなみに福島第一のコンクリート床の厚みは6m。このコンクリートが、メルトスルーをしたときにマグマを受ける。(LCP TV) またしても株価暴落に戦々恐々 - ギリシャ負債を背負ったフランスの銀行が軒並み株価下落。大手BNP、クレディ・アグリコル、ソシエテ・ジェネラル3社は、ギリシャのみならずイタリア、スペインにも数百億ユーロを貸借しており、フランスの銀行倒産がだいぶ危ぶまれ始めている。(フランス2TV) My opinion: ブログが原発事故の記事だらけになってしまった。本来、なかなか日本に届かないフランスの現代文化の話を書けたらいいと思ってはじめたブログだったのに、サルコジの文化嫌い(フランスも朱に染まれば赤くなり)で、文化省が「大」縮小。予算は増大の一途だと偉ぶっていた文化大臣の下でいつのまにか文化予算が失業手当代わりに使われていたり、現代文化政策30年がすっかり捻じ曲げられてがっかりしたり。そして今年の日本の大災害。「文化は戦いだ・・・」、とこのブログで書き始めたけれど、これだけリアルタイムに戦わなければならないものを目の前に突きつけられたら、しばらくは成り行き(自発性というべきか)に任せるしかないとも思う。これもまた人生の戦い・・・。別に戦いが好きなわけではないんだけれど。(S.H.)

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NHK解説委員室ブログ - 原発事故の解明を急ぐ。必読。2011年9月7日。 http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/94624.html 動画で見る炉心溶融 - 原子力発電所の事故のシミュレーション。 独立行政法人・原子力安全基盤機構が事故前に、原子力防災専門官向け資料として作成していた、炉心溶融のシミュレーション映像。 「事故後30分で溶融。3時間後にメルト・スルーが起きる。格納容器を溶かして外へ出たコリウムはコンクリートを溶かしながら、ガスを発生。環境へ放射能を放出する。」

アクチュアリティ、フランスにおけるチェルノブイリ原発事故のその後

免訴判決に甲状腺がん患者の会、失意 - 1986年4月26日に起きたチェルノブイリ原発事故の三日後、当時の放射性イオン保護対策センター長、ピエール・ペルラン(Pierre Pellerin,  Service central de protection contre les rayonnements ionisants (SCPRI) )がテレビで、フランスにはまったく放射能の影響はないと発表。同日フランス3TVの天気予報も、フランスを被った高気圧が放射能の雲を押し返しすためにフランスには原発事故の影響はまったくないという放送をした。ところが事実は翌4月30日、SCPRIが全国に布いている探知施設が放射能に反応し始め、ピエール・ペルランが3度にわたって調査をしているがこの際も報告書には放射能の影響は僅少、として国民に知らせることを怠り、政府も何もなかったように、ほかの国がしたようなヨウ素剤を配ったり野菜や乳製品を市場から回収するなどの緊急時における国民の保護措置をまったく取らず、そのまま放置した。同年5月12日、フランス日刊紙リベラシオンが、放射能の雲が国境から入らなかったとは真っ赤な嘘で雲はフランスを被って汚染しており、当局は雲の通過路に関して嘘をついた事実をすっぱ抜いた。 数年後、高度の放射能汚染のあったとみられるコルシカ島で甲状腺異常や甲状腺がんが激増し、2001年5月、 フランス甲状腺疾患患者の会 (AFMT)、放射能に関する独自な研究と情報委員会 (Criirad)、および甲状腺がん患者51人が、放射能の拡散を過少視したために甲状腺疾患が増えたとして、「過失傷害罪」で政府を相手に訴訟を起こした。しかし裁判官の オディール・ベルトラ=ジェフロワ は、「放射能とがんには、石綿のようにはっきりがんの原因となるという因果関係はなく、少量の放射能ががん患者を増やしたということは証明できない」と判決をくだした。控訴院はすでに1999年、当時の政府責任者であったシャルル・パスクワ内務大臣Charles Pasqua、アラン・コリニャン環境大臣Alain Carignon、およびミシェル・バルザック健康大臣 Michèle Barzachの3人にはすでに責任を問わないとしていた。 2011年9月7日の裁判はしたがって、 人心を惑わした容疑でもと放射性イオン保護対策センター長、ピエール・ペルラン(現在87歳)一人が訴追の対象。ピエール・ペルランの弁護士は免訴を要求して裁判所は予審が終わらないうちに免訴判決を下した。この決定に対し、フランス甲状腺疾患患者の会 (AFMT)の弁護士ベルナール・フォーは、「予審がきちんと終わる前に免訴判決が出たことで、甲状腺がん患者たちは見捨てられた思いになることは間違いなく、またそうでなくても、世論に事実隠蔽の疑いをもたせることになるでしょう」。(フランス2TV、ル・モンド紙)

建設中の原子炉に欠陥

2016年の完成を目標に建設中の英仏海峡に面するフラマンビルの最大規模といわれる新型原子炉内で欠陥が見つかった。問題の箇所は、ブイグ社が納品したコンクリートで作られた核燃料プールの壁面で、内臓の鉄骨が見えるほどコンクリートが崩れ落ちた箇所がある。核燃料プールは原子力発電所の中枢にあたり、この部分の欠陥が発見されたことで、建物全体の再点検と再建築が必須となる見込み。2012年完成予定が4年延びて2016年となり、予算も最初の30億ユーロから60億ユーロに膨らんでおり、これ以上の財政投入が今後どう検討されるか不明。 この報にグリンピースは、「建設中にこんな重大な欠陥が見つかったからには、あちこち同じような問題が隠れているはず。完全に問題を解消できないないなら、さっさと建設を中止すべきです」。周辺の騒ぎにもかかわらず、フラマンビルの原発の持ち主フランス電気EDFは、一切ノーコメント。(フランス2TV)

La bataille de tchernobyl チェルノブイリの戦い(福島に捧げる)

La bataille de tchernobyl: Un documentaire réalisé par Thomas Johnson (94’) – Année : 2006 「ラ・バタイユ・ド・チェルノビル…チェルノブイリの戦い」 - 1時間34分ドキュメンタリー・TVフィルム、トーマス・ジョンソン監修、2006年。 注記: 以下の文章は、数分前に見た「チェルノブイリの戦い」のなかで気にかかる点をいくつか抜粋したものである。2011年は、チェルノブイリ原発事故から25周年。またこのフィルムの制作された2006年は事故から20年の区切りとなる年で、メルトアウトの危機にたいするゴルバチョフの戦いも含め、当時を振り返りまた現在を検証するフィルムとして出来上がっている。福島第一原発事故のあと、このルポルタージュはフランスで何度か再放送され、われわれの将来に向かって重要な示唆を提供し続けている。…

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ビデオ: 2011年7月27日、衆院厚労委員会、児玉龍彦氏 - 怒りの発言、福島原発事故。3月21日の雨。3月15日、広島に投下された原爆の29.6倍の熱量。 3月15日の放射能放出を振り返る: フランス放射能安全インスティテュートIRSNが制作したの福島原発の事故から18日までの放射能放出シミュレーションビデオ: Shigeko Hirakawa Blog アクチュアリティ・日本

アクチュアリティ、エヴァ・ジョリィ

政治、話題の人、エヴァ・ジョリィが大統領選出馬- 2012年のフランスの大統領選挙に向けて、ユーロップ・エコロジー・レ・ヴェール(EELV フランスの緑の党の各派閥を統合した呼称)が立候補者をきのう選出。58%の支持を受けたエヴァ・ジョリィ(Eva Joly、67歳。欧州議員)に決定した。エヴァ・ジョリィは、ユーロップ・エコロジーで真っ先に立候補の意思表明をしていたが、公の討論会などで外国人訛が批判されたりもし、世界を探検して回るテレビ番組『Ushuaïa/ ウシュアイア』で有名なニコラ・ユロがかつぎだされて、実質、エヴァ・ジョリとニコラ・ユロの一騎打ちとなっていたもの。 エヴァ・ジョリィは、1943年ノルウエー、オスロ生まれ。20歳のときにフランスにきて結婚の際にフランス国籍を取得した。ノルウエーとフランスの二つの国籍保持者。フランスで政治学を学び、司法官職を経て、38歳のときにフランス共和国検事となる。のち、産業再構成に関する省間委員会 Comité interministériel de restructuration industrielle (CIRI)書記長となった(初のENAを出ていない書記長)。 1990年、パリ最高裁判所の予審判事となり、エルフ事件、フランス国鉄事件、ベルナール・タピ事件、ローラン・デュマなどの事件を担当するなどして機構の悪をついた。その後、仕返しを恐れてノルウエーに戻リ、2002年収賄や違法な金銭のやりとりなどの国際犯罪撲滅を目的にノルウエー政府の顧問となる。2005年、悪徳な国際的犯罪撲滅のためのネットワーク「Le Network」を設立。2008年、ユーロップ・エコロジーに合流。2009年、欧州議員に選ばれた。 http://fr.wikipedia.org/wiki/Eva_Joly エヴァ・ジョリィ、オフィシャルサイト My opinion: 青天の霹靂、とはこのことだ。執拗にに「血統」にこだわってきたフランスが、フランスのDNAを持たない数人の女性閣僚(フランス国籍はもちろん所有)を、共和国政府の歴史上はじめて、フランスの内閣に入れてからまだ4年も経たっていない。2011年の今日、外国生まれの二重国籍保有者が、フランスの政党の大統領候補者として選ばれることになった。エヴァ・ジョリィの専門は司法で、主に収賄や裏金、脱税などの国際犯罪を手がけ、撲滅運動をヨーロッパに広めることにその仕事の核があった。「経済に仕える人間の姿を根本から変えなければならない」という本人の発言の裏には、大企業と政治家の癒着にからむ政治の歪みやそれに伴う国際犯罪、犯罪をみのがす政治、信頼を失った政治が引き起こす社会問題、そして、もろもろのしわ寄せを食らうわれわれ庶民のすがたが強く暗示されている。エコロジーとエコノミーは表裏一体。CO²が金に換算される社会の未来には、うってつけの人なのかもしれない。有名人のニコラ・ユロと、堅実なエヴァ・ジョリィ。花より実を取ったユーロップ・エコロジーだ。(S.H)

アクチュアリティ

経済、さらにユーロ圏揺らぐ - きのう、世界市場でユーロ圏の危機が再び露になった。ギリシャ、ポルトガルに続くイタリア経済の弱体化が、ユーロ圏崩壊へのなだれ現象に拍車をかけるのではないかと懸念されている。イタリアはヨーロッパ経済では第3番目に位置した国であるが、経済相の収賄問題や、ペルロスコーニ首相の収賄問題等が国の経済低迷を招き、18兆ユーロという巨額の負債を背負い込んだ。負債額は国民総生産(GDP)の122%に相当する。すでに巨大な負債を抱え込むギリシャ、追随するポルトガル、スペインに加えてイタリアの経済危機はユーロ圏への影響が大。ちなみにEUは、ギリシャ救済にまだなんら解決策を得ていない。 フランス、風力原動機600基の建設へ - エオリエンヌ・オフショアーと呼ばれる海上での風力原動機建設実施が確定した。ノルマンディーの、サン・ナゼール、サン・ブリユー、フェカン、ル・トレポール沖合いに、重さ815トン高さ90mの風力原動機600基が、2016年をめどに環境省などの後押しで建設される運びとなった。フランスは2020年までに、エネルギー生産の23%をクリーン・エネルギーに転換する方針で、風力原動機の建設はその一環となる。建設費用100億ユーロ、225万世帯をカバーする見込み。海風が一定であるというメリット以外は、オフショアーで建設費用もメンテナンスも通常より費用がかさむ。採算が合うかどうかは稼動してから、という。 2012年、大統領選へ - きょうの国民調査で、フランス国民の61%がドミニク・ストロス=カンの立候補を好まない、という結果が出た。DSKが立候補するとすれば社会党からだが、社会党の立候補者二人、フランソワ・オーランド、マルチーヌ・オーブリィの人気は拮抗しており、いずれが立候補しても現大統領のニコラ・サルコジに7ポイント差で勝つ、という数値が出ている。ちなみに3番目は、フロン・ナショナル(極右政党)のマリーヌ・ルペン。サルコジとの差は5ポイントしかない。 (フランス2TV)

アクチュアリティ、太陽の表面で、最大級の爆発

フランスTF1TV 2011年6月8日、太陽の表面の爆発「最大級」 Les images de l’éruption solaire 日本語関連サイト http://rocketnews24.com/?p=102678

アクチュアリティ、環境…

バクテリアによる経済的被害甚大 - ドイツのハンブルグを中心に広まったバクテリアによる食中毒で死者は25人となった。ヨーロッパ諸国12カ国に広がったばかりではなく、アメリカでもやはりドイツに旅行をした人が一人中毒症状をだしている。バクテリア感染源として濡れ衣を着せられた生野菜、特にキュウリの生産者の被害は甚大で、スペイン、フランスなどでは収穫したキュウリを毎日捨てる作業が行われ、倒産寸前の農家も出始めている。EUは被害を受けている生産者に対し、1億5千万ユーロの援助金捻出を決定したが、実際農家は毎週2億ユーロ相当の損失をだしており、援助は焼け石に水状態だ。一方、バクテリアのほうはいまだに感染源がつかめず、各国の研究所は検査の範囲を広げ原因究明を急いでいる。(フランス2TV、フランスTF1TV、) 旱魃と異常気象 -フランスの特に北部では好天気続きで暑さが夏並み。旱魃により、現在全国62県が節水体制を取っている。一方で先週および今週はじめ、南仏やヴァル・ディゼールで大嵐や大粒の雹が降り農作物に大きな被害を与えた。りんごやナシが全滅の農家も。また先週は、アルプスやピレネー山脈の一部で雪が降り、30cmから50cmの積雪を記録した。300頭の羊が凍え死ぬなどしている。 福島原発事故、マグマ状になった核燃料が流出 - すでに津波の直後に福島第一原子力発電所の一号機から3号機までの炉心3基で、核燃料がメルトダウンしてマグマ状になり、壊れた格納容器から一部外へ出ていた可能性のあることをようやくTEPCOが発表した。原発事故から3ヶ月たっても放射能の流出を止められずにいるTEPCOは、国際原子力機関(International Atomic Energy Agency:IAEA)への正確な報告を迫られ、これまでの不透明で煮え切らない部分を正してようやく内容を明らかにする姿勢を示したことになる。(フランスTF1TV) My opinion: 4月下旬あたり、イギリスのウィリアム王子とケイト・ミドルトンの結婚式直前あたりから、福島原発事故のニュースがほとんど表面から消え、各国際放送のビデオではなくブログなどで言及する程度だったが、再びこの二日ばかり、フランスのTF1が取り上げている。状況が最悪の状況であることがはっきりしたからだろう。核燃料がマグマ状になって壊れた格納容器から外へ出る、という最悪のシナリオは、フランスではすでに3月中旬に原発が爆発した時点で何度もTVで言及していたが、日本側は「建屋の水素爆発のみ」という表現で、核燃料には一切触れていなかった。

アクチュアリティ、バクテリアの謎

ヨーロッパに広まるバクテリアの脅威 - 生野菜が感染源といわれてきた食中毒の原因となるバクテリアの正体がほぼ判明したという。菌は二つの株のハイブリッドで抗生物質が効かず、潜伏期間は10日あまり。感染すると激しい症状を伴う。ドイツのハンブルグから始まり、スエーデン、フランス、イギリスで発病者が出ているが、いずれもドイツへ行った人ばかり。現在発病者はドイツを中心に2000人。ドイツ、ハンブルグで18人の死者。スエーデンで一人死亡となっている。最初はスペイン産のキュウリが感染源といわれていたが、キュウリを食べていない人に多数の発病者が出たため、トマトやサラダ菜などへ波及してフランス、ドイツなどの研究所が検査していた。しかし、感染源は生野菜といわれてきたにもかかわらず、本当に野菜が原因なのかまったく確証が得られておらず、どこで発生したバクテリアのか、またどれだけ波及していくのかなども何もわかってはいない。各国市場では、スペイン産の野菜が嫌がられ、フランスだけで80%の売り上げ減となった。スペイン産の野菜は95%が販売不可能となり、多大な損失を出している。一人の感染者も出していない上に、感染源の濡れ衣を着せられたスペイン政府は、ドイツへ損害賠償を請求。ドイツはこれに対し、「スペイン産の野菜が原因だなどとは言っていない。市場から感染源と思われる野菜を回収するよう指示しただけだ」と答えた。野菜の容疑が晴れてもすでに遅し。フランス国内でも、「スペイン産は絶対買いません」という消費者が激増している。 ロシアは即座にヨーロッパからの野菜の輸入を全面禁止。モスクワの人たちは、「ヨーロッパは自分で作った野菜で自家中毒をしていればいいのよ」となかなか冷たい。EUはロシアに向け、直ちに輸入禁止を解くよう勧告した。 フランス2TVの食品専門家は、「野菜が原因なのだけが判明しているが、よく手を洗って、野菜も皮を剝いたり火を通したものを食べるように。また女性が感染しやすい。3歳以下の子供に肉を食べさせるときはよく火を通して・・・」。 (フランス2TV、昼のニュース、BFMTV) My opinion: TVの食品専門家が、「野菜が原因」と言ったあとで、「肉にはよく火を通して」と言うのが、よく分からない。むかし、牛肉の処理を誤って腸を裂き、腸内のバクテリアが肉に混入して重い感染症を引き起こして問題になったことがあったが、今回のバクテリアは肉から来るものとはまた別物という。そうした説明の口の先から、また野菜と肉をごちゃまぜにするところをみると、原因がまだ不明なだけに、この人自身にも疑いが拭いきれないのだろう。とまれ、こうした放送でヨーロッパがどれだけ混乱しているかがよくわかる。(S.H.)

アクチュアリティ、ポスト・福島、ドイツ原発全面廃止へ

ポスト・福島、ドイツ原発全面廃止へ - ドイツ政府は、2022年をめどに原子力発電の全面廃止を決定、昨夜公表した。現在ドイツは17基の原子炉を保有している。福島第一原子力発電所事故をきっかけに、アンゲラ・メルケル政府は原子力開発への積極政策をいったん保留して国内の原子炉7基の稼動をストップしていたが、「福島の惨事の苦悩をドイツで味わわない」ために全面廃止へ踏み切った。ドイツ政府の決意に対しフランス政府は、「ベルリンの姿勢を尊重する」といいながらも、「フランスも全面廃止へ?」の質問に、フィヨン首相は「フランスの原子力開発はドイツと比べ物にならないほど発展しており、国内には58基の炉心がある。原子力発電への依存も比較にならないほど大きく、ドイツと歩調を合わせることはまったく不可能だ」と回答した。 旱魃のフランス - 4月から雨量が少なかったフランスは全国的に旱魃。水飢饉により今日からフランスの50以上の県が節水体勢にはいった。リモージュ一帯の貯水池の水位が下がりすぎ、原子力発電所の炉心の冷却がままならなくなっている。 バクテリア、コリバシル - 生野菜で食中毒。スペインから輸入されたキュウリについていたらしいバクテリアが原因で、ドイツのハンブルグで300人以上が中毒、うち11人が死亡した。食中毒患者はドイツを中心にデンマーク、スエーデン、オランダなど1200人以上に膨れ上がり、フランスでも3人の中毒者がでてヨーロッパがパニック状態に陥り始めている。一部ではキュウリのみならずトマトやサラダなども疑わしく、検査が進められているが、コリバシルというバクテリアによる中毒症状は抗生物質が効かず、内臓出血や神経系統などを侵され激しい症状を伴って治療が生半ではなく、医療関係者のあいだに緊張が高まっている。高齢者や女性、また子供などが犠牲となりやすい。いきおいあちこちで野菜の買い控え。夏野菜の収穫期のピークに入った農家や関係者が大打撃を受けている。(フランス2TV、TF1TV)