政治、話題の人、エヴァ・ジョリィが大統領選出馬- 2012年のフランスの大統領選挙に向けて、ユーロップ・エコロジー・レ・ヴェール(EELV フランスの緑の党の各派閥を統合した呼称)が立候補者をきのう選出。58%の支持を受けたエヴァ・ジョリィ(Eva Joly、67歳。欧州議員)に決定した。エヴァ・ジョリィは、ユーロップ・エコロジーで真っ先に立候補の意思表明をしていたが、公の討論会などで外国人訛が批判されたりもし、世界を探検して回るテレビ番組『Ushuaïa/ ウシュアイア』で有名なニコラ・ユロがかつぎだされて、実質、エヴァ・ジョリとニコラ・ユロの一騎打ちとなっていたもの。

エヴァ・ジョリィは、1943年ノルウエー、オスロ生まれ。20歳のときにフランスにきて結婚の際にフランス国籍を取得した。ノルウエーとフランスの二つの国籍保持者。フランスで政治学を学び、司法官職を経て、38歳のときにフランス共和国検事となる。のち、産業再構成に関する省間委員会 Comité interministériel de restructuration industrielle (CIRI)書記長となった(初のENAを出ていない書記長)。 1990年、パリ最高裁判所の予審判事となり、エルフ事件、フランス国鉄事件、ベルナール・タピ事件、ローラン・デュマなどの事件を担当するなどして機構の悪をついた。その後、仕返しを恐れてノルウエーに戻リ、2002年収賄や違法な金銭のやりとりなどの国際犯罪撲滅を目的にノルウエー政府の顧問となる。2005年、悪徳な国際的犯罪撲滅のためのネットワーク「Le Network」を設立。2008年、ユーロップ・エコロジーに合流。2009年、欧州議員に選ばれた。
http://fr.wikipedia.org/wiki/Eva_Joly

エヴァ・ジョリィ、オフィシャルサイト

My opinion: 青天の霹靂、とはこのことだ。執拗にに「血統」にこだわってきたフランスが、フランスのDNAを持たない数人の女性閣僚(フランス国籍はもちろん所有)を、共和国政府の歴史上はじめて、フランスの内閣に入れてからまだ4年も経たっていない。2011年の今日、外国生まれの二重国籍保有者が、フランスの政党の大統領候補者として選ばれることになった。エヴァ・ジョリィの専門は司法で、主に収賄や裏金、脱税などの国際犯罪を手がけ、撲滅運動をヨーロッパに広めることにその仕事の核があった。「経済に仕える人間の姿を根本から変えなければならない」という本人の発言の裏には、大企業と政治家の癒着にからむ政治の歪みやそれに伴う国際犯罪、犯罪をみのがす政治、信頼を失った政治が引き起こす社会問題、そして、もろもろのしわ寄せを食らうわれわれ庶民のすがたが強く暗示されている。エコロジーとエコノミーは表裏一体。CO²が金に換算される社会の未来には、うってつけの人なのかもしれない。有名人のニコラ・ユロと、堅実なエヴァ・ジョリィ。花より実を取ったユーロップ・エコロジーだ。(S.H)