フランスから―環境とアートのブログ

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2018年度フランス文化省予算編成、斜め読み

2018年度フランス文化省予算編成、斜め読み

【2018年度、総文化予算、100億ユーロ】 現在の文化省構成 2018年度フランス文化省予算へ言及する前に、現在の文化省の構成に触れておく必要がある。2010年文化省は、それまで専門分野を司っていた10の管理局を大まかな4つの局に取りまとた省変革をしたが、マクロン政権下のフランソワーズ・ニセン文化相の文化省はこれを踏襲するものだ。

論争、ジェフ・クーンズの贈り物

パリに贈呈されることになったジェフ・クーンズの彫刻「チューリップのブーケ」をめぐり、仏文化関係者の拒否運動が高まる 2016年11月21日、アメリカ大使館とパリ市との間で、パレ・ド・トーキョー前にジェフ・クーンズの彫刻「チューリップのブーケ」を設置することが決まり、ドイツの工場で制作中の彫刻の設置の日が近づいている。同時に、アーティストやアート・ディレクター、建築家や政策責任者などから設置の撤回を求めて、反対の声が上がっている。

世界とフランスの近未来における美術館

(レ・ゼコーとボザールの二つの記事から)  より「開かれた」、より「子供向け」、より「参加型」に向かう現代の美術館。私たちの知っている美術館は消滅していくのだろうか? 「約200年前に生まれ、物によって知ることを伝える場として公共へ開かれたミュージアムは、やがて廃れようとしているらしい。ミュージアムの規定さえ曖昧になり、その呼び名もMuCEM、 MuMaや、MAXXIなどと簡略化されてそのものの名前で呼ぶことさえ避けられるようになった。テクノロジーや社会の劇的転換に捉えられ、私たちが今まで不変であると考えてきた機構は時代遅れになったということだろうか。」(ジュネーヴ、芸術歴史博物館 MAHで開催された『21世紀のミュージアム』展のシンポジウムでアルトワ大学の社会学者で博士課程« Expographie Muséographie »責任者のセルジュ・ショーミエによる問い。)
新政府、文化予算削減

新政府、文化予算削減

新政府は年内45億ユーロを切り詰めなければならず、フランス防衛省の大型予算カットで防衛省上層部が辞任したニュースは目新しいが、フランス文化省は5000万ユーロの財源カットへ追い込まれる見込みだ。 
展覧会「シビレて一目惚れ」

展覧会「シビレて一目惚れ」

鉱山歴史センター・炭鉱博物館企画「シビレて一目惚れ」展 「一目惚れ、素晴らしい電気の歴史」展が、ノール・パ・ド・カレ州ルワルド市の鉱山歴史センターで行われている。どうして電気に人間が「シビレ」て一目惚れをし、日常生活に取り入れ、時代ごとに違った見方を取り入れながらも結局、世界中で共通のエネルギーとして利用されるようになったのかを探る展覧会だ。

女性アーティストを20世紀美術史の日向へ引き出す

20世紀から21世紀にかけての女性アーティストを歴史のなかへ引き出す作業 ポンピドー・センター国立近代美術館のキューレーター、カミーユ・モリノーが2014年、Archives of Women Artists, Research and Exhibitions(頭文字をとってAWARE )という女性アーティストを収集して資料をプールし敷衍する協会を他の協力者とともに共同設立し、インターネットで資料を一般に公開しているが、この度その内容が国立教育省のリソース・センターにも紹介された。

ルーブル美術館一部閉鎖、ゲリラ豪雨で漏水

7月9日の夜から10日の朝方にかけて降った激しい豪雨は、短時間で68mmという雨量を首都パリにもたらした。この雨でルーブル美術館は、館内に展示されていた絵画作品が被害を受けたと発表した。 13日木曜の当館のコミュニケによると、セット・シュミネ室に展示されていたニコラ・プッサンの四季のうち「春」と「秋」、及び、ジャン=フランソワ・ド・トロワ「マルドシェの凱旋」の絵画のニスの部分が濡れているのを確認したという。(communiqué mis en ligne jeudi soir) これらの絵画は念のため早急に修復室に運ばれ、状態を検査中だ。

CNAP、2020年をめどに引っ越し

収蔵作品10万点とオフィスをパンタンへ集約 仏国立造形芸術センターCNAPは2017年1月24日(火曜日)、2020年をめどにセーヌ・サン・ドニ県パンタン市(パリ隣県)の新しい建物に10万点の収蔵作品とオフィスを移動して集約させることを明らかにした。 現在CNAPは、約30,000作品(絵画、素描、版画、彫刻など)をデファンスの4 500 m2の倉庫に、またサン・トゥアン・ローモヌ(バルドワーズ)の約19 000m2の倉庫などの数箇所に他の作品群を分散させて収蔵しているが、CNAPのディレクター、イヴ・ロベールは「1箇所に集めることで効率的に役割を果たしたい」とル・モンドに述べた。
アメリカ人コレクター、オルセー美術館に600点寄贈

アメリカ人コレクター、オルセー美術館に600点寄贈

戦後初の貴重な寄贈が実現 アメリカのコレクター、マーレーン&スペンサー・ヘイズ氏らが、オルセー美術館に19世紀から20世紀初頭にかけての貴重な作品600点、予想額3億5000万ユーロの寄贈が実現することになった。1945年以来初の大量かつ重要な作品寄贈である。彼らの意向で寄贈先はフランスの美術館が選ばれた。2016年10月22日に大統領官邸エリゼ宮で寄贈サインが交わされた。
「FRACウィークエンド」収蔵品公開

「FRACウィークエンド」収蔵品公開

フランス全国、23のFRAC現代アート州立基金がオープン 文化省の後押しで、11月5日と6日のウィークエンドに、全国23カ所の現代アート州立基金が無料で門戸を開いて収蔵品を公開する「FRACウィークエンド」が始まることになった。 [現代文化のインフラストラクチャー紹介第二弾、FRAC]: http://shigeko-hirakawa.org/blog/?p=7214 FRACの全国リストと住所及び各リンクはこちら:http://www.culturecommunication.gouv.fr/Politiques-ministerielles/Arts-plastiques/Les-structures/Liste-des-FRAC
ケブランリー美術館からパレ・ド・トーキョーへ

ケブランリー美術館からパレ・ド・トーキョーへ

ケブランリー美術館 パリ郊外線RERC線のポン・ド・ラルマ駅。エッフェル塔に抱き込まれるように建てられた細長いケブランリー美術館で現在、開館10周年記念展が行われている。 フランスの脱植民地化への時代の流れとともに、西欧やフランスからは植民地の民芸として紹介されてきた第三世界の作品たちが西欧諸国の芸術と同列に肩を並べるよう、芸術の平等への思い入れを込めて創られたケブランリー美術館創設への動きが、ジャック・シラク元大統領の足跡とともに時系列で示されている。  ケブランリー美術館10年展、展示パネルの一つから「2002年」 「ヒューマニズムとしての芸術文化、

パリ周辺地域(州)、文化バジェット11%減

2015年地方選挙の約束 2015年末地方選挙で、ヴァレリー・ペクレスはその選挙公約に文化バジェットを取り上げ、「文化への志を再び」と銘打って20%の予算増額を約束した。 http://cultureveille.fr/budget-culture-ile-de-france-securite/     L’une des promesses de campagne de Valérie Pécresse dans la course à la présidence de la région Ile-de-France ヴァレリー・ペクレスのイル・ド・フランス週選挙公約(上)。20%予算増加。「政府の文化後退へ一投石するために。クリエーションを支援するために。地域の振興を糊塗するために。イル・ド・フランス独自の文化を鼓舞するために。」   現実は、11%減

学長の突然の更迭、パリ国立高等美術学校

パリ国立高等美術学校、いわゆる「ボザール」の学長ニコラ・ブリオー(Nicolas Bourriaud)が7月3日、フランス文化大臣フラー・ペルラン(Fleur Pellerin)と芸術創造総事務局長のミシェル・オリエ(DGCA Michel Orier)との35分の会合の後、突然学長職から退くよう言い渡されたことで、美術関係者や学生の間から大きな不満の声が上がっている。 ニコラ・ブリオーは2000年のパレ・ド・トーキョー開館に尽力したディレクターの一人で美術批評家としてもよく知られ、2011年からパリのエコール・デ・ボザールの学長に就任し「時代の要求にあわせるべく」学内改革を進め、昨年任期更新を終えたばかりで、今回の更迭はいわれなき青天の霹靂。学生たちは「馬鹿扱いされた思い」と形容。現代アート作家らは結束して文化大臣に更迭取り下げ要求の手紙を宛てるなどし、美術関係者のあいだから署名運動が広がっている。
クライシス・マップ、フランス文化が死ぬ!

クライシス・マップ、フランス文化が死ぬ!

ル・パリジャンが、今年中止になった音楽、演劇、パフォーマンス、ダンス、現代アートなどの文化活動やフェスティバルを集計。開催中止、機関の消滅、文化施設の閉鎖などを含めた総計は、143に上ることが分かった。同紙は「クライシス・マップ! フランス文化が死ぬ」と題した地図を発表している(下のリンクを参照)。 いずれも、予算や公共の支援削減によって運営不可能となったもので、同紙は「国が厳しい選択を迫った」としている。主な原因は、2014年3月の地方選挙で政権が交代した市町村の政策転換によるもので、消滅の憂き目をみたフェスティバルの中には、今年10万人の来場を見込んでいたベルフォールのロックコンサートなども含まれ、関係者のみならず一般からも、「文化の危機的状態」という声が上がっている。