Rendez-vous aux jardins ランデヴー・オ・ジャルダン
Rendez-vous aux jardins (ランデヴー・オ・ジャルダン、庭園で会いましょう) 2003年に始まったフランス文化省が推進する文化イヴェントの一つ。2014年は12回目。地域の遺産局 Direction du patrimoine と地域文化振興局 Direction régionale des affaires culturelles の協力で行われ、全国2200の庭園や公園が文化イベントの対象になり一般に公開される。昨年2013年は180万人を動員。公園はもとより個人の庭園やこれまで公開されたことがなかった庭園などが特別オープンした。 今年は5月30日金曜日は学童中心に招待。一般は31日土曜、および6月1日日曜に庭園訪問ができる。 ちなみに、トレヴァレーズ領もブルターニュ113の庭園のひとつとしてオープン。特別に観覧料無料。 ランデヴー・オ・ジャルダン開催中、展覧会中の平川滋子のパフォーマンス「水を追いかける」が行われる。
現代文化のインフラストラクチャー、FRAC・現代アート地域基金機構
[現代文化のインフラストラクチャー紹介第二弾、FRAC] フランスの文化省支援現代アートセンター紹介に引き続き、Les Fonds régionaux régionaux d’art contemporain、通称FRAC-フラック(現代アート地域基金機構):
アーティストインレジデンス、アーティストミッション
ノール・パ・ド・カレ地域文化振興局(DRAC)企画、アーティストインレジデンス、「La résidence-mission」(レジデンス使命) ・プログラム・テーマ A.R.T. : 「Artiste rencontre territoire (A.R.T.) 芸術家が地域と出会う」 現代芸術のあらゆる表現形式において、地域の問題(歴史、アイデンティテイ、土地の歴史遺産など)やランドスケープ(地形、人間、都市問題など)を通して仕事をするアーティストを募集。 ・La résidence-mission」(レジデンス使命): ペイ・ド・コンデ(Pays de Condé)の地方立自然公園スカルプ・エスコー(le parc naturel régional Scarpe – Escaut ベルギー国境)で、「レジデンス・ミッション(レジデンス使命)」を行うにあたり、アーティストは4カ月まるまるこの地域で人々と密接に生活して、すでに出来上がった作品についての創作コンセプトを明らかにしていき、人々の理解と地域の文化的視野を深めるよう努力する。したがって、レジデンスは作品の制作をするものではなく、作品作りに不可欠な、思索、試作、そして実現という芸術創造のプロセスを住民に理解させることが使命となる。 この間、芸術行為の進展について地域の文化関係25団体と接触することが決められている。 ・地域の自然や住民とかかわるに際し、地域の産物、歴史的特質、自然環境、水の問題、エネルギー問題その他都市環境問題へのアプローチも望ましく、現地の教育者、芸術家との接触を契機に、教育、ツーリズム、社会的また文化的環境にかんする積極的な視野が必要になる。 ・DRACと地方立自然公園スカルプ・エスコーの援助金: 総額12000ユーロ(すべて込み)。…
アーティストインレジデンス、公募
artist in residence – ジャン・ゼイ(Jean Zay) 高校企画、2011-2012年度アーティスト・イン・レジデンス公募。ティエ(Thiers)市。 オーベルニュ地域議会、オーベルニュ地域現代文化振興局・DRAC、ティエ市クリュ・ド・ランフェール現代アートセンター(Le Creux de l’enfer – Centre d’art contemporain)、ジャン・ゼイ高校支援、。 ジャン・ゼイ高校でのアーティスト・イン・レジデンス。高校生と一緒にプロジェクトを構築する。テクニックやコンセプトのたて方を一緒に考え、高校生と交流を中心に作品を作ることがレジデンシーで要求される。 外からのアーティスト歓迎と謳っているが、内容的にフランス語は必須。 条件: 2011年12月から2012年3月の間の8週間。グラント5000ユーロ。クリュ・ド・ランフェール現代アートセンターの協力による宿泊設備あり。高校内での展覧会可能。地域や教育、産業に強く結びついたプロジェクトであること。応募書類は、紙面によること。DVDやCD、また電子メールでの応募は受け付けない。 日程: 2011年9月1日応募締め切り、10月選考・面接。12月1日決定。 書類送付先: La résidence “Faire rentrer la lumière dans les têtes” Le Creux de l’enfer – Centre d’art contemporain 85, avenue Joseph Claussat 63300 Thiers France http://www.creuxdelenfer.net/Residence-d-artiste-au-Lycee-Jean
フランス、現代文化政策の終焉か?
新文化省にみる現代文化政策崩壊のきざし - ニコラ・サルコジが大統領に就任した年(2007)の12月に発案されていた文化省の再構成が、2010年1月13日、実施の運びとなった。それまで10の各文化・芸術分野の専門の管理局があったが、4つにまとめられて「見通しの良い管理構成を持つ目的で」あたらしい文化省が発効した。(政府の文化エキスパートの放逐と文化行政部の縮小とみられる。) 新たな文化省の構成は以下のとおり。 ・Le secrétariat général(事務総局)、 ・La direction générale des patrimoines(文化遺産局)、 ・La direction générale de la création artistique(芸術創造局)、 ・La direction générale des médias et des industries culturelles(メデイア・文化産業局)、 省間庁: Délégation générale à la langue française et aux langues de France(フランス語とフランスの言語総合庁) 地域の文化省: ・Directions régionales des affaires culturelles(DRAC 地域文化振興局) ・Services départementaux de l’architecture et du patrimoine(建築文化遺産に関する県内サービス) ・Les établissements...
れきしの点と線 - デコンサントラシオンと文化
1969年、文化の地方分権化の始まり。 La Déconcentration – ラ・デコンサントラシオン: 文化省の中央集権的政治および事務的構造を、地域に《地域文化振興局- Directions régionales des affaires culturelles/ DRAC》を作ることによって、文化行政が地域へ出現し発展するよう発想されたもので、アンドレ・マルローによって1969年、地域3箇所に初めて地域文化振興局がおかれた。 この文化省のブランチDRACの存在によって、文化省は地域へアンテナを伸ばすことができ、かつ地域議会の文化予算に対応する予算の注入への配慮などの、中央と地域のバランスがとれていくことが期待された。 フランス国内は22の地域に分割されている。それを考えると、マルロー時代、3箇所のDRAC設置は、まったくのはじめの一歩というべき象徴的な出来事というだけにとどまり、全国に文化省の力を敷衍するまでにはいたらなかった。 1976年(ヴァレリー・ジスカール=デスタン大統領、ジャック・シラク首相)、Françoise Giroud(フランソワーズ・ジルー)が文化付閣外大臣(文化は省から閣外の局レベルに格下げされ、大臣は閣外大臣と呼ばれる)となり、短い任期中、地域文化振興局DRACの設置を制度化する条例を制定した。 ジスカール=デスタンはヨーロッパ共同体へ傾倒し、シラクはデコンサントラシオンを理由に、文化省を閣外に落としたという。財政の地方分散で文化も地域の采配に任せたという話だが、地域は自立して活動を行うまでにはいたらなかった。フランソワーズ・ジルーはこの政権下で女性の解放、平等化などへ尽力し(1974-76)、文化への思い入れのある政治家の希少なこの時期の政府の中で、文化の夢に「固執して」DRACの条例化をすすめた(1976-77)という。 La Décentralisation – ラ・デサントラリザシオン: 1982年83年(ミッテラン大統領、モロワ首相)制定の地方分権法。中央の権威や能力を地方へ分散させ、地方共同体との平衡を図る法律。この法律は政治司法、産業その他全般にわたるもので、文化も当然ここに含まれる。文化において80年代は、政府の積極策と地方共同体の熱意が功を奏し意思疎通がうまくいっていた時代であった。また文化省から地域へ配分される予算の増加とともに、DRACの体制が強化された。 1992年2月6日および7月1日、行政管区におけるデサントラリザシオン憲章設立。地方へ分散した権威に活動の権限を優先して与えることを謳ったもので、文化もこの優先権の逆転により、大いに性格が再検討され塗り替えらることになった。 したがって文化においてラング文相時代は、中央の文化政策を地域で行い地方共同体の世話をするエキスパートの役を担うというDRACの機構が実質的に形作られた時代ということができる。 (Extraits de: “L’Etat et la culture en France au xxe siècle” Philippe Poirrier, “Le lancement de la déconcentration” André-Hubert Mesnard)
現代文化、れきしの点と線 - 芸術1%
芸術1%(アーティスティック1%)とは、公共建造物の建築あるいは改築改造などが行われる場合、その建設バジェットで環境に見合った美術作品を制作あるいは買い上げることを取り決めた政令のことをさしている。 歴史:フランスでは1951年からこの制度が出現しているが、80年代の新文化省は1%アーティスティックを、文化省が決めたインスティテュートとはまた別の「アートと一般が接する」プロジェクトであり、「アーティストの生活と税制ステータスを助けるシステム」と改めて明確にし、まずは造形芸術庁(DAP: Délégation aux arts plastiques)がこれを采配した。ちなみに造形芸術庁は、1.芸術創造の支援システム、2.現代芸術を将来の国の財産として買い上げていく、3.あらゆる方向の芸術が生まれる可能性を増やすための活動サーキットの創造と増幅、のおおよそ三つの大柱を中心に推進し、80年代半ば国立造形芸術センター(CNAP: Centre national des arts plastiques)を作り、造形芸術庁と連携したかたちでその活動を現実へ向けて立体化している。 1990年代は1993年の経済恐慌の痛手に伴い建設計画も激減し、数少なかった1%プロジェクトはいよいよ水面下にもぐりほとんど公募が消滅した感がいなめなかった。 21世紀にはいり、ようやく2002年、シラク(保守)政権下ジョスパン内閣(社会党革新派中心、1986年とは逆のあらたな保革共存時代)が改めて1%に関する政令を見直した。このとき、1%の管理はDRAC(Direction régionale des affaires culturelles 地域文化振興局-各地域に設置された文化省管轄の文化活動支援局)に渡されている。2002年のこの政令は2005年2月4日、ラファラン内閣時(文相はジャン=ジャック・アヤゴン)に改定され、1%アーティスティックを義務制度として再発令した。2006年8月16日に文化省が実際の手続きを全国に通達して今日に至っている。 義務化した1%アーティスティックは2006年以降、当然のことながらプロジェクトの量を増やしつつある。公共建造物は国のみならず、地域(Régionと呼ばれる数県をまとめた地域のことで、関東地方や関西地方のような分割に当たる)、県、市町村が所有するものが多い。たとえばフランスの公立学校の管轄を例に挙げると、高等学校は地域、中学校は県、小学校・幼稚園は町が管理し、新設校の建造や旧校舎の再建はそれぞれの管理者が行うきまりとなっている。そうした教育施設の新築再建築に伴い発生する地方の1%を、当初は文化省の地域担当官であるDRACが引き受けた。しかし今日は、文化省にたよらず、地域議会や県議会が独自に1%プロジェクトを采配するところが増加しており、そうした公共団体は直接一般へ公募でアートプロジェクトを募っている。 地方の自立傾向は、こうした1%プロジェクトのアート選びにも見受けられる。これは政府が文化のみならず、政治その他の体系を分権化(Décentralisation, Déconcentration)しようとして長年政策を進めた賜物のひとつといえるだろう。 2008年あたりから、1%アーティスティック・プロジェクトのバジェット増加が少しずつはじまった。物価高騰によるところが大きい。