フランスから―環境とアートのブログ

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環境、あれこれ

アクチュアリティ、環境 [ウィークエンドは全国的に渋滞] 7月最後のウィークエンドは、バカンスから帰る人とこれからバカンスに出る人たちの車で全国の幹線道路が渋滞する。今年も例年通り、金曜の夜から土曜にかけて注意を呼びかけている。「なるべく早くでようと5時に起きましたが、それでもだめですね」とカタツムリ走行。

アメリカの東海岸に漂着する日本の瓦礫

フランス2TVワシントン州特派員報告: 2011年3月11日の日本の津波が沖合いに流出した瓦礫は2000万トンと予想されている。津波から15ヵ月後、プラスチックや靴その他軽いものが沢山混じった瓦礫がアラスカの海岸からワシントン州にかけて大きな範囲に漂着し始めた。すでに、日本の幽霊船化した船やハーレーダビッドソンを積んだコンテナなどがこれらの海岸で発見されて話題を呼んだが、アメリカ当局は次々にみつかる漂着物に懸念を隠せない。現地の人々の手で回収や仕分けが始まっているが、現在のところ放射能は検出されていないという。重量級の瓦礫が漂流する速度などを考えるとここ3年は瓦礫の漂着が続く見込み。 francetv.fr/info/アメリカ東海岸で続々発見される日本の津波の瓦礫 (ビデオ)

アクチュアリティ

ユーロ圏6カ国が発行体格引き下げの監視下に - 負債が拍車をかける経済危機の真っ只中にいるヨーロッパ連合の、現在発行体格をAAAをつけられているフランス、ドイツ、オランダ、オーストリア、リュクセンブルグ、フィンランドの6カ国が、世界市場における格付けを認証するスタンダード・アンド・プアーズ社の監視下に入った。先にスタンダード・アンド・プアーズ社によって、すでにアメリカの発行体格がAAAからAA+へ引き下げられており、今回スタンダード・アンド・プアーズ社は、これから90日を目処に発行体引き下げを決定するかどうか慎重にヨーロッパの行方を監視していく方針だという。ヨーロッパの経済危機が深刻になるなかで、ドイツとフランスがイニシアチブを採りながらあらゆる方策が練られつづけているが、先の見通しがなかなかつかない市場不安に、発行体格の格引き下げの射程内に入ったことでヨーロッパではさらなる危機感が募っている。特にフランスは、AAAからAAに、つまり二段階の格下げが行われるのではないかと危惧されている。 ベルギー、541日ぶりに首相誕生 - オランダ語圏とフランス語圏の対立で首相が辞任してから無政府状態が続いていたベルギーで、541日目の昨日、ようやく新しい首相が就任して政府の国務再開の見通しがついた。新首相はフランス語圏の社会党で、エリオ・ディ・ルポ(Elio Di Rupo, 60歳)。 もう一つの太陽系で、居住可能な惑星発見 - NASAの発表によると、2009年にNASAが打ち上げた探索機が地球から600光年のところにあるケプラー(Kepler)22-bと名づけられた太陽系で、地球環境に似た惑星を発見したと言う。気温は22度あまり。ガスがあり水があることが判明しているが、地球のように硬い地面があるかどうかはまだわかっていない。 (フランス2TV)

アクチュアリティ

経済 - アメリカの株式債権発行体の格付けをするスタンダード&プアーズ社が、アメリカの格下げを決定。世界におけるアメリカの発行体格が史上初、最高レベルのAAAからAA+になり、負債14兆ドルをかかえる未曾有のアメリカの経済危機を象徴することになった。AAAからAA+へ、大きな差は認められないにしてもアメリカおよび世界への大きな心理的打撃はまぬかれない。 株価下落 - 世界の株価が10日連続下落。二年ぶりの最悪を記録。アメリカの負債、ヨーロッパの負債のみならずその背景にある綱渡り状態の経済不安定が大きく影響。 フランスの失業率9.6% - 6月は33000人の失業者増加。272万人の失業者をかかえるフランスは失業率9%を割るのが当面の目標だ。 闘争で荒れるアフリカからの難民激増 - 一昨日、闘争で荒れるリビアから船で逃げ出した難民がNATOの巡視船に見つかった。イタリア領のランペドゥーザ(Lampedusa)島は、地中海のアフリカとヨーロッパ大陸のあいだにあり、アフリカから命からがら出港した難民はひとまずここにたどり着く。今回見つかったリビアからの難民は、寒さと飢えで90人近くが船上で死亡し、生存者が死体を海に投げ込んだもよう。この20年で約2万人がアフリカからランペドゥーザ島を目指してやってきており、難民の救済と同時に移民の受け入れ処理にイタリア政府は頭を悩ましている。アフリカの「アラブの春」闘争と戦争によるヨーロッパ方面への難民は激増の一途を辿っており、こうしてヨーロッパにたどり着く難民はイタリアのみに留まらず、フランス、スペイン、ドイツなどへ広がっていく。 (フランス2TV、BFMTV、8月4日から7日まで)

アクチュアリティ・日本

日本の危機、福島原発 - 原発の現況悪化とその危険を重視し、アメリカとイギリスは、福島原発から現在の直径30kmから直径80kmに範囲をひろげて住民を退避させるよう示唆した。不安を満面に浮かべた福島県知事佐藤雄平氏は昨日記者会見で、放射線の危険を早く回避できるよう、やはり80km圏内の住民の避難を政府に訴え、地震から一週間にもなりながらいまだに十分な援助がとどかず、避難をした人々の飲料水や食料が欠乏した状態が続いていることもふくめ、県民は見放された思いで政府の不十分な対応に苦汁を飲んでいるとつけ加えた。 最後の望みを託して、福島原発第3号機と第4号機を冷却するためにヘリコプターで水を投下する作業が行われている。第4号機は核貯蔵プールの水が減り、核が外気に触れているため、過熱がすすみ激烈な放射線が出ているもよう。水がどれだけ減っているのかはわかっていない。アメリカの専門家はほとんど水が残っていない状態を懸念。水がある限りは核の安定と鎮火の希望を持てると考えられており、外気に触れている加熱状態の核が核融合を起こさないように、必死の水の投下と地上からの放水が昼夜を分かたず行われている状況だ。 日本側は金曜日に、原発の電気を回復させて冷却装置を稼動させたい方針だ。ただし、第3、第4号機ともにかなり破損がひどいので、はたして稼動するかどうか、疑問なのではないか。 フランス政府とEDFフランス電気およびAREVA社は、日本の要請に応えて炉心の冷却剤100トン、また原発作業用の特別作業服・手袋・マスクなど一式を数万部日本へ送ることを決定した。また、東京周辺にいるフランス人3000人に甲状腺のための安定ヨウ素剤を送る。 放射能の危険を回避するために 、在日フランス人の本国送還をフランス政府が無料チャーター機で行っており、毎日運行して送還を急いでいる。現在、日本にいた9000人のフランス人のうち半数ほどが帰国したもよう。「職場の同僚を見捨てて帰ってきたことが辛いです。フランス政府が無料で飛行機を手配すると言ってきてくれたので、飛行機に乗ってしまいました」とパリ空港に到着したフランス人がもらした。 アメリカ人も同様、アメリカ政府の意向が強く続々と日本を離陸。またイギリス議会は、在日イギリス人のみならず、在韓のイギリス人もイギリスへ戻すよう討議した。 津波の災害を中心に外国のレスキュー隊が救済活動を続けているが、寒さと雪、瓦礫のなかで困難を極めている。イギリスのレスキュー隊は、放射能の危険を早めに察知するため、各人がガイガーカウンターを携帯して救助活動を続行中だ。仙台で救助活動をしていたフランスレスキュー隊100人は北上し、津波でいまだに陸の孤島となっている村へ向かうことになっている。「何百キロ平米というはてしのない瓦礫の平野に胸が詰まる」とフランスレキュー隊。 日本人も小さい子供を持つ母親は、大阪方面へ疎開している。フランスのメディア・ジャーナリストも福島から240kmしか離れていない危険な東京を逃れ、大阪へ移動した。 対応の知識について: ちなみに被爆を早めに察知し、ぬるま湯のシャワーを浴びて放射能を洗い落とす場合、体をこすったりせず、また髪などももみ洗いをせずお湯を流すだけにとどめることが肝要。きちんと洗浄すれば約80%の放射能を落とすことができるという。 また、甲状腺は特に4歳以下の子供が非常に脆弱で、はやく子供を放射線の危険から遠ざけなければならない。 (フランスTV、BBC、Skynews、フランスアンフォ・ラジオ) My opinion: フランスTVやBBCは、今回の津波の災害で避難した人たちが、雪解け水で手を「久しぶりに」洗い、また片方では「6日も髪を洗っていなくて気持ちが悪い」という若い男性を映し出していたが、少し前まで経済大国で何でもあり、また何でもできると思っていた日本が、歴史的な大災害とはいえ、一週間たった今もこれだけ対処ができずにいるかと思うと情けない気持ちになった。アメリカのブッシュ大統領が暴風雨カタリナの災害時に対処が遅れてずいぶん非難されたが、人のことは言えない。ことに、食料・水といった最低限の物資供給や、原発の危機から住民を非難させることもかなり後手になっていると思うのは私だけだろうか。必要物資の大量収集、大量運搬のための手段や人間の収集といった連携をとることに時間がかかりすぎている。こうした大災害に際して、国を挙げてあちこちに気を配って動かなければならないときに肝心の手段が即座に利用できないでいる政府をみると、もう国がイニシアチブを取れないほど小さくなりすぎてしまったのではないか、と思ったりせざるを得ない。 一番気になるのは原発周辺の住民の行方だ。1986年のチェルノブリイ事故のとき、激烈な放射能のなかで作業をしたヒーローをリキダター(粛清屋)と呼んだ。そのリキダターを指揮した人がまだ生きている。「あの事故で今一番後悔しているのは、子供たちの避難をさせず、36時間もそのまま何もしないで放っておいたことだ」と悔悟していた。被爆した子供はみな白血病やガンなどを発病している。 政府は手遅れにならないうちに早く救える人を救わなければ。(S.H.)

アクチュアリティ

国外: リビアの政情ますます悪化 - カダフィーはリビアから退く意向が一切ないことを表明。リビアの運動家の国際援助の呼びかけに応え、800人の海軍兵を乗せたアメリカの軍艦および空母がスエズ運河を通過してリビアに向かったが、カダフィーは抗戦するかまえを見せ、「何千人もの死者を出す現代のベトナムになるだろう」と発言した。リビアではすでに6000人の死者が出ているという一部の報道がある。イギリスはアメリカに追随して戦闘準備。フランスは医療物資を空輸するにとどまっている。 クレムリンのゴルバチョフ - 今年80歳になるミカエル・ゴルバチョフの生涯を語る展覧会が開かれている。300枚の写真は、青少年のころのゴルバチョフや冷戦時代からグラスノスチ、ペレストロイカなど、鉄のカーテンが崩壊する時代が紹介されている。若い参観者は、「ゴルバチョフが何をやった人なのか、あまり良く知らないので勉強になりました」。いまの教育の現場では。現代史を教えないという。東の壁が崩れて20年経ち新世代に半分忘れられたゴルバチョフではあるが、一昨日ロシア政府から最高の勲章を受章している。 フランス国内: 物価高騰 - 中近東の政府転覆による政情不安と最大の原油輸出国リビアの一触即発の緊張した状況で、ガソリンが高騰。2008年以来のオイル・ショックと呼ばれ始めた。また、インフレがひどくなり、第一次産業の原材料の物価も上昇。ちなみに小麦粉は15%、食用油6%、コーヒー15%から20%の値上げ。 回転寿司、ファーストフード並みに - フランス人の生活習慣が激変し、昼の休み時間が少なくなったことから、手っ取り早く食べられるファーストフードやスナックがこのまれるようになった。なかでも寿司バーが大人気となり、マクドナルドなどのファーストフードは全国1700軒あるのにたいし、回転寿司や寿司バーは1580軒と、急激に軒数が飛躍。あちこちの回転寿司は、昼休みは満員だ。ちなみにその秘密は、ノルウエーからの養殖鮭が安く大量に輸入されているのと、米の値段が小麦粉よりかなり安価で、寿司一個あたりの利益が大きいのが一つと見られている。(フランスTV)

職業の自由ということの大きさ

2003年にアメリカ、ニュー・ヨークに行った。このとき、目から鱗が落ちるように再認識したことがある。それは、アメリカでは外国人が(といってもアメリカは外国人でつくられた国なのだが)、渡来一世ですらも自由に職業をえらび、あるものは管理職につきまたは教師になり、社会的ステータスをその人なりに持っておおらかに人生を謳歌していることだった。フィラデルフィアのペンシルバニア大学で学部の主任教授をしている日本人から話を聞き、クィーンズ・ミュージアムの専任アソシエイト・キュレーターとして仕事をしている日本人女性と出会い、ニュージャージーの大学の大学院を出たばかりで大学のギャラリーのディレクターに抜擢されたという日本女性に会って、彼らの自然さや満ち溢れた自信に出会った。2人の女性はともにアメリカに来て10年しか経っていないという。フランスではまったくありえないことを目の当たりにして驚嘆した。アメリカで見た「職業の選択の自由」。そんな大事な自由の一つを、フランスの20年の生活ですっかり忘れるほどになっていたことに、われながら呆れかえってしまったのである。 アメリカには永住権が存在することも職業の自由に大きな影響があるのかもしれない。 フランスは国にとって過客に過ぎないエトランジェに対し、フランス人だけが就ける職業という法律を制定することで、ある一線から常に外国人を締め出してきた。「そこいらへんで道路工事をしている外国人は、ひょっとしたら教師の資格を持っているかもしれないのに、フランスではあんな仕事しかできないでいるのよね」と、私のかかりつけの眼科の女医がもらしたことがあった。フランスでは、アメリカでよく聞く能力やその努力の証明となる「資格」という言葉をあまり聞かない。フランスは「権利」という法に照らした言葉のほうが好きだ。私は権利があるがあなたは権利がない、と言ってしまえる簡便さ。そんな国では、能力や努力の一切は別の世界のこととなるのである。(S.H.)

有色人種の政治家誕生、2007年

さてフランスの政治の話である。 フランスがアルジェリアを独立させた1960年代、アルジェリアを含めフランスの旧植民地のアフリカ人たちが大量にフランス国内へ流入してフランスの職業を脅かし始めたため、フランス政府は慌てて政策を立てたというフランスの労働法に関するTVの歴史番組が数年前にあった。おっ、これは大事、と思いながら番組を見たが、録音もせずまたメモもしなかったため、このとき制定された法律の名前も制定年もはっきりしないのが残念至極である。しかしここでは今のフランスを説明するのに重要と思われるため、あえて引用をしたいと思う。 1960年代に制定された労働法に関する法律とは、雇用について、「フランス人でなければならない職業」を分別し明文化したもので、あらゆる職種をこと細かく分類し、全職種の20%以上の職業、殊に、教育、政治、公務員管理職、公社の管理職、医療、司法その他、指導的立場に立つ職業に就く者はすべてフランス人でなければならない、という内容で成立したものだ。職種の「20%」というのだが、当時のフランス社会は公務員社会という形容にふさわしく、国が大多数の株を所有して采配していた大手企業はもとより、私企業は少数派にすぎなかったため、就職口の絶対数から言えば、フランスの大多数の雇用がかかわっていたとみなさなければならないだろう。こうして法的に一線を設けることで、フランスは外国人の侵略からフランス人の雇用を保護した。…

黒人ジャーナリスト誕生

フランス初の黒人TVジャーナリスト登場は2006年 ここ4、5年のフランスの目だった変化のひとつに、報道関係や管理職、また政治に有色人種が登用され始めたことが挙げられるだろう。 フランス語の外国人という意味の「エトランジェ」ということばには独特の響きがある。どこか一種、放浪者のような身の軽やかさをかかえた人々を思わせるところがあって、美しくさえ思えたのはフランスに来る前のことだった。フランスに来てからは自分がエトランジェと呼ばれる立場になって、意味するところががらりと変化した。旧被植民地国からの移民や経済移民、また亡命などでフランスには大量の外国人がいる。正統なフランス文化を守ろうとするフランス人にとっては外国人とは何なのか。…

アクチュアリティ

フランスのきょうのニュースで取り上げられている世界のニュース: パキスタン - モンスーンによる災害で6百万人が家を失い路頭に迷うという最悪の事態になった。洪水発生以来2週間をすぎ、食糧もなく、コレラが発生し、パキスタン政府は巨大な被害に手をつかねるままで、アメリカの救援を待っている。 アメリカ - メキシコ湾に原油が見当たらず、オバマ大統領が水泳をしてみせるなどして世間を喜ばせたのもつかの間、大量の原油が混じった全長35km深さ1000mというの海水の層が発見された。バクテリアが原油を食べるのを待つという方法論が主体に協議されているようだが、どのくらいの期間かかるか見当もつかない。アメリカの海洋学者たちの意見では、流出した原油の80%は回収されていないという。BPによる壊れたパイプのボトム・キルもまだ完全に終了していないもようだ。

Day 80 -原油汚染

メキシコ湾原油汚染。責任は誰に? Who’s to blame ? msnbc, us news : http://www.msnbc.msn.com/id/21134540/vp/38157093#38155995

Day 79、メキシコ湾原油汚染

広がる汚染へのりアクション、対策は?MSNBC us news playlist: http://www.msnbc.msn.com/id/21134540/vp/38137327#38115125

Day48、原油汚染

アメリカのメキシコ湾の原油汚染が320kmに渡ってひろがっているとフランスのきょうのニュースが伝えた。アメリカのNBCニュースには、分厚い原油の波の中でもがいているペリカンが幾度もまた何羽も映し出されていたが、悲惨な汚染のニュースの中で目を引いたのは、海岸周辺の住民のプロテストだった。さながら無名戦士の墓地のように、今作ったばかりといったかんじの白い十字架が何本も空き地にならび、その上に黒々とペンキで書かれているのは死んだ人の名前ではなくて、「Fishing」、「Pelicans」、「The Beach」・・・。端的にまた簡潔に、海辺の生活と自然が死ぬ悲嘆を表現していて、なんとも胸が締め付けられるサイトスペシフィック・インスタレーションだ。(S.H.)

USA原油汚染

41日間、毎日毎回、フランスのニュースが時間を割いて追いかけているニュースは、アメリカのメキシコ湾の石油汚染だ。もちろんフランスだけではなく世界中が注目している史上最大の環境汚染であるが、どういった方法で油田からの噴出が食い止められ、将来この海をどんなかたちで浄化できるのか。失われつつあるこの海の原形は、いったい取り戻せるのだろうか。ほんとうの意味で人間の最先端科学技術の真価が問われるのは、こうした自然を相手にしたときなのではないだろうか。 メキシコ湾海底油田の原油汚染ビデオ。BPのトップ・キル作戦失敗 - Video from ITN NEWS (UK) : US oil spill ‘top kill’ efforts fail 「アメリカ政府はなぜ、驚くほど無力?」と、きのうのニュースはなぞを伝えようとしたが、ワシントンのフランス駐在員の説明では、どうも石油会社BP に事後処理責任をすべてとらせようとしたことが現状のおおもとらしい。BPは実際、何度も食い止めようとした方策が失敗した。「元から危険とわかっている海底油田開発にかんし、BPは何も事故対策を持たないアプランティ・ソルシエ(魔法使いの見習い)だった」とはフランス2・テレビの発言である。アプランティ・ソルシエとはフランス人がよく使う比喩で、自分の魔法がかってに一人歩きして止められなくなる、自分の能力以上のことをして災害を招くことをいう。 1989年3月、エクソン・ヴァルデーズの180000トンの原油を積んだタンカーが事故を起こし、原油がアラスカの海を汚染した。この事故の際も動物とその環境が大きな被害を受けた。アシカの群れが油の海に取り巻かれてないているのをテレビのチョッパーが映し出し、それだけで胸が痛んだが、「それだけで」とここでいうのは、アメリカのエコロジストが10年後、取材でアラスカを訪れ、海岸の石を拾い上げてみると、その下はまだ真っ黒な石油が層をなしていて現実の汚染のありさまをまざまざと見せつけていたからだ。 BPのメキシコ湾事故では、トップ・キルの失敗で原油の噴出量が増え、一日2百万から5百万リットルという原油(フランステレビ発表)が流出している。BPがほかのストラクチャーをつくりそこから原油をくみ上げるとしているが、くみ上げステーションができるのは8月だという。またすぐにでも応急手当はするという話しだが、今までの失敗からするとバンドエイド程度のものだろう。ステーションができる8月まで、いったいどれだけの原油がどこまで汚染するのだろうか。 ABC NEWS 5月31日付 「1億700万ガロン流出」(English version)