パリ国立高等美術学校、いわゆる「ボザール」の学長ニコラ・ブリオー(Nicolas Bourriaud)が7月3日、フランス文化大臣フラー・ペルラン(Fleur Pellerin)と芸術創造総事務局長のミシェル・オリエ(DGCA Michel Orier)との35分の会合の後、突然学長職から退くよう言い渡されたことで、美術関係者や学生の間から大きな不満の声が上がっている。
ニコラ・ブリオーは2000年のパレ・ド・トーキョー開館に尽力したディレクターの一人で美術批評家としてもよく知られ、2011年からパリのエコール・デ・ボザールの学長に就任し「時代の要求にあわせるべく」学内改革を進め、昨年任期更新を終えたばかりで、今回の更迭はいわれなき青天の霹靂。学生たちは「馬鹿扱いされた思い」と形容。現代アート作家らは結束して文化大臣に更迭取り下げ要求の手紙を宛てるなどし、美術関係者のあいだから署名運動が広がっている。
問題はこの突然の更迭宣言のすぐ後、文化大臣が「文化省の政策に、より見合う方向性をもたせる」目的で、7月21日をデッド・ラインとした後任の学長募集を始めたことだ。応募期限まで2週間という非常に短いあいだに学長に就いた場合に行うボザール改革案を捻出しなければならない。「たった2週間でプロジェクトを創出できるものがいるはずがない。いるとすれば、前からこういうことが起こりうることを知っていたものだけだろう」、つまりグルになって仕組んだ者にしかできないはずだ、と憶測を呼ばずにはいられない状況だ。
ANdEA(国立高等美術学校協会、2012年設立、前身はANDEAで国立高等美術学校学長協会:仮称)は、「突然の決定(更迭)は、まったく破廉恥で非人道的、無責任もはなはだしい」とし、「7月2日発行7月21日締め切りの学長募集は時期的にも最悪(学年末が過ぎて)で、これでは質の高い候補が集まるとは決して思えない」としており、異常な事態への驚きがうかがい知れる。一方で、すでに更迭の時点で、キャナール・アンシェネ紙が、現在ヴィラ・メディチの館長エリック・ド・シャセイの名前を次の学長になりたい人間として挙げるなど、いち早く舞台裏が暴露。同紙によると、エリック・ド・シャセイ夫人が映画界のジュリー・ガイエと友人で、このジュリー・ガイエ(オランド大統領の親密な友達)の差し金によるものか、というものだ。
ニコラ・ブリオーは昨日のボザールでの演説で、「書類に署名をしない限りは、まだ私は学長だ」とつけ加え、これまでの学内改革の進捗状況を発表した。
・ル・フィガロ電子版:http://www.lefigaro.fr/culture/2015/07/06/03004-20150706ARTFIG00245-l-eviction-du-directeur-des-beaux-arts-fait-des-vagues.php (引用:Or, ce dernier, directeur de la Villa Médicis à Rome jusqu’en septembre, est marié à l’actrice Anne Consigny, une proche de Julie Gayet. De là à dire qu’Éric de Chassey est «un copain de François Hollande» et qu’il doit son poste au «Château», il n’y a qu’un pas que la presse s’est empressée de franchir. Bon nombre d’articles illustrent d’ailleurs «l’affaire Bourriaud» par une photo de Gayet. Historien de l’art,a été nommé en 2009 par Nicolas Sarkozy, puis renouvelé en septembre 2012 par François Hollande contre l’avis d’Aurélie Filippetti, alors ministre de la Culture. En janvier 2014, de Chassey avait tenté de nommer Julie Gayet au jury de la villa Médicis, avant que le ministère ne se refuse à signer l’arrêté.)