フランスで、誰が飛ばしたか不明のドローン(無人操縦機)が12の原子力発電所の上空を飛行していることが分かり、危険を察知した当局が調査を進めている。2014年10月31日、19時から零時のあいだに新たに5箇所の原子力発電所でドローンの飛来を確認。(Francetv info)
この金曜日にドローンに原子力建屋の上を飛行されたのは、ペンリィ (Seine-Maritime)、フラマンビル (Manche)、サン・ローラン・デ・ゾー (Loir-et-Cher)、ダンピエール・エン・ビュルリィ (Loiret)、フェッセンハイム(Haut-Rhin)の5箇所で、この数日間に確認されたドローン出現と同じ手口と考えられる。もう一機のドローンがベルビル・シュル・ロワール原発にも近づいた形跡があるが真上を飛ぶことはなかった。タルヌ・エ・ガロンヌ原発と同様、ペンリィ原発はすでに前日の木曜にもドローンの飛来を受けている。10月のあいだにドローンが来たのは、解体作業中のクレ・マルビル原発(Isère)、グランブリヌ(Nord)、カトノム(Moselle)、ル・ブライエ(Gironde)、ル・ビュジェ(Ain)、ショーズ(Ardennes)、ノジャン・シュル・セーヌ(Aube)の7箇所に上るが、憲兵隊広報は取り立てて原発への脅威は無しとして、ドローンの捕獲はしなかった。
問題は誰が何の目的でドローンを飛ばしたかで、謎は解けていない。セゴレーヌ・ロワイヤル環境大臣は「今のところ何の情報もない」と表明。一方、専門家たちからはさまざまな憶測がなされている。パリ政治学院のファブリス・エペルボワン教授は、原発反対派が原発のセキュリティ・システムの不備を知らしめるために飛ばしたものではないかとしているが、グリン・ピースや脱原発協会は、事件への関与を否定。また、ドローンを製作する会社などが単なるコマーシャルとして飛ばしたものかもしれないとする説もあるが、こうしたデモンストレーションは刑法に抵触し、一年の禁固刑と7万5千ユーロの罰金を科せられることになる。また、ドローンの種類がまちまちであることなどから、インターネットなどのソイシャル・ネットワークで呼びかけた全国にまたがる悪ふざけではないかという向きもあるが、推測されるネット上での呼びかけなるものについては何も見つかってはいない。
EDFフランス電気会社は何の被害もないとし、環境大臣は「原発の安全対策はこの種のものに対して十分に堅固である」とつけ加えた。飛ばされたドローンは小型のスマートフォンくらいのもので、落下しても何の被害ももたらさないし、爆発物などを運びながら飛べるような代物ではないからだ。しかしながら、これらの表明に賛同するものばかりではない。ONGのグリンピースは「リスクを過小評価してはいけない」とし、ほかの専門家からも危惧する声が飛んでいる。ドローンは300メートル先からリモートコントロールが利き、テロ目的で爆発物を運ぶ可能性も秘めており、遠隔操作の利くドローンへの対策強化は再考する必要があるとしている。
ドローンが出現したフランスの原発地図。