子供の貧困、という表現が昔から存在していたのかどうか私には分からない。教育は義務と権利だから受けられるが、給食費が払えない、文房具が変えない、服が買えない、ひどい場合は自分のうちが水も電気も止められて風呂にも入れないから学校にくるのが恥ずかしいなど、身辺のひけめからくる登校拒否、友達と同じ話題に入れない等が原因になるいじめなどが起き、学業が遅れますますひどい状況へ陥っていく子供たちが、なんと16.3%、つまり、6人に一人いるのが今の日本の社会だという。子供の貧困とは、子供のいる家庭の貧困のことだ。家庭の貧困が子供の貧困をもたらすのであって、その過半数66%をしめる家庭が母子家庭なのだそうだ。2014年現在の16.3%とは、例えば一学級42人の生徒のうち7人がこうした貧困に当たり、その数は過去最悪を記録した。OECD(経済協力開発機構、Organisation for Economic Co-operation and Development, OECD 本部はパリ)加盟先進国のうち日本の順位は下から数えたほうが早いのだ。

FNNニュース、2014年8月29日のニュースから:

子供の貧困、過去最悪、計算方法
一人親世帯の貧困率 働いていても働いていなくても半分が貧困

ユニセフ集計、OECD加盟先進国の子供の貧困率比較 PDFはこちら

2013年のユニセフ調査は、「今回の調査で日本の順位がいちばん低かったのが、物質的豊かさの分野です。日本は31カ国中21位(下から11番目)で、子どもの貧困の問題が、先進諸国の中でも深刻な方であることが、あらためて明らかになりました。それぞれの国において貧困状態にある子どもの割合を示す「相対的貧困率」は、14.9%で、下から数えて10番目。また、貧困の深刻度を示す<貧困ギャップ>では、さらに順位を下げ、下から6番目となっています。さらに、子どもの実際の生活水準を比較するために用いられた「子どもの剥奪率」(8品目(本文参照)のうち2つ以上が欠如している子どもの割合)においても、下から11番目と、相対的な所得、物質的剥奪のいずれにおいても、日本は下位に位置づけられる結果となっています。」というが、2014年は14.9%から16.3%へ上昇しているため、順位は更に転落していると考えられる。

子供の貧困率 OECD ユニセフ調書

My Opinion: 子供の貧困率の悪化は、貧困家庭の増加のこと。母子家庭が一番ひどいのは、①託児所の施設の貧困、②女性の非正規就業で給料が低いばかりでなく、将来の無い使い捨ての労働が多いことなどの、社会施設の遅れ、女性雇用の酷さが大きくのしかかっているため。子供の貧困は貧困にあえぐ子供の学業に大きな影響を与え、精神面でも苦痛を強いる。社会の貧困がこれだけ深刻に増加していて、何が軍備拡張だ(安倍政権は3年連続軍事費増大)。戦闘機一機で何人の子供が救えるか。日本の未来は社会が、そして政治がすべての子供を平等に育てていくことにかかっているのではないか。

ユニセフのランキング表を良く見てみよう。なんと最悪から二番目がアメリカだ。アメリカの子供の貧困は、数年立てば青年の貧困。困窮して教育を受けられなかった青年の行き場は軍隊、ということらしい。ちなみにアメリカの徴兵制についての議論を見ると、「志願兵制では就職先または除隊後の大学奨学金を求めて、経済的に貧しい階層の志願率が高い」ために、経済状態にかかわりなく徴兵する徴兵制を導入したほうがいいという意見があるという。教育も受けられないから資格もない、困窮した若者がすがりつく就職口が殺し合い、などという世界に決してならないようにしてほしい。(S.H.)