[大産業化する原発解体] フランス原発58機の廃炉解体費は320億ユーロ(フランス財務省試算)
“Retour à l’herbe”(草への回帰)とは、原子力発電所を解体して、土地を自然に返す意味。
フランスの大会社VEOLIA(ヴェオリア)が今日、原子力エネルギー委員会(Commissariat à l’énergie atomique/ CEA)と、CEA管轄下の発電所や研究所などの原子力設備の解体事業を受け持つことで合意し、調印した。…
VEOLIAは、もともと水道、浄水、清掃、エネルギー・サービス、運輸関係を全国的に牛耳る株式会社で、現在は原子力関係はごく一部の部門にとどまるが、これからは解体する原子力施設の調査と評価、解体、廃棄物の仕分けと容器への貯蔵など、解体作業の全般にわたって資質を開発する意向だ。
VEOLIAグループ代表アントワンヌ・フレロ氏は「3、4年もすれば、年間3から4億ユーロの年収となる」と明言した。世界的規模で見ると、これから20年30年のあいだに、約300の原子力発電所を解体する計算となることから、フランス国内だけではなく世界市場へ必要不可欠、かつ、産業としても有望なものになると確信する。「フランスで役に立っていれば、世界市場でも必ず必要にされるようになる」とも。
これから20年のあいだに、世界の原子炉解体費用は全体で2000億ユーロ(24兆円)を上回る。そのうちの320億ユーロはフランスの原子炉58機全部を廃炉としたときに必要とする費用(フランス財務省算出)。「非常に近いうちに、廃炉産業は大きな市場となるはず」と、すでに近未来の競争率の激しさを思わせる発言をした。
VEOLIAと原子力エネルギー委員会CEAの協定の最初の対象は、CEAが管理する二箇所で、ブッシュ・デュ・ローニュ県のカダラッシュ原子力研究所と、ガール県のマルクール原発(1954年建設)。
VEOLIAはすでに福島第一原発事故で破壊された除染システムのかわりに、アレヴァ(ALEVA)と協力して汚染水の除染システムを導入した経験を持つ。(Les Echosの記事)
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EDFフランス電気会社は現在、原子力発電所の9機を解体中で、2040年までかかる予定だ。