[年収百万ユーロ以上の所得者への重課税に、「待った!」]
フランソワ・オーランドの大統領選挙の際、フランスの経済危機を救うために二年を期限に、年収百万ユーロ、およそ一億円以上の所得者を対象に、税金を75%増やすという公約をしたが、憲法評議会(Conseil consitututionnel)が年末の12月29日、待ったをかけた。理由は、課税はすべての人が公平にかけられるべきとした憲法に抵触するというもので、評議会がオーランド公約の特別課税法に対し検閲をかけたかたちだ。経済政策方針もあり、いまさら課税率をもとにもどすわけには行かず、エロー首相は直ちに会議を開いて対策を練るが、数ヶ月はかかる見込み。…
評議会によって明らかにされた問題は、申告する家庭の納税者の所得合計への課税は据え置き(例えば夫婦で90万ユーロずつ稼いでいて合計180万ユーロの収入があっても課税対象にはならない)であるにもかかわらず、納税者個人が百万ユーロ以上の所得であれば(例えば配偶者が収入ゼロでも)、課税対象となるといった課税方法に偏りがあることにある。
フランソワ・オーランドが年収百万ユーロ以上の所得者に75%の増税をする公約をして以来、フランスから富裕者が続々と脱出し、最近はベルギーの国境に家を購買してベルギーに居を移したジェラール・ドパルデューが、話題に上がった。TVインタビューでフランスの重税を逃れる移住者が目立つことについて訊ねられたエロー首相は、「哀れだ」と発言。この発言に怒ったジェラール・ドパルデューは、パスポートをフランスに突っ返してやると意気込んだ。これに対しロシアのプーチン大統領がG.ドパルデューにパスポートを提供したといううわさが出たが、定かではない。
国の特別法を守らず海外へ逃避してしまうフランス人には、フランス国籍を取り上げるという制裁処置をするという意見もあり、そうした論争を背景にしたパスポート事件ということができる。いずれにしても社会党は、75%の増税は二年を限りにし、その間のみ富裕層の愛国心に頼み、フランス経済危機への明解な参与を促す手段としているが、一方で右派からはこうした課税は「強制没収」に他ならないとした批判が止まない。
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