2012年10月18日、内務大臣マニュエル・ヴァルスは、フランス国籍取得に関する政策を大きく転換し門戸を開くと発表。旧サルコジ政権が取得条件を規制して厳しくし、国籍取得者を大幅に減少させていく方向へあった締め付けへ大きなメスを入れることになる。
マニュエル・ヴァルス内務大臣は、「人々の国への密着度を強め、より一層の国への貢献を目指し」、国籍取得条件を緩和するとして昨日、みずから新たな国籍取得者への書類手渡しを行った。旧サルコジ政権は、フランス国籍を取得する外国人が多すぎるという右派の見解に基づき、10年以上フランスに在住して定職に就いている人のみを対象にし、フランスの文化に対する知識テスト(ブリジット・バルドーは何をした人か?、や、エッフェル塔はどういう機会に建てられたか?、などを選択方式で回答していく)をパスするなどの条件を満たさなければならなかったため、2011年は、66000人が国籍を取得して、前年度から30%の大幅減少を記録していた。
この政策を大きく覆すことを念頭にマニュエル・ヴァルス内務相は、今後毎年100000人へ国籍取得者の増加を目標とすることを公言し、取得条件における各細則を改める。目立つところでは、1.定職についていなくても日常生活に支障の無い程度の最低賃金を確保できること、2.文化テストの廃止、などで、新しい細則に関する通達が各関係部署に配布される。
マニュエル・ヴァルス内務大臣自身、スペインからの移民で、20歳のときにフランス国籍を取得した経歴がある。
国籍取得法改正に対し右派は、「フランスが危機的状況に置かれているときに外国人の国籍取得を促すことなど、自滅的です」(UMPコペ氏)。極右政党のマリーヌ・ルペン氏は、「外国人がフランスの恩恵を被りに外からどんどんやってくる可能性があります。フランス人がやっていくのが精一杯の経済危機の中へやってこられても、彼らの居場所があるわけがありません」など、旧右派政権の指針を覆えす新政策を批判した。
(フランス2TV)
以下は、18日付、ル・モンド紙からの抜粋
フランス国籍を取得する方法について:
・結婚。
・フランスで生まれる。
・帰化。
On peut obtenir la nationalité française par filiation, mariage ou naturalisation. Entre 108 000 et 116 000 étrangers sont devenus français entre 2008 et 2010. Ils étaient 87 000 en 2011.
- Par mariage
Il faut justifier d’un minimum de quatre ans de mariage – cinq ans si l’on n’a pas résidé de manière permanente et régulière en France pour obtenir la nationalité. Entre 2008 et 2011, 16 200 à 21 600 personnes l’ont obtenue.
- Par filiation
Tous les enfants nés en France de parents étrangers acquièrent automatiquement la nationalité française à l’âge de 18 ans s’ils ont résidé en France pendant au moins cinq ans et depuis l’âge de 11 ans. Les autres enfants doivent faire une demande auprès du greffier en chef du tribunal d’instance de leur domicile qui peut la leur refuser.
- Par décret
C’est ce que l’on appelle stricto sensu les naturalisations. Il faut justifier d’au moins cinq ans de présence en France en situation régulière. Il y a aussi des critères“d’assimilation” – dont le niveau de français. Jusqu’en 2010, plus de 91 000 personnes étaient naturalisées chaque année. En 2011, ce chiffre est tombé à 66 200.
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My opinion:フランスはヨーロッパ連合のシェンゲン条約によって、ヨーロッパの人々がパスポート無しで自由に往来し、自由に職に就き、自由に居住することができることになっている。ではヨーロッパ以外の人々はどうするか、ということであるが、規制は非常に厳しいままだ。すでに他のポストでも言及したが、フランスには外国人の「永住権」というものが存在しない。永住してフランス人と同じ権利を持ちたい場合は、フランス人にならなければならない。つまり公的にフランス国籍を保持しなければならない。フランス人と対等なのは、フランス国籍を持っているか、ヨーロッパ人か、この二つということになるわけだ。
フランスは一方で旧植民地からの出稼ぎ、アフリカの内戦からの逃亡者を多くかかえている。逃亡者たちはパスポートが無かったり、市民権が無かったり、そうした「身分証明」がないために普通の生活が営めないでいる人たちが沢山いる。フランスに滞在する権利をもらって滞在の「身分証明書」をもらうこともできるが、期限は長くて10年。国に帰れない人々は住んでいる国が自分の国となることを望むことになるだろう。
さて、私はというと、日本が二重国籍を許すようになれば、フランスでももう少し自由が得られるんだがなあ。(S.H.)