現代アートのアニュアル・大イベント、「モニュメンタ」がフランスの経済危機で縮小か? (フランスTVブログ、カルチャーボックスから)

フランスの現代アートにおける国際的な地位を強化し、できるだけ大多数の人々にさらなる現代アートへの門戸を開くために、フランス文化省の肝いりで、パリ、グランパレを舞台に世界に名だたるアーティストを招聘して個展を開催し始めてから、今年で5年目。2007年アンゼルム・キーファー、2008年リチャード・セラ、2010年クリスチャン・ボルタンスキー、2011年アニッシュ・カプーア、そして今年2012年はダニエル・ビュレンを迎えて行われた「モニュメンタ」。ダニエル・ビュレンの展覧会は入場者数26万人を数え大成功を博した。しかしこのモニュメンタ、どうやら政府の緊縮財政のあおりを食らって縮小の危機に瀕しているもようだ。…

文化大臣のオーレリー・フィリペティは、経済縮小を懸念して、新年度が始まるまで「文化に指一本触れるな」と合言葉のように唱え、また2013年度の「モニュメンタ」展のアーティスト選考については、「近々発表」といっていたのだが、秋も深まりつつあるというこの時期に、次のアーティストはまだ公表されていない。オーランド大統領は緊縮政策を念頭に、教育、内務省、司法省の3省を除いてすべての省が7%の予算削減とすると発表しているが、いっぽうで文化省の削減率を3%にとどめたい意向でもあるらしい。それでもモニュメンタのように目だってお金のかかる催事は、削減の対象になりやすいのは当然のことだ。

2013年のアーティストは、イリヤ&エミリヤ・カバコフが内定している。予算削減の内容が決定するとともに、これまでの会場であったグランパレの身廊部分を縮小して利用するか、あるいはより小さい会場となるか、いずれにせよグランパレの大きなスペースが打ち出す大インパクトが売り物のモニュメンタ展が、経済危機を前に姿を消してしまう可能性が大であることをいなめない。