ロンドンオリンピックが終わり、フランスも日常へ。8月、14日15日のニュース。

[アミアンで暴動]

13日月曜、アミアンで、事故死をした子供の弔いを契機に集まった若者たちが、16時ごろから建物を壊したり車に火をつけるなどの暴力行為を始め、駆けつけた警官たちと激しく衝突した。若者たちは100人ほどに膨れ上がり、警官に向けて発砲する者があり、警官16人が負傷。幼稚園など3軒の建物に火をつけ、街灯などの公共物を破壊し車20台を焼失させるなどの破壊行為におよび、警察との衝突は21時まで続いた。内務省は、この事件を受け、今日はアミアン市に警察や憲兵隊を250人投入して厳重な警戒態勢に入っている。

フランス2TVの夜のニュースに招待された内務大臣マニュエル・ヴァルスは、「フランスの経済危機救済のため、以前から警察の人員削減が予定されていましたが、今回のような国民の安全が脅かされる状況を鑑み、警察の増員が必要という結論を出し、早速配備をするつもりです」とし、フランスで危険地域として国が注視する15地域、合計24の市町村にかんし、地方警察や憲兵隊などの人員増強を約束した。

一方、警察と衝突のあったアミアンの町の一角では、そこに住む人々と警察官との日常について、住民がこう語る。「(警官は)子供たちにたいして暴言や厭味は日常茶飯事です」。「うちの子は、警官に背中を撃たれて、大きなあざが残ってます。何にもしてないのに」。2006年ころからフランスでは、あちこちで似たような暴動がおき始めた。いわば警察も住民に対して暴力で応える悪習慣が身についてしまっている。「数年来続いているこうした悪習慣をなくすことと、日常の警察と市民の関係を良好にすることが先決です」と、マニュエル・ヴァルス。

マニュエル・ヴァルス、Photo: BFMTV

[フランス、経済成長ゼロ]

フランスは2012年下半期始め、経済成長0%を記録した。「0%」とは、「景気後退」をぎりぎり免れた数字。2012年1月からほとんど動かず、9ヶ月間0%。マイナス部分は、消費率-0.2%、工場生産-1%、また輸出の不振が解消できない。

国全体で総括すると、生産向上は望めず、したがって失業者の増加を食い止められない。税金も大きな変動が無く財源は乏しいまま。こうした国の状況に反し、2013年は330億ユーロを捻出しなければならないが、見通しはこの秋となる。

一方ヨーロッパ諸国へ目を移すと、景気後退が目立つ国は、イタリア-0.7%、ポルトガル-1.2%、ギリシャ-6.5%。また好景気の国は、ドイツ+0.3%、スエーデン+1.3%となっている。

[チュニジア、女性の権利を守る大集会]

新たなイスラム政権が、憲法改正案を提出し、これに大勢の女性が反対して抗議デモを行った。というのも、新憲法案の第28条に、「家族の長たる男性の補足的な立場であることを原則として、国は女性の権利を保護することを確約する」と述べているためで、女性は男性の「補足」という表現が、チュニジアの女性たちの大きな反感を買ったからだ。

すでに、チュニジアでは1956年、「男女の恒久的な平等」を約束する法律が成立している。これに反し、新しい政権は、女性を「男性の補足」に貶めようとしており、これまでの法が定める平等の権利を守るため、数千の女性たちがチュニスで抗議集会を行った。「国は暴走脱線して大きな壁に衝突する寸前です。私たちが道に出て抗議をしないと」と若い女性。この法案が審議されるのは2013年2月の予定だ。

[ラジウム通]

パリ郊外のエソンヌ県、ジフ・スュル・イヴェットに、「ラジウム通」という通りがある。ここには1907年から1957年にかけて、医療用ラジウム製造工場があった。ラジウム工場の立ち退いた跡地は住宅地になり80軒ほどの家が立ち並ぶ。最近、この通りの住民に異変が発覚した。
「数年前引っ越してきたんですけど、昨年、私の甲状腺が破裂してしまいました」。除染されたことになっているが、新しい検査で、1㎥の土から400べクレルの放射能が検出された。「問題は土の中の放射能です」。どういった放射性物質がどれだけどの深さに浸透しているかはまったく定かではない。

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<8月15日昼のニュース]>

[アミアン、住民の不安]

暴動から一夜明けてまだ激しい破壊のあとが残っているアミアン市の北地区は、250人の警官が夜を徹して警戒して少しずつ落ち着きを取り戻しつつある。幼稚園など公共の建物が3軒焼き討ちにあい、被害総額は3百から4百万ユーロに上るという。「うちの娘が、ああ幼稚園が焼けてる、といって私に知らせてきました。とにかく幼稚園はこの子にとって自分の家のようなものですから、ショックを受けています」と焼失した幼稚園に通う子供の親。「これだけ焼けてしまうと、もう教室として使えませんし、教材も有毒物質などが発生するような状態になっていると思うので、(建物は)すべて打ち壊して、再建しなおすしか手の施しようはありません」と幼稚園の園長は苦渋を浮かべる。アミアン市は、新学期を二週間後にひかえて園児を近隣の幼稚園に振り分ける方針だ。

一方トゥールーズでも先週木曜日に小さい暴動が起きて怪我人が出ており、今週町の警備の見直しが始まる。

[ようやく真夏日]

今週金曜日からようやくフランスに真夏日が訪れる。アフリカからの熱気が上昇するためで、これまでの雨や冷夏が一気に解消される見込み。フランスの4分の3の地域で、30度を越す。

[福島の蝶、奇形見つかる]

福島第一原発事故から一年半が経った今日、日本の科学者が福島原発付近の蝶を採取し、調査したところ、12%の蝶が、目が陥没する、あるいは羽根が萎縮し変形するなどの奇形があることが分かった。

問題はこれからで、こうした放射線による奇形が発生すると、一代目は12%でも二代目は18%、三代目は34%というふうに代を追うごとに奇形が増えていくことだ。人間に関しては、チェルノブイリ事故のあとの子供の奇形が例として挙げられるが、チェルノブイリの奇形率は他の地域の7倍に上っており、脳障害、がん、特に甲状腺がんや白血病の率が大変高い。

福島においては今のところこうした例は「ゼロ」である。

(フランス2TV)