2010年に通過した美術作品の返還にかんする法律により、きょう、パリの歴史自然博物館に収蔵されていたマオリ族のミイラ化した頭部20体がニュージーランドに返却されることになった。頭部のミイラはマオリ族特有の刺青を奇麗に残しており、民族研究の対象としても利用されていたもの。このたびは18000kmの距離を越えてニュージーランドからマオリ族が、自らの祖先でもありまた歴史的遺産でもあるこれらの頭部を受け取りにパリに訪れた。

こうした美術作品返却にかかわるフランスの弁護士によれば、「ミイラは人間の死体であって、はたして美術作品として考えられるかどうか大いに疑問のあるところです」という。つまり死体の返還として扱うか、美術作品を返却すると考えるかによって大きな違いが出てくる。「ユダヤ・キリスト教的な立場から見れば、死体は死体」で、返却は当然と見る。…

2010年4月に、エジプト、ギリシャ、ペルー、シリア、ナイジェリア、ガテマラ、リビアの7カ国から、それらの国々から違法に持ち出された歴史遺産を保有するヨーロッパ諸国へ、遺産返還請求が行われている。ギリシャはイギリスに対し、英国博物館に収蔵されているアテネのパンテオンから持ち出されたフリーズ(破風-建物の柱の上部に取り付けられた石のレリーフ)の二分の一を正式に返還するよう要求を出し(これに対し英国博物館は、保存状態が最良なのでこのままのほうがいいとして、ギリシャの要求に無回答のようす)、またエジプトは、ドイツの博物館に収蔵されているネフェルティティの胸像の返還と、イギリスにあるロゼッタ石の返還を要求した。

盗掘や盗難された古代遺産や美術品にかんし、エジプト博物館の元館長が、「欧州の美術館や博物館が、盗品を買わないようにすることがわれわれの国の歴史遺産を保護することになります」と訴え、売買にもっと注意を払うように呼びかけている。

一方フランスは、2002年に南アフリカへやはりミイラを一体と蝋でミイラの生前の姿を再現した彫刻一体を返還した。ところでちなみにコンコルド広場にあるオベリスク。これは、1830年にエジプトのリュクソール寺院にあったものをエジプト国王から贈呈されたもので、盗品ではない。(フランス2TV)