海面上昇の鍵、グリンランドの氷帽が消滅し、再生不可能に

グリーンランドの陸地を覆っていた氷河(氷帽)はすでにこれまで温暖化で非常に縮小していたが、とうとう回復不可能なところまで融解したことがわかった。たとえ地球温暖化が今日止まったとしても、氷河はリカバーできず、近い将来海面上昇へ深刻な影響を及ぼすことになる。

8月13日木曜日、『地球と環境のネイチャー・コミュニケーション(Nature Communications Earth and Environment)』に、グリンランドの氷河の融解が危険レベルを超えたという報告書が発表された。科学者たちは過去40年間、衛星データ研究によりグリーンランドの200を超える氷河の変化を観察してきた。夏の間露わになる山肌は、新雪が積もり新たな氷帽が形成されていくのが常であるが、地球温暖化による氷帽の融解で、こうした新雪による氷帽の再生が不可能なところまで来たのだという。

「氷床は現在、新しい動的な状態に入り、今仮に20年または30年前の気候に似た気候に戻ったとしても、降雪はすぐに消えるだろう」とオハイオ州立大学の共著者で教授のイアン・ハワット氏。

1980年代及び1990年代、グリンランドは毎年平均4500億トンの氷を失い、ところどころ降雪がそれを埋めた。2000年代以降、これらの同じ地域で毎年約5,000億トンの氷が消滅したが、降雪がそれを埋められず、多くの場合氷冠の損失は回復しているとはいえない。

海面は予想以上に上昇する可能性

特にグリンランドの氷床は海面上昇に主要な役割を果たしているので(年間1ミリ以上)、大きな影響が出ると推測される。2019年9月に発表された海洋に関する国連気候専門家(IPCC)のレポートによると、2100年に2°Cの気温上昇で 海面は43センチほど上昇するというが、 3°Cから4°Cの気温上昇の場合、84cmの海面上昇という数字が出ている。グリンランドの氷帽が再生不能になり消滅してしまうことで、さらにこの数字の見直しを余儀なくされる方向にある。

 

参考:

https://www.ouest-france.fr/monde/groenland/la-calotte-glaciaire-du-groenland-va-disparaitre-sa-fonte-a-atteint-le-point-de-non-retour-6939804?fbclid=IwAR0CCYnCtDxu_fX4lC9gPAmfziw681P_j-QtTXX4bcI0eEEllJY3pdLAnMM

https://www.lavoixdunord.fr/852765/article/2020-08-17/au-groenland-il-serait-deja-trop-pour-sauver-la-calotte-glaciaire

https://www.nature.com/articles/s43247-020-0001-2