メキシコ国境で違法移民を足止め、親から引き離された子供たち1万人以上が強制収容
国情不安を逃れ、アメリカへ向かう移民が集まる国境。今年1月から始まったという親子の引き離しがアメリカで大きな批判を集めている。小さい子供は18カ月という乳幼児から16歳くらいまでの子供たちが親から引離され集められて金網の中に入れられ、寝具もなくアルミホイルを布団代わりに寝起きをしている。違法移民に寛容無用、とするこれらの物々しい国境地帯を彼らは「ウォー・ゾーン」と呼び始めた。
国境クライシス
批判はこの5月、親から引き離した子供1500人の行方がわからなくなったという国境移民管理が侵したミスの報道から始まった。日割りで50人近くが集められ、金網の中で管理される子供は今や計1万2千人以上に上るという。テキサスだけでこの5月から1ヶ月の間に2000人弱。将来これらの子供たちが親と再び合流する日が来るかどうかもわからないというが、そんな状況の中で、「ママ、パパ」と泣く子供たちのオーディオが昨日公開された。子供たちが受けるトラウマは一生消えないほど重い「虐待」に他ならないと精神科医はいう。
この2、3日「犬小屋同然」の中で寝起きさせられる子供達の姿がクローズアップされた。MSNBCやCNNなどジャーナリストやアナリストたちは、第二次大戦中アメリカが在米日本人を集めた強制収容所や、ナチのアウシュビッツ強制収容所(やはり子供達を親から引き離して別の収容所に集めた)を思い起こさせる、と糾弾。反対する議員や政治家たちが立ち上がる一方で、歴代の大統領夫人たちが、トランプの残酷な移民対策を即座にやめるよう声明を出したという。
トランプの言い分
「移民はひどい、彼らは人間じゃない、動物だ」とマイクの前で言ったトランプ大統領。
越境しようとする家族をバラバラにし、子供を隔離する残酷な国境政策に詰め寄るジャーナリストにトランプ大統領は、「これは民主党が悪い。民主党が決めた政策でこうなった」と答え、自分の在任中に自分のリーダーシップで始めたものを民主党の責任になすりつけた。フォックス・ニュースはこれに上塗りをし、他のTV局が流した泣き声は、子供の役者が嘘泣きをしてそれをテープに録ったもの、大騒ぎをするような過酷なことはやっていない、と報道した。またホワイト・ハウスは、保護された子供達はテレビもあればビデオゲームもでき、食事も必要な医療ケアも与えていると発表し、世論の批判を和らげようと必死。しかし日々増加する子供たちの受け入れ状況は、必ずしもホワイト・ハウスのいうような好条件ではない。
そうした今日アメリカ国連大使は国連で、国際連合人権理事会を脱退すると表明した。
*国際連合人権理事会とは:https://en.wikipedia.org/wiki/United_Nations_Human_Rights_Council
移民対策、他の国はどうか?
アフリカから大量の移民が訪れるヨーロッパにおいても、移民を人間扱いしない状況が非難の的となっている。
自分の土地を追われ、国を追われた人たちは、強い立場の人間から、人間として生きる権利もこんなに容易に剥奪される。そのまた逆も真なり。弱い立場人間の人権を救えるのは、強い立場に立つ人間でしかないことを思い知らされるのである。
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