オランド大統領カレへ、ラ・ジャングルの全面撤去を指示
英仏海峡に面したカレに集まる移民の仮住居を全面強制撤去する指示を出すため、今日9月26日、オランド大統領がカレへ出向した。
イギリスへ渡るため集まった難民が仮住居を作り住む居住地をル・ジャングルと呼ぶ。違法滞在のみならず、国道を走る車や輸送トラックを障害物を置いて無理やり止めたり、そのために事故を起こしたりの事件が増加している。周辺住民への脅威となったラ・ジャングルにはおよそ9000人の移民がいるが、他の地域の難民受け入れセンターへ分散するなどの方法がとられることとなり、今日オランド大統領がカレへ出向して、ラ・ジャングルの全面強制撤去の執行を地域の警察や憲兵隊、カレ市当局へ指示した。
水道やその他の生活のためのインフラが設備されているのは2000人を収容できるコンテナだけ(白い箱型のコンテナ:写真上)で、その周辺は全く設備もなく、衛生面でも問題のあるラ・ジャングル。ここにいる難民を他のセンターへ動いてくれるよう説得するのは、難民救済のアソシエーションだ。「他のちゃんとした生活のできるところへ行けるのだから、従った方がトク」と言って回るボランテイア。それに対し、「ここに来るまで全てを投げ打って犠牲にしてきた。何が何でもイギリスに行って、(すでにそこで生活をしている)家族と一緒になりたい」という難民も多い。
強制撤去はどのように始まるのか。
現実には、毎日難民は数十人レベルで増え続けているため、周辺住民は、「これまでも何度撤去してきたかわからない。でも、必ず彼らは戻ってくる。今回も全面撤去というが、一時しのぎになるに違いない」と懐疑的だ。
共和党のアラン・ジュッペがカレに報道陣を連れてきたり、ニコラ・サルコジが移民政策への批判をしたりしている政治的背景もあり、今日のオランド大統領の出向と全面撤去宣言は、来年の大統領選の道具として利用しているのではないかと見る向きもある。
(2016年9月26日、フランス2TVから)
イギリスが全面負担をするカレの壁(9月21日のブログへ)
カレの港の難民の様子(写真満載) L’expresse電子版