2017年2月23日、文化政策監視機構(フランス文化省付)は2015年から2016年度の1年間の「地域の文化支出にかんする報告書」を発表した。文化省は日頃、4年をめどに変動を発表しているが、同機構は初めて2015年2016年の年度で集計。フランス国内の文化予算変動に関する一番新しい報告書となる。減少傾向にある文化予算だが、地域によって差異があることがわかった。

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数字

  • 全体の59%の地域で減少。
  • 2017年度に向け、さらに25%の地域が予算を減らす意向だ。
    (Source : OPC)

目立つ減少

地方自治体の文化予算とその支出は、2015−2016年度、59%の地域が削減を決定。わずか30%が文化予算引き上げを決定した。

傾向

の文化支出は4%減少。ヴィジュアル・アートや造形芸術分野が大きな痛手を被っている。一方で、芸術教育、文化教育への支出が増大している州が4つ(フランスの州は9つ)あった。地域の協会活動への援助金などはかろうじて同レベルを保っているとみられる。

においては、文化支出減少は平均して5%。3分の1の県は10%以上の減少を見せた。これは、「2008年から続く動き」と報告書は強調している。一方で、こうした傾向は逆に文化に力を入れる県の存在を示すことになり、フランスの4分の1の県は文化へ一層力を入れ財政をつぎ込む姿勢を見せていることがわかった。こうした文化財政の開きは、県によって文化へのアクセスに不平等が出ることを指している。特に地域の末端で文化活動を行う団体などは、県政に頼ることを止める方向にあるようだ。

協会活動は、文化活動の最前線にありながら、60%以上の県で文化予算カットの犠牲となっている。フェスティヴァル、演劇活動、および、一般に芸術創造活動が重大な影響を被った。維持されたのは、図書、古文書、文化遺産の3分野で、これらはもともと県に義務づけられた分野でしかない。

大都市のインパクト

10万人以上の都市の約半分が、文化予算と文化事務を削減した。10%以上減らした街もあるが、削減率は平均して7%。
OPCの報告書は、町ごとの文化支出(管理体系、職員育成、活動費など全体にわたる)よる統計だ。大都市における文化イベントは地方より維持され、パフォーマンスや造形芸術方面は救われているにしても、全体に、文化予算の減少による地域政策へのインパクトは目に見える重大さであるとし、「 文化の生命線を弱め、文化意識の薄れに拍車をかける」と警告している。

OPC EVOLUTIONS GLOBCapture

 

予算の行方は不確か

2017年度はどうか。

州の半分は、すでに文化予算維持を表明しているものの、集計では、25%の地方自治体が文化予算減少をする見込み。30%以上の自治体は維持したい意向だが、残りの30%は今のところ行方が分からない。わずか3%のみが、予算増大を決定している。

(下の図、文化予算の行方。グレー:分からない。黄色:維持。赤:減少。緑:増加。一番左の柱:州。真ん中の柱:県。右柱:10万人以上の都市。)

OPC TENDANCES 2017Capture

(Source : OPC)

文化政策の意欲減退に立ち向かう

報告書の文化支出減少について、OPCは二つの理由を挙げている。

一つは、フランス政府の地域援助カットによるものだ。国の財政難を理由に行われた文化援助カットは地域全体を矢面に立たせ、地域は援助カットのインパクトを回避すべく、政策の見直しを余儀なくした。

二つ目は、文化政策への意欲減退だろう。OPCは歴史を振り返り、「国と地域が一体になって文化政策を進めていた時期は、大きな意義と進展があったが、その意義が失われ始めている」と指摘する。「地域の文化に再び力を与えるのは国と地域の協力でしかないだろう」。